平成22年7月に予定される障害者雇用の除外率10%引き下げの概要

障害者雇用の除外率10%引き下げの概要 先日、労働政策審議会は「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱」および「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問に対して、「妥当と認める」との答申を行いました。今後、この答申に基づき、法令の改正に向けた作業が進められますので、今日はこの諮問から平成22年7月に予定される障害者雇用の除外率引き下げの概要について取り上げることとしましょう。


 障害者雇用に関しては、事業主が雇用する常用労働者数の一定割合(法定雇用率)に見合う数の身体障害者または知的障害者を雇用することを事業主に義務付けています。しかし、この雇用義務となる障害者数を算出する際に、機械的に一律の雇用率を適用することに馴染まない性質の食味については、事業主負担を調整する観点から、除外率を設定し、特定の業種については雇用義務の軽減が図られています。この除外率制度については、平成14年の障害者雇用促進法改正において段階的に廃止されることが決定しており、平成16年4月に一律10%の引き下げが行われましたが、今回の答申により、平成22年7月よりこの除外率が一律10%引き下げられる方向で調整が進められることとなりました。障害者雇用については2009年3月2日のブログ記事「労政審の答申が行われた障害者雇用促進法の改正内容」でも取り上げたとおり、納付金制度の見直しなど様々な改正が進められ、今後、企業の雇用政策において障害者を如何に雇用し、活用していくかは更に大きな論点となっていくことは間違いありません。


 今回の答申における平成22年7月の除外率引き下げの内容は以下のとおりとなっています。
改正前 15%→改正後 5%
・非鉄金属製造業(非鉄金属第一次精錬精製業を除く)
・倉庫業
・船舶製造・修理業、舶用機関製造業
・航空運輸業
・国内電気通信業
 (電気通信回線設備を設置して行うものに限る)
改正前 20%→改正後 10%
・採石業、砂・砂利・玉石採取業
・窯業原料用鉱物鉱業
 (耐火物・陶磁器・ガラス・セメント原料用に限る)
・その他の鉱業
・水運業
改正前 25%→改正後 15%
・非鉄金属第一次精練 ・精製業
・貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く)
改正前 30%→改正後 20%
・建設業
・鉄鋼業
・道路貨物運送業
・郵便局
改正前 35%→改正後 25%
・港湾運送業
改正前 40%→改正後 30%
・鉄道業
・医療業
・高等教育機関
改正前 45%→改正後 35%
・林業(狩猟業を除く)
改正前 50%→改正後 40%
・金属鉱業
・児童福祉事業
改正前 55%→改正後 45%
・特殊教育諸学校(盲学校を除く)
改正前 60%→改正後 50%
・石炭 ・亜炭鉱業
改正前 65%→改正後 55%
・道路旅客運送業
・小学校
改正前 70%→改正後 60%
・幼稚園
改正前 90%→改正後 80%
・船員等による船舶運航等の事業



関連blog記事
2009年3月2日「労政審の答申が行われた障害者雇用促進法の改正内容」
https://roumu.com
/archives/51510399.html

2009年2月23日「徐々に明らかになってきた障害者雇用に関する法改正の詳細」
https://roumu.com
/archives/51507698.html

2009年2月17日「障害者雇用に関して創設・拡充された助成金制度」
https://roumu.com
/archives/51503716.html

2008年12月22日「改正障害者雇用促進法が成立 障害者納付金が中小企業にも段階的に適用」
https://roumu.com
/archives/51472063.html


参考リンク
厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱及び障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱の労働政策審議会に対する諮問及び同審議会の答申について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/h0326-6.html
長野労働局「障害者の雇用について」
http://www.nagano-roudoukyoku.go.jp/jigyo/jigyo02.html


(大津章敬)


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