平成20年4月改正 パートタイム労働法のポイント4 苦情処理・紛争解決援助

 大変多くのアクセスを頂いた改正パートタイム労働法連載も最終回となりました。今回は「苦情処理・紛争解決援助」を取り上げます。



[改正パートタイム労働法のポイント]
労働条件の文書交付・説明義務
均衡のとれた待遇の確保の促進(働き・貢献に見合った公正な待遇の決定ルールの整備)
通常の労働者への転換の推進
苦情処理・紛争解決援助



 上記改正法のポイントのである「苦情処理・紛争解決援助」は、これまで取り上げてきたの改正を施行するにあたり「事業所内で苦情を自主的に解決するよう努めることとする」、「均衡待遇等に関する紛争の解決手段として、行政型ADR(調停等)を整備することが必要」という観点から規定されています。今回、改正のポイントとしてあげたものは、その多くが措置義務であったことに対し、この内容は、努力義務にとどまっています。


 具体的には、以下の6点に対する苦情・紛争につき、自主的な解決が求められています。
労働条件の明示
差別的取扱い
教育訓練
福利厚生施設
通常の労働者への転換
待遇の説明に関する事項 


 また、紛争解決援助の仕組みとして、都道府県労働局長による助言・指導・勧告、紛争調整委員会による調停の対象とすることが条文にも明記されています。この改正は努力義務にはなっていますが、改正パートタイム労働法の施行後には徐々に苦情や紛争の発生が想定されます。短時間雇用管理者の選任など事前に窓口を設け、対策を取ることをお勧めします。


[参考条文]
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第19条(苦情の自主的解決)
 事業主は、第6条第1項、第8条第1項、第10条第1項、第11条、第12条第1項及び第13条に定める事項に関し、短時間労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めるものとする。


短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第21条(紛争の解決の援助)
 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
2 事業主は、短時間労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該短時間労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。


短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第22条(調停の委任)
 都道府県労働局長は、第20条に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。
2 前条第二項の規定は、短時間労働者が前項の申請をした場合について準用する。





関連blog記事
2007年09月18日「平成20年4月改正 パートタイム労働法のポイント3 通常の労働者への転換の推進」
https://roumu.com
/archives/51062853.html


2007年9月11日「平成20年4月改正 パートタイム労働法のポイント2 均衡のとれた待遇の確保の促進」
https://roumu.com
/archives/51062839.html

2007年9月7日「平成20年4月改正 パートタイム労働法のポイント」
https://roumu.com
/archives/51061223.html

2006年12月31日「パートタイマーに関する再チャレンジ支援策の動向とパートタイム助成金」
https://roumu.com
/archives/50840276.html



参考リンク
厚生労働省「パートタイム労働法の一部を改正する法律(平成19年法律第72号)の概要」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1a.html
厚生労働省「パートタイム労働法が変わります(改正パートタイム労働法 広報用リーフレット)」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1b.html
厚生労働省「雇用均等・両立支援・パート労働情報」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/index.html


(宮武貴美)


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