[改正労基法](2)法定割増賃金率引上げが猶予される中小企業とは

 昨日よりスタートした改正労働基準法特集ですが、本日はその第2回目として、法定割増賃金率の引き上げの適用が当分の間、猶予される中小事業主の範囲について取り上げましょう。

 昨日のブログ記事「[改正労基法](1)法定割増賃金率引き上げと所定休日労働の関連」では、今回の労働基準法改正において、1ヶ月60時間を超える時間外労働について法定割増賃金率が、現行の25%から50%に引き上げられるという内容をお伝えしました。この引き上げに関しては、中小企業においては「当面の間」猶予措置が設けられています。一般的に労働基準法の適用事業の単位は、一定の場所において相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいうのであって、必ずしもいわゆる経営上一体をなす支店、工場を総合した全事業場を指称するものではないとされていますが、今回の法定割増賃金率が猶予される中小事業主の範囲は、事業場単位ではなく、企業単位で判断されるとしています。具体的な中小事業主の判断については以下のとおり、業種、資本金の額(出資の総額)および常時使用する労働者数により判断することとされています。
【猶予となる中小事業主の範囲】
小売業
 資本金の額もしくは出資の総額が5,000万円以下または常時使用する労働者数が50人以下
サービス業
 資本金の額もしくは出資の総額が5,000万円以下または常時使用する労働者数が100人以下である場合
卸売業
 資本金の額もしくは出資の総額が1億円以下または常時使用する労働者数が100人以下である場合
その他の業種
 資本金の額もしくは出資の総額が3億円以下または常時使用する労働者数が300人以下である場合

 この点についてはこれまでの一般的な労働基準法の取扱いとは異なるため、中小企業は自社が猶予となるかどうかを早めに判断し、猶予とならない場合には、早めの対応が望まれます。なお、この中小事業主に対する猶予措置については、改正法の施行後3年を経過した場合において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされていますので、平成25年4月には中小企業にも廃止され、中小企業にも適用になる可能性が高いと考えられます。


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https://www.roumu.com/seminar/seminar_rouki2010.html


関連blog記事
2009年6月10日「[改正労基法](1)法定割増賃金率引き上げと所定休日労働の関連」
https://roumu.com
/archives/51567812.html

2009年6月8日「改正労働基準法の施行にかかる通達・省令・告示が発出」
https://roumu.com
/archives/51565876.html

2009年3月10日「改正労働基準法の省令案要綱が明らかに」
https://roumu.com
/archives/51516254.html

2008年12月24日「改正労働基準法のパンフレット ダウンロード開始」
https://roumu.com
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2008年12月16日「改正労働基準法に関する最初の通達が発出」
https://roumu.com
/archives/51469129.html

2008年12月5日「割増率引上げを中心とした改正労働基準法成立 平成22年4月1日に施行」
https://roumu.com
/archives/51462195.html

参考リンク
厚生労働省「労働基準法が改正されます(平成22年4月1日施行)」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/tp1216-1.html

(宮武貴美)

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