労働委員会の個別的労働関係紛争あっせん件数は過去最高を更新

労働委員会の個別的労働関係紛争あっせん件数は過去最高を更新 労働トラブルは年々増加の一途を辿っていますが、雇用危機の発生以来、更にその勢いが増している印象を強く受けています。そんな中、先日、厚生労働省より「労働委員会で扱った平成21年の調整事件件数について」という資料が公表されました。これによれば、全国の労働委員会が扱った平成21年の調整事件は、労働組合と使用者の間の集団的労使紛争、個々の労働者と使用者の間の個別労働関係紛争のいずれもが大幅増加となっています。


集団的労使紛争
 集団的労使紛争の取扱件数(新規係属件数)は、733件と前年(552件)より33%の大幅増となっています。この件数は平成以降では最多の水準。事件の内容については、「解雇」が191件(前年132件・45%増)、「賃金」が346件(前年250件・38%増)と大幅に増加しています。

 

個別的労働関係紛争
 個々の労働者と使用者の間の個別労働関係紛争である個別的労働関係紛争に係る平成21年のあっせん件数は534件(前年445件・20%増)とこちらも大幅に増加し、制度発足以来最多となっています(画像はクリックして拡大)。なお、こちらの主な内容については、「年次有給休暇」が40件(前年16件・150%増)、「整理解雇」が78件(前年39件・100%増)、「賃金未払い」が114件(前年81件・41%増)と増加率が高くなっています。

 なお、集団的労使紛争の中でも、合同労組が関係する事件が487件(前年375件・30%増)、特にこれらのうち駆込み訴え事件が269件(前年181件・49%増)となっており、やはり個別紛争を背景にした事件が増加していることが分かります。今後も労働トラブルは増加を続けることが確実な状況にあります。無用なトラブルを防止するためにも、基本的な労働諸法令を理解すると共に、就業規則などの社内ルールを整備し、労使で十分なコミュニケーションを取っていくことが求められます。

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2010年2月25日「5月14日に東京で不利益変更法理(山中健児弁護士)+ユニオン対策(向井蘭弁護士)セミナーを開催」
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2009年7月24日「労働委員会で行う個別労働関係紛争のあっせん件数が対前年度比で28.3%増加」
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2009年7月2日「平成20年度後半以降激増する解雇や労働条件引下げの労働相談」
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2009年6月21日「増加の一途を辿る個別労働紛争解決制度の利用」
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2009年3月5日「前年比16.8%の大幅増となった労働基準監督署への解雇申告件数」
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参考リンク
厚生労働省「労働委員会で扱った平成21年の調整事件件数について」
http://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/chousei/09.html

(大津章敬)

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