離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(6)就職決定時に受給できる再就職手当とは

 従業員が離職後にハローワークで行う手続きを大熊は説明してきたが、そろろそろ終盤。今日は、再就職手当のことを説明しようと思い、服部印刷に向かった。
過去5回の記事はこちら
2013年7月8日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(5)失業手当受給に必要な求職活動とは」
https://roumu.com/archives/65618803.html
2013年6月17日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(4)病気や定年で受給期間を延長するには」
https://roumu.com/archives/65615474.html
2013年6月10日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(3)認定日と失業認定申告書とは」
https://roumu.com/archives/65614341.html
2013年6月3日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(2)待期と給付制限」
https://roumu.com/archives/65613496.html
2013年5月27日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(1)離職理由の確認」
https://roumu.com/archives/65613436.html


大熊社労士:
 今日は予定通り、失業手当をもらっている人が就職が決まったときの手続きについて確認しておきましょうか。
宮田部長:
 お願いします。
大熊社労士:
 就職が決まったら、当然、ハローワークに届け出る必要があります。当然ながら、就職すれば、失業手当はもらえなくなります。
宮田部長宮田部長:
 確かにそうですね。ん?就職が決まったら、その日から失業手当がもらえなくなっちゃうのですか?例えば今日(7月15日)、8月1日から働くことが決まった場合、明日からの分がもらえなくなっちゃうとか!?そうなるとハローワークに内定の連絡をするのはなるべくゆっくりしたほうがよいってことになりますよね。
大熊社労士:
 あはは、連絡をゆっくりとは考えますね。でもそこは就職の前日の7月31日分までもらうことができますよ。原則として、就職の前日にハローワークに行って、例の失業認定申告書の届出を行います。具体的には、就職の届出をするとともに、前日までの失業の認定を行うことになりますよ。
宮田部長:
 へぇ、ギリギリまでもらえるんですね。うれしいですね。
大熊社労士:
 確かにそうですね。さらに年齢、勤続年数、離職理由により失業手当がもらえる日数が変わりますが、その日数(支給残日数)が多く残っている人は「再就職手当」がもらえたりします。
宮田部長:
 再就職手当?
大熊社労士:
 早めに就職したお祝い金のようなものですよ。具体的には、所定給付日数の3分の1以上の支給残日数があるような場合(※)に、支給されるものです。
※他にも細かな支給要件あり
宮田部長:
 へぇ!それは嬉しいですね。実は、私がいま退職したとしたら、たぶん、それなりの日数をもらえると思うのですよね。もちろん、次の就職先を見つけることもしなくちゃなりませんが、せっかく払ってきた雇用保険料だから、まぁ、とりあえず、失業手当をほぼもらい終わるようなスケジュールで就職先を見つけようかなぁ、なんて思っちゃうなと感じていたのです。
大熊社労士:
 そう、まさにそういう人に早く就職してもらうためにも、このような再就職手当があるのですよね。そのため、再就職した時期、つまり、支給残日数が多い場合には、この再就職手当の額も大きくなるのです。
宮田部長:
 へぇ、そんな仕組みになっているんですか。
大熊社労士大熊社労士:
 はい。この額は、失業手当の日額(上限あり)に支給残日数と支給率を掛けて算出するのですが、支給残日数が3分の2以上のときは、支給率が60%、3分の2未満、3分の1以上は50%となります。例を挙げておくと、失業手当の日額が4,000円、所定給付日数が90日、支給残日数が60日の時点で就職するとなると、9日分の60日で、ちょうど3分の2の支給残日数になります。したがって支給率は60%となりますよね。計算すると、4,000円×60日×60%=144,000円が支給されるのです。
宮田部長:
 すごい!結構な額になりますね。本当にお祝い金だ!
大熊社労士:
 そうですね。ハローワークとしても早く就職することのインセンティブとしての位置づけですので、それなりの額を支給するなと私も感じていますよ。
宮田部長:
 それで、これはいつ頃もらえるものなのですか?
大熊社労士:
 よい質問ですね。失業手当は、認定から1週間程度で振込でしたが、この再就職手当は、1ヶ月以上はかかると思ってください。
宮田部長:
 額が大きくなったりするから、時間がかかるのですか?
大熊社労士:
 いやいや、そうじゃないんですよ。再就職ですので、例えば、就職後にすぐに退職してしまったような場合には、再就職手当の支給対象にはなりません。そのため、再就職手当の支給申請書が提出されて約1ヶ月後に調査が行われ、その結果を判断し、口座への振込手続きが行われる流れになります。
宮田部長:
 なるほど。いろいろあるのですね。

大熊社労士:

 そうですね。他にも手続きの細かなことがあったりするので対象となった場合は、しっかりと確認しておきたいですね。
宮田部長:
 まぁ、何にしても早く就職をしましょう、ということですね。
大熊社労士:
 はい、そうですね。それでは次回は最終回として、再就職をした後すぐに退職をしてしまった場合の取扱いについて説明することにしましょう。
宮田部長:
 了解しました。よろしくお願いいたします。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今回は再就職手当のことについて説明しました。再就職手当に該当しないケースでも、一定の要件を満たした場合には、「就業手当」や「常用就職手当」等を受けることができる人もいます。再就職が決まった状況ではハローワークでしっかりと確認をし、必要な手続きを進めましょう。


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参考リンク
ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_procedure.html

(宮武貴美)

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