[ワンポイント講座]特別休暇を付与する際の留意点

 多くの企業では通常の休日の他に社員の結婚や弔事などの際の慶弔休暇を初めとした特別休暇制度を設けています。この特別休暇制度を設ける際には、会社の所定休日等との関係を明確にしておくことが求められます。例えば、結婚休暇として5日の付与を行う際、休日を含めて5日間を与えても良いのか、それとも休日とは別に5日間を与えなければならないのかといったことがその典型です。そこで今回のワンポイント講座では、特別休暇を付与する際の留意点についてて取り上げてみましょう。


 休暇には労働基準法第39条に規定されている年次有給休暇の他に、一般的に特別休暇と呼ばれる、慶弔休暇などそれぞれの企業において設けられている休暇があります。この特別休暇の性格は、本来、労働義務がある日について一定の事由に基づいて、その労働義務を免除する日のことを指しています。


 それでは実務的な話として、結婚休暇として5日の特月休暇を与える制度を設けており、従業員から5日の休暇を取得したいという申し出があった場合、どのように休暇を付与すれば良いのでしょうか。休日と合わせて5日与えてもよいのでしょうか、それとも休日とは別に5日間与えなければならないのでしょうか。そもそも休日については労働基準法第35条に定めがあり、会社は週1日または4週に4日の休日を与えなければならないもので、労働義務がない日とされています。このことから、本来、労働義務がないとされた休日に休暇を取得することは成立せず、休日とされた日に年次有給休暇を取得できないことと同じ意味になります。


 しかし、特別休暇については、労働基準法に根拠をもつ休暇ではないため会社でその取り扱いを決めることができるとされ、原則として、就業規則に定めたルールに沿って与える必要があります。つまり、休日を含めて5日与えることも、休日とは別に5日の休暇を与えることも可能であり、会社としては運用に困らないように就業規則に具体的な取扱いを決めておく必要があるということです。なお、決める際には過去の運用実態を踏まえ、従業員の不満とならないように配慮すべきでしょう。


 この他にも、この特別休暇については、その取得時季(いつから取得できる、いつまでに取得しなければならない)や連続要件を設けるか否かなど、細かな取扱いを決めておかなければ、従業員が就業規則を読んで解釈した内容と会社の運用とが異なり、トラブルになる可能性が考えらます。そのため、検討にあたっては、過去の運用において困ったことなどを挙げていき、それを解消していく形で取扱いを定めていくと良いのではないでしょうか。



関連blog記事
2009年7月22日「[ワンポイント講座]36協定を自動更新にする際の留意点」
https://roumu.com
/archives/51591928.html

2009年7月15日「[ワンポイント講座]社員がダブルワークを行う際の留意点」
https://roumu.com
/archives/51588137.html

2009年7月8日「[ワンポイント講座]出向している従業員を懲戒処分する際の留意点」
https://roumu.com
/archives/51584195.html

2009年6月17日「[ワンポイント講座]健康診断の費用は会社が負担しなければならないのか」
https://roumu.com
/archives/51571719.html

2009年6月10日「[ワンポイント講座]退職証明書を交付する際の留意点」
https://roumu.com
/archives/51567794.html


(福間みゆき)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。