労政審部会で示された70歳までの就業機会確保の基本的方向性

 年明けの通常国会で審議が予定される70歳までの就業機会確保の努力義務化ですが、先日(2019年11月29日)に開催された第91回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会でその方向性が示されました。今後、12月にとりまとめられる全世代型社会保障検討会議の中間報告に盛り込まれ、その後、法案としてまとめられる予定となっています。

 このテーマに関してはそもそも骨太の方針で、以下の選択肢が示されています。
(a)定年廃止
(b)70 歳までの定年延長
(c)継続雇用制度導入(現行 65 歳までの制度と同様、子会社・関連会社での継続雇用を含む)
(d)他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職の実現
(e)個人とのフリーランス契約への資金提供
(f)個人の起業支援
(g)個人の社会貢献活動参加への資金提供

 これまでこうした選択肢の詳細については明らかにされていませんでしたが、今回の資料ではその具体的なポイントがいくつか示されています。また当面は努力義務となることから、この措置を講じない事業主への対応として、以下の高年齢者についてじゃ再就職援助措置・多数離職届出を行うということも検討されているようです。
(1)事業主が措置を講じない場合(67 歳までの制度を導入する場合等を含む)に 70 歳未満で退職する高年齢者
(2)事業主が対象者を限定した制度を導入した場合、65 歳以降の就業を希望しつつも、制度の対象とならなかった高年齢者

 今後、中間報告を経て、国会に法律案が提出されることになろうかと思いますので、引き続きこのテーマについては注目していきたいと思います。


関連記事
2019年11月29日「70歳以上まで働ける制度のある会社は約3割に到達」
https://roumu.com/archives/99837.html
2019年11月18日「概要が見えてきた70歳までの就業機会確保義務の検討状況」
https://roumu.com/archives/99611.html
2019年6月6日「未来投資会議が案を示した70歳までの就業機会確保努力義務化の方向性
https://roumu.com/archives/52172081.html

参考リンク
厚生労働省「第91回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会(資料)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08140.html
首相官邸「全世代型社会保障検討会議」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/index.html

(大津章敬)