平成20年4月施行 改正安衛法における定期健康診断等の項目改正

改正安衛法における定期健康診断等の項目改正 労働者の健康管理は年々重要性が増していますが、事業主が実施する定期健康診断等の項目についても見直しが行われ、平成20年4月から施行されます。厚生労働省からもこの改正内容のパンフレットが公開されていますので、今回は再度、この改正内容を取り上げてみたいと思います。



1.健康診断項目の追加・変更
腹囲の検査を追加
 これまで肥満の指標として主に用いられてきたBMIに比べ、腹囲(内臓脂肪)が脳・心臓疾患の発症と関連するとの報告が数多くなされ、肥満のリスク指標として優れていることから追加
血中脂質検査のうち、血清総コレステロールを低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールに変更
 LDLコレステロールは、いわゆる悪玉コレステロールと言われ、単独で脳・心臓疾患の原因となる動脈硬化の強い危険因子になることから変更


2.健康診断項目の省略基準の策定と変更
腹囲の検査の省略基準を策定
 以下の者は、医師の判断により省略可。
□40歳未満(35歳を除く。)の者
□妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者
 ・BMIが20未満である者
 ・BMIが22未満であって、自ら腹囲を測定し、その値を申告した者
尿糖の検査の省略基準を削除し、必須化
 尿糖検査により、血糖検査だけで把握できない糖尿病の疑いのある者をより正確に把握することが可能


3.その他
腹囲の簡易な測定方法について
□着衣の上から測定を行うことも可能(実測値から1.5cm差し引いた値を記載)
□健診会場において労働者が自己測定することも可能
喫煙歴、服薬歴の聴取の徹底を通知
 問診(既往歴及び業務歴の調査)等の際に、喫煙歴、服薬歴の聴取を徹底するように通知


 1.については、雇入時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断及び海外派遣労働者の健康診断について、2.については定期健康診断及び特定業務従事者の健康診断についての変更となります。来年度の健康診断からはこれらの項目が網羅されているかを確認するとともに、その他の項目についても再度確認し、労働者の健康管理に本当に必要な項目が何かを見直すきっかけにしたいものです。



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参考リンク
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の項目の改正について」
http://www-bm.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/080123-3.html


(宮武貴美)


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