支給額42万円の恒久化が厚労省部会で議論される出産育児一時金

支給額42万円の恒久化が議論される出産育児一時金 2010年11月12日のブログ記事「上限額の設定などが検討される傷病手当金と出産手当金の改正」では、健康保険の手当金の改正動向を取り上げました。本日はこれに関連し、第42回社会保障審議会医療保険部会(以下、「部会」という)の配布資料より出産育児一時金の動向について取り上げておきましょう。


 出産育児一時金は、平成21年10月1日から4万円の引上げが行われ、産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産した場合には42万円が支給されることとなりました。これは、平成21年10月1日から平成23年3月31日までの間の出産に関する暫定的な措置として導入されており、現在、来春以降の取り扱いについて検討が行われています。


 この件について部会の資料を確認すると、「支給額42万円とする。医療保険者への支援については、医療保険制度全体の中での医療保険者への影響も含めて、引き続き、予算編成過程において検討。支給額の水準については、今後も、必要に応じて議論。」の3点が素案として挙げられています。これに対する部会の意見としては、「現状でお産をする際に経済的負担が必要な状況にある。増額を検討すべき。減額は到底考えられない」「いまの現実を追認する形で、当面は推移するのがよいのではないか」「4万円引上げの暫定措置は、恒久措置とすべき」と言った意見が出ています。保険財政を踏まえれば、本来の38万円に戻すと言う意見もありますが、資料を確認する限りでは、恒久化の意見が多数を占めているようです。


 いずれにしても、平均的な出産費用が473,626円である現状と少子化を考えると、被保険者の負担が少なくなるような制度構築が求められているのは間違いありません。



関連blog記事
2010年11月12日「上限額の設定などが検討される傷病手当金と出産手当金の改正」
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2009年9月10日「出産育児一時金 制度の見直しの概要」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50531831.html
2009年8月28日「10月より変更される出産育児一時金の支給額と支給方法」
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/archives/51610637.html

2009年5月26日「出産育児一時金の引き上げが官報公告により正式発表」
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/archives/51558424.html

2009年4月2日「出産育児一時金 2009年10月より原則42万円に引上げ」
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2008年12月9日「平成21年1月1日より出産育児一時金が38万円に引き上げ」
https://roumu.com
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参考リンク
厚生労働省「第42回社会保障審議会医療保険部会配布資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000wci7.html


(宮武貴美


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