なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由4「職員自身のキャリアアップ」

 本日は「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?」の連載の第5回をお届けしましょう。前回は職員の早期退職問題の7つの原因のうち、3つ目の組織のあり方についての問題を取り上げましたが、本日はの自分自身のキャリアアップについての問題を解説したいと思います。



[職員の早期退職問題の7つの原因]
経営理念の浸透についての問題
職場の風土についての問題
組織のあり方についての問題
自分自身のキャリアアップについての問題
患者(利用者)との関係についての問題
労働条件についての問題
給与水準についての問題




 本日はこれらのうち、退職理由4「自分自身のキャリアアップ」について解説しましょう。
[退職の理由]
 職員の退職理由として、他の施設に引き抜かれた(誘われた)といったことが聞かれるケースがありますが、これは自施設の魅力よりも他施設の魅力のほうが勝っているということの裏返しです。実際にそうした発言をする職員と話をすると、「もうこの施設で得るものはない(これ以上覚える仕事はない)」、「仕事がつまらない」などと不満をこぼす者が少なくなく、その背景には人間関係に疲れたり、施設の将来像が見えないことの不安が隠れていることも多いようです。こうした退職理由を挙げる職員がいる施設では、数年程度で職員が入れ替わることが多く、定着率がなかなか向上しません。


 一方で職員の定着率の高い施設には、いくつかの共通点があります。例えば、職員の教育体制・フォロー体制が充実しており、段階的に能力向上が図れるようになっていることで自分の5年後や10年後の姿が見えるようになっているといったことや、経営や将来の施設の経営計画についての具体的な説明がされていることにより長期勤続に対する不安が払拭されているといったような特徴です。こういったことを考えると、経営陣と職員が今後も共に歩んでいこうとする姿勢が明確に示されているかどうかが、定着率向上の分かれ目となっているように感じます。 


[退職に繋がる主な原因例]
長期的な視野に立った内部教育体制が構築されていない。
外部で実施されている研修に参加できない。
法人の経営計画などの説明がなく、この先の展望が持てない。等


[定着に向けての回避策]
 医療機関や福祉施設で働く職員の多くは、一般企業の社員以上に勉強熱心であるように感じます。それは、実際に多くの施設で職員が自主的に仲間を集めて勉強会や事例検討会など実施することが証左しています。こうした職員のモチベーションを高めるには、施設としてそれをバックアップする仕組みが有効であり、教育体制の充実はもちろんのこと、将来への不安を払拭させるためにも経営への参画意識が醸成されるよう、毎年経営報告会などといった取り組みも行っていくことが求められます。


 それでは次回は、退職理由5「患者(利用者)との関係についての問題」について取り上げます。



関連blog記事
2008年1月19日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由3「組織のあり方」」
https://roumu.com
/archives/51226599.html

2008年1月4日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由2「職場の風土」」
https://roumu.com
/archives/51207562.html

2007年12月30日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由1「経営理念の浸透」」
https://roumu.com
/archives/51206101.html

2007年12月10日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?その1」
https://roumu.com
/archives/51190709.html


(服部英治


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