定期健康診断で「所見あり」とされた場合に受給できる二次健康診断給付

二次健康診断等給付の請求手続 人事労務管理において、社員の健康管理は年々その重要性を増しています。過重労働対策を含め、企業としては様々な対策を行う必要がありますが、その中でももっとも基本となるのが、労働安全衛生法において実施が義務付けられている定期健康診断(以下、「一次健康診断」という)です。中小企業の場合はこの法定の健康診断さえ実施されていないことが多く、その改善が望まれますが、一次健康診断において、脳・心臓疾患に関連する一定の項目について異常の所見があると診断された場合には、労災保険から二次健康診断等の給付が受給できます。意外にこの給付は周知されていないようですので、今日はこれについて取り上げてみましょう。



1.給付の要件
(1)一次健康診断の結果、次のすべての項目について異常の所見が認められること
血中検査
血中脂質検査
血糖検査
BMI(肥満度)の測定
(2)脳・心臓疾患の症状を有していないこと
(3)特別加入者でないこと


2.給付の内容
(1)二次健康診断
 以下の6つの検査を負担なく受診することができる
空腹時血中脂質検査
空腹時血糖値検査
ヘモグロビンA1c検査(一次健康診断において行った場合を除く)
負荷心電図検査又は胸部超音波検査(心エコー検査)
頸部超音波検査(頸部エコー検査)
微量アルブミン尿検査(一次健康診断において尿蛋白検査の所見が疑陽性又は弱陽性である方に限る)


(2)特定保健指導
 二次健康診断1回につき1回、以下の指導を医師又は保健師から負担なく受けることができる(二次健康診断の結果、脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有していると診断された場合は受けることができまない)
栄養指導
運動指導
生活指導


3.給付請求の方法
 二次健康診断等給付請求書を健康診断給付病院等を経由して所轄の都道府県労働局長に提出。なお、原則として一次健康診断の受診日から3ヶ月以内に請求を行う必要があり、年度(4月1日から翌年3月31日まで)に1回のみの給付となっています。


 先日のブログでも取り上げたとおり、近年、過重労働と健康障害のリスクが大きく取り上げられており、労働者自身の健康に対する意識の向上も見られます。一次健康診断の結果によっては、このような労災の給付を積極的に受けることも検討すべきでしょう。



関連blog記事
2007年11月27日「公的機関等が提供するメンタルヘルス相談機関」
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2007年10月12日「健康診断を受診させる必要のあるパートタイマーの条件」
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2007年10月3日「平成20年度からの健康診断項目 腹囲が追加されるなど変更に!」
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2007年2月18日「健康診断は従業員とともに企業も守る」
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参考リンク
厚生労働省「二次健康診断等給付の請求手続」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040325-1.html
東京労働局「二次健康診断等給付について」
http://www.roudoukyoku.go.jp/seido/rousai/rousai-2ji.htm
大阪労働局「二次健康診断等給付制度をご存知ですか」
http://osaka-rodo.go.jp/joken/anzen/kenko/kyufu.php


(宮武貴美)


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