都道府県毎の健康保険料率の本格適用は平成30年3月31日まで延期に

 政府管掌健康保険が協会けんぽとなってから2年弱が経過します。平成21年10月分からは都道府県毎の保険料率へ移行され、平成22年3月分からはその保険料率の引上げが行われるなど、協会けんぽ独自の運営が行われています。


 平成21年10月分から行われている都道府県毎の保険料率については、従来の全国一律の保険料率のもとでは疾病の予防等の地域の取組により医療費が低くなっても、その地域の保険料率に反映されないという問題点を解消するといった目的のために導入されました。ただし、都道府県毎でかなりの保険料率に開きが発生する可能性も高く、円滑な移行を図るため、平成25年9月までは都道府県間の保険料率の差を小さくした上で、保険料率を設定するという激変緩和措置が行われることとされていました。


 しかし今回、この点に関する改正が行なわれ、当該激変緩和措置が平成30年3月31日までに延長されることとなりました。これにより、医療費負担が大きく偏ることは当分の間、避けられますが、疾病の予防といった地域の取組が進まず、結果として医療費および保険料が高額化することが懸念されることとなりました。


[関連条文]
健康保険法 第31条
 平成二十年十月改正健保法第百六十条第三項の規定に基づき算定した都道府県単位保険料率のうち、第四条の規定の施行の日の前日における旧政管健保の一般保険料率との率の差が政令で定める基準を上回るものがある場合においては、同項の規定にかかわらず、協会は、成立の日から平成三十年三月三十一日までの間に限り、政令で定めるところにより、都道府県単位保険料率の調整を行い、運営委員会の議を経て、当該算定した都道府県単位保険料率とは異なる都道府県単位保険料率を定めるものとする



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参考リンク
健康保険法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/T11/T11HO070.html
協会けんぽ「都道府県毎の保険料率への移行について」
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/8,12390,131.html


(宮武貴美)

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