職場における従業員の最大の不満は「仕事の進め方や割り当てなどの業務遂行上の問題」

 以前からこのブログでは組織におけるコミュニケーションの問題を多く取り上げてきました。今日は、昨年末に独立行政法人労働政策研究・研修機構から発表された「職場におけるコミュニケーションの状況と苦情・不満の解決に関する調査」について取り上げてみましょう。この調査は昨年の7月、企業内における労使のコミュニケーションの状況につき、特に職場における不満がどのように把握され、解決されていくのかという点を中心に、企業および企業で働く従業員(パート・アルバイト・契約社員等を含む)に対し実施されたものです。その中から今回は職場での不満の内容と上司への相談という項目を取り上げます。



7割の従業員に何らかの不満
 従業員が現在抱えている不満の有無については、ほぼ7割の従業員が何らかの不満があるとしています。不満の中身は以下の順番になっています。
□仕事の進め方、割り当て等の業務遂行上の問題に関する不満 46.5%
□職場内人間関係の不満 27.1%
□賃金、一時金に関する不満 26.9%
□評価、査定に関する不満 26.9%
□残業時間、休日、休暇等に関する不満 21.2%
 近年は過重労働の問題が大きく取りざたされていますが、それ以上に仕事そのものに関する不満が大きいことが分かります。


6割の従業員が上司に相談した経験あり
 苦情や不満を上司に相談した経験がある従業員はほぼ6割にのぼり、その相談結果について、ほぼ6割が納得しています。4割近くの従業員が苦情・不満の解決をあきらめたものが多い、と回答していることを考えると、納得する従業員が増えるような対策が課題と言えるでしょう。一方で、上司に相談したことがない4割の従業員は、相談しない理由として以下のものを挙げています。
□適切に解決されるとは思わないから 35.6%
□人間関係が悪くなりそうだから 16.1%
□相談しにくい雰囲気 15.5%
 苦情や不満が従業員の内部に蓄積され、モラールダウンや退職と言った事態に発展する前に対策を打つことが求められます。


 企業組織という集団生活を送る中で苦情・不満をゼロにするということは極めて難しいことだと言えるでしょう。今後、ますます企業内での積極的なコミュニケーションが求められ、重視されてくるはずです。それでは次回は、同調査から企業の相談窓口の整備状況について取り上げたいと思います。



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参考リンク
独立行政法人 労働政策研究・研修機構「職場におけるコミュニケーションの状況と苦情・不満の解決に関する調査」
http://www.jil.go.jp/press/documents/20071225.pdf


(宮武貴美)


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