メンタルヘルス不全による長期休業者は5年間で倍増
厚生労働省は先週、平成22年の労働安全衛生基本調査の結果を公表しました。この中には各種安全衛生管理体制の整備状況や安全衛生活動・健康診断などの実施状況などがまとめられていますが、中でも注目なのがメンタルヘルスに関する状況の調査結果です。
これによれば、メンタルヘルス上の理由により連続1か月以上休業した労働者がいる事業所の割合は5.9%となり、5年前の前回調査である2.6%から倍増という結果になっています。グラフはこれを従業員規模別に見たものですが、1,000人以上規模では90.3%、100人~299人規模でも30.4%の企業で1か月以上の休職者が発生しています。厚生労働省は7月に、従来「4大疾病」とされてきたがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病に精神疾患を追加して「5大疾患」とする方針を示しましたが、データからもその深刻な状況が読み取ることができます。
、なお、連続1か月以上休業し、その後、職場復帰した労働者がいる事業所のうち、明文化された職場復帰に関するルールがある事業所は全体の21.6%。1,000名以上規模では70.6%であるのに対し、50人以上99人以下の中小企業では20.9%に止まっており、その体制整備の遅れが指摘されます。
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参考リンク
厚生労働省「平成22年 労働安全衛生基本調査」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/49-22.html
(大津章敬)
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