[改正育児・介護休業法]産後パパ育休取得中に就業した場合の育児休業給付金の取扱い
改正育児・介護休業法により2022年10月に産後パパ育休が創設されます。産後パパ育休の最大の特徴は、労使協定の締結が前提であるものの、従業員が合意した範囲で育児休業中に就業させることができることです。この就業について、賃金を支払う必要があることは当然ですが、賃金を支払う際に留意すべき点として、雇用保険の育児休業給付金(出生時育児休業給付金)の支給要件の確認があります。
現行の育児休業給付金では、育児休業中に臨時・一時的に就業した場合の取扱いが定められており、一支給単位期間において、就業している日数が10日(10日を超える場合は、就業している時間が80時間)を超えると、その支給単位期間について育児休業給付金は支給されなくなります。
出生時育児休業給付金でも、同様に支給要件の一つに就業日数・時間数が定められており、28日間の休業を取得した場合、休業期間中の就業日数の10日(10日を超える場合は就業している時間数が80時間)以下であることが支給要件となっています。4週間(28日間)未満で取得したときは、10日・28時間が、休業する日数に比例して、支給要件を満たす就業日数の・時間数が短くなります。具体例は以下の通りです。
14日間の休業 → 最大5日(10日×14/28=5)
5日超は40時間(80時間×14/28=40)
10日間の休業 → 最大4日(10日×10/28=3.57(端数切上げ))
4日超は28.57時間(80時間×10/28≒28.57時間)
これらは支給要件であり、出生時育児休業給付金の支給額の調整に関するものではありません。育児・介護休業法では休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分まで就業ができることになっていますが、休業の日数と休業期間中の就業日数・時間数によっては、出生時育児休業給付金が全く支給されないケースも出てくるため、産後パパ育休中に就業させる場合には、出生時育児休業給付金に関して従業員に誤解のないような説明が必要になるでしょう。
関連記事
2021年11月12日[改正育児・介護休業法]育児休業の分割取得と育児休業給付金の取扱い
https://roumu.com/archives/109585.html
2021年11月10日「[改正育児・介護休業法]現行法のパパ休暇と改正法の産後パパ育休の整理」
https://roumu.com/archives/109579.html
2021年11月1日「[改正育児・介護休業法]産後パパ育休中の就業までの流れと就業可能日数等の上限」
https://roumu.com/archives/109547.html
2021年10月20日「[改正育児・介護休業法]産後パパ育休の申出期限は原則2週間前、労使協定締結等で1ヶ月前まで」
https://roumu.com/archives/109470.html
2021年10月11日「[改正育児・介護休業法]有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和」
https://roumu.com/archives/109419.html
2021年10月4日「[改正育児・介護休業法]2022年4月からの雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化の具体的内容」
https://roumu.com/archives/109356.html
参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
(宮武貴美)