新入社員のリアリティショック防止の必要性

 4月1日には街中で何となく違和感のあるスーツ姿の新入社員の姿がたくさん見られましたが、彼らの多くは現在、研修漬けの日々を過ごしているのではないでしょうか。新入社員研修では会社の理念や沿革、各部署の業務内、そして業務に必要な基礎知識などを短期間に詰め込まれ、頭の中で消化できず困っていることもあるでしょう。事実、私自身も新入社員であった頃を思い出してみるとそのような状態であり、初めて聞くことや難しい話において何を覚えておかなければならないのか取捨選択ができず、不安や戸惑いを感じたものです。また、配属となる部署へ行ってみても、自分がこれからどのような仕事をしていくのかさっぱり分からなかったり、この会社に入社したいと思っていた頃のイメージと違っていて、愕然としたりすることもあるのではないでしょうか。そのような状態では、自分がこの会社で果たしてやっていけるのかと不安に感じ、最悪の場合、「自分はこの仕事がやりたくて入社してきたのではない」と思い、早々に辞めていくことにもなりかねません。特に入社間もなくの時期は新入社員同士で集まる機会も多く、また固まっていまの心境を共有することが多いため、不安な気持ちが伝染し、より不安が大きくなってしまうということもあるでしょう。


 このように新入社員にとってリアリティ・ショック、つまり現実と思い描いていたことのギャップに対する衝撃は避けて通ることのできないものですから、先輩や上司による現場のフォローが重要になってきます。具体的には、部門のトップが部署のミッションを伝え、上司や先輩社員が仕事のやりがいや辛かった経験を通じて、これから携わる仕事の意義を噛み砕いて話していくことが求められます。また、会社としても新入社員の声を定期的に聞き、不安を感じていないか、実際にどのような点にショックを受けたのかなどをヒアリングしておくことも不可欠です。そしてここで得られた情報を活かし、今後入社してくる社員、つまりいま採用面接をしている学生に対して、伝えるべき情報を話しておくことに繋げたいものです。



関連blog記事
2008年3月16日「会社に求められる新入社員へのフォロー」
https://roumu.com
/archives/51279833.html

2008年2月28日「人材流出予防のために求められる企業魅力度の向上」
https://roumu.com
/archives/51263077.html

2008年2月23日「人材流出予防のための処方箋」
https://roumu.com
/archives/51258783.html

2007年2月23日「エンプロイメンタビリティ改善による企業魅力度の向上」
https://roumu.com
/archives/50896886.html


(福間みゆき)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。