退職により免除となる国民年金保険料

 経済情勢の悪化による失業は深刻化の一途を辿っています。失業者数の増加と連動して増加が予想されるものの一つに国民年金第1号被保険者数があります。以前から国民年金保険料の納付率の低さは問題となっており、この失業者数の増加で更に低下することも想像されます。そこで、今回は退職後に国民年金保険料の負担が重くなる場合に利用できる可能性のある国民年金保険料納付義務の免除制度を取り上げてみましょう。


 この国民年金保険料の免除制度は、大きく分けて法定免除と申請免除があります。法定免除については、障害基礎年金等の受給権者や生活保護法の生活扶助を受けている者に対して行われており、本人が届出を行うことで保険料の納付義務が免除されます。一方の申請免除については、第1号被保険者本人、保険料連帯納付義務者である世帯主・配偶者のいずれもが、経済的理由や災害に罹災したなどの事由で保険料を納めることが困難な場合に、第1号被保険者本人が申請し承認を受けることで、保険料納付義務の全部あるいは一部が免除されることになっています。免除の種類は、「全額免除」「3/4免除」「半額免除」「1/2免除」の4つがあり、前年の所得により判断されることになります。


 退職による免除は、この申請免除を行うことの理由の一つに該当し、申請する年度または前年度において退職の事実がある場合に対象となります。具体的には、通常の申請免除の審査を行う際に含まれる退職者本人の所得を除外し、審査を行うことになります。したがって、判定すべき所得が低く抑えられるため、退職前の所得が高い場合でも申請が承認される可能性が高くなります。免除期間の年金額の計算は、保険料が納付された場合の3分の1となります。手続は、年金手帳等の基礎年金番号が分かるもの、認印および離職票等の失業していることが確認できる公的機関の証明の写しを準備し、住民票のある市区町村役場に申請書を提出することとなります。ただし、配偶者、世帯主に一定以上の所得があるときは保険料免除が認められない場合があるので注意が必要です。


 国民年金保険料を未納とした場合、将来的な年金額に反映されないほか、病気や事故で障害が残った場合の障害年金が支給対象外とされることもあるため、失業により保険料の負担が大きく感じられる場合には、このような免除制度を利用することも検討したいところです。なお、免除を受けられる期間は、社会保険庁長官が指定する期間となっており、原則は7月から翌年の6月までとなっています。



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参考リンク
社会保険庁「国民年金保険料は、退職(失業)による特例免除があります!」
http://www.sia.go.jp/infom/pamph/dl/mokuteki4.pdf
社会保険庁「社会保険のテキスト(研修教材)第5節 保険料の免除制度」
http://www.sia.go.jp/infom/text/kokunen05.pdf


(宮武貴美)


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