[給与計算業務の改善]情報と書類の統一による効率化

 先日より不定期連載している[給与計算業務の改善]シリーズですが、本日は管理書類の整備による業務改善の手法について取り上げることとします。



【質問】
 当社では、高校生以下の子女(所得税法上の扶養親族に限る)を扶養する社員に対し、毎月10,000円の家族手当を支給しています。給与計算を行う際に、しばしばこの家族手当の支給漏れが発生しており、翌月の調整で対応しています。ミスの傾向を分析したところ、特に子女出生の際の手続が漏れることが多いようです。支給漏れをなくすためには何から取り組めば良いのでしょうか?ちなみに現在の手続は、社員本人が「手当変更連絡表」を上長へ申請することで家族手当の変更を行なっています。


【回答】
 まずは、子女が出生した際に必要な手続を整理してみることにしましょう。一般的には子女出生前後に発生する会社の手続としては以下のようなものがあります。
■所得税法
 所得税法上の扶養親族等の増加
■健康保険法
 出産育児一時金の請求
 出産手当金の請求
 被扶養者(異動)届の提出
■給与・手当金関係
 家族手当の変更
 慶弔見舞金の支給
■その他の手続
 産前産後休暇の手続
 特別休暇の手続


 このように子女の出生という一つのイベントだけでもこれだけの手続が求められます。これらの手続きを漏れなく、円滑に行うためには事前に提出書類を本人に渡し、説明をしておくことがポイントとなります。また今回の場合、家族手当の支給条件に合致するのは、「所得税法上の扶養親族等の増加」に該当する場合であるため、「提出時家族手当変更必要」というゴム判を作成し、扶養控除等(異動)届に事前に赤インクで押印しておくといった工夫も考えられるでしょう。可能な限り書類を統一し、一枚の書式に情報を集約し、管理することが望まれます。


[まとめ]
 ひとつの事柄に関し、複数の書類を提出しなければならないというのは、社員に大きな負担を掛け、結果的にその提出が滞る原因となります。官公署に提出する法定様式はやむを得ませんが、社内で調整が可能な内容については、関係部署が集まりまとめることが必要になります。また、その際には、個人情報の取扱いに注意し、また社内での書類の取り扱いルール(承認・決裁・保管など)も併せて検討しておくことが重要です。



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(宮武貴美)


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