[改正派遣法(5)]派遣元会社に大きな影響となるマージン率の公開義務化

yen 改正労働者派遣法の特集の5回目は、改正により派遣元会社に大きな影響を与えると考えられるマージン率等の情報公開の義務化について取り上げることにしましょう。

 派遣会社は、基本的には派遣先から受け取る派遣料金と派遣労働者に支払う賃金の差額により、事業運営を行っています。この差額が派遣料金のどの程度を占めるかという割合をマージン率と呼んでおり、今回の法改正でマージン率等の情報を公開することが義務づけられました。

 このマージン率は、事業所ごとの労働者派遣に関する料金額の平均額から、派遣労働者の賃金の平均額を控除したものを分子に、労働者派遣に関する料金額の平均額を分母として算出します。算出したマージン率は、事業所への備付け、インターネットの利用、その他の適切な方法により情報提供することが求められています。この情報提供の対象については、マージン率も含めると、以下の7つが定められています。
事業所ごとの派遣労働者の数
労働者派遣の役務の提供を受けた者の数
マージン率
教育訓練に関する事項
労働者派遣に関する料金の額の平均額
派遣労働者の賃金の額の平均額
その他労働者派遣事業の業務に関し参考となると認められる事項

 情報公開という観点では、この他にも派遣労働者を雇入れする際に、雇用した場合の賃金の見込み額をはじめとした待遇に関する事項を、労働者自身に明示することが求められています。

 マージン率が公開となることで、派遣労働者がマージンの水準、そしてその利用のされ方などに敏感となることが想定されます。派遣会社は派遣労働者から質問された際に適切な説明ができるような準備をしておく必要があるでしょう。


岩出誠弁護士による法改正対策セミナーを東京と大阪で開催

 労働者派遣法や労働契約法、高年齢者法などの改正のポイントと実務上の対策について取り上げるセミナーを開催します。
有期労働契約法制をはじめとした労働関係法改正の現状と今後
講師:岩出誠弁護士
(ロア・ユナイテッド法律事務所代表パートナー)

[日時および会場]
(1)東京会場
平成24年8月31日(金)午後1時30分~午後4時30分
 総評会館 大会議室(御茶ノ水)
(2)大阪会場
平成24年9月14日(金)午後1時30分~午後4時30分
 マイドームおおさか 第1・2会議室(堺筋本町)

[詳細およびお申込み]
 本セミナーの詳細およびお申し込みは以下よりお願いします。なお、LCG会員のみなさんは専用ホームページ「MyKomon」よりお申し込みをお願いします。
http://www.lcgjapan.com/sr/seminar/1209sr3rd.html


関連blog記事
2012年8月18日「[改正派遣法(4)]1年以上の有期雇用派遣労働者は無期雇用への転換推進措置が努力義務に」
https://roumu.com
/archives/51946691.html

2012年8月13日「[改正派遣法(3)]自社の従業員を離職後1年以内で派遣労働者として受け入れることが禁止に」
https://roumu.com
/archives/51946684.html

2012年8月8日「[改正派遣法(2)]早急な対策が求められるグループ内企業派遣の規制強化」
https://roumu.com
/archives/51946490.html

2012年8月6日「[改正派遣法(1)]日雇派遣の原則禁止と例外となる労働者」
https://roumu.com
/archives/51946238.html

参考リンク
厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業等」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/

(宮武貴美)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。