未払い残業代請求問題というのはどのようなものですか?

 服部社長は先日、書店で週刊誌を眺めていた際にある雑誌に「残業代を取り戻せ!これから未払い残業代請求のビッグウェーブがやって来る!」という特集記事を見つけ、早速購入した上で読んでみた。その翌日、ちょうど大熊社労士の訪問日であったので、この問題について質問してみることにした。



服部社長服部社長:
 おはようございます、大熊さん。この週末は気持ちの良い晴天でしたね。しかし、真っ黒に日焼けされていますね。どこか旅行にでも行かれたのですが?
大熊社労士:
 まるでハワイにでも行ったのかとよく言われるのですが、残念ながら近くの公園に行った程度ですよ。愛犬を連れて、ビールを飲みながら読書をしていたら、思いのほか日焼けしてしまいました。それでもこの時期は本当に気持ちがよいものです。
服部社長:
 本当にそうですね。私も天気がよかったので妻と近くの書店まで散歩に行ったのですが、そこでこんな雑誌を見つけたのですよ。この特集記事を見てください。
大熊社労士:
 「残業代を取り戻せ!これから未払い残業代請求のビッグウェーブがやって来る!」ですか。いわゆる「未払い残業代請求問題」ですね。どれどれ、どんな内容かな…。ふむふむ。一般の週刊誌ですから若干大袈裟に表現されていますが、大筋の話はそのとおりですね。こういう記事などの影響もあって、今後はこうしたサービス残業代を企業に対して請求する事件が急増するであろうと言われています。
宮田部長:
 それを「未払い残業代請求問題」と言うのですか。
大熊社労士:
 はい、そのとおりです。こうした請求は従来からありましたが、今回爆発的に増加するのではないかと懸念されている背景には、こうした労働者の請求を支援する組織や制度などが充実してきていることがあります。例えばこれまでも労働基準監督署に相談したり、外部ユニオンに駆け込んで団体交渉要求を行なうというようなことがありましたが、今後は一部の弁護士や司法書士がそうした支援をサービスとして大々的に展開するのではないかと言われており、既にその予兆は出始めているのです。
宮田部長:
 弁護士や司法書士といった法律家がその支援を行なうのですか。
大熊社労士:
 はい、部長は確か電車通勤でいらっしゃいましたよね?とすると毎日の通勤電車のドアの上などに過払い金請求に関する法律事務所などの広告を目にされているのではありませんか?
宮田部長宮田部長:
 「あなたの借金は取り戻せるかも知れません、まずはお電話を」というような広告ですよね?目にするも何も、そんな広告ばかりですよ。最近は有名タレントを起用した広告なども見るようになりましたが、法律家がこんな広告を打つようになったとは時代も変わったものだという印象を受けていました。
大熊社労士:
 そうですよね。私も出張が多いので全国いろいろな町で電車に乗りますが、どこの地方に行っても同様の広告を数多く目にします。問題はここからなのですが、この過払い金請求問題も法改正によりそろそろ終息が近付いていると言われます。そこで今後、こうした法律事務所が狙うのが未払い残業代の請求であるとされています。法律により確実に支払いが求められていながら、多くの企業でサービス残業が横行しており、また請求の相手も比較的支払い能力が高い法人であることから法律事務所の事業としては有望なのでしょう。
服部社長:
 これまでは消費者金融会社だけがターゲットだったものが、今後はすべての企業がターゲットになるということですね。
大熊社労士大熊社労士:
 そのとおりです。そもそもは法律の求めるとおりに残業代を支給していない企業に問題があるとは言え、多くの従業員や退職者より一斉に未払いの残業代を請求されるとすれば、下手をすれば企業の存続にも関わる大問題にも発展しかねません。例えば毎月30時間で残業代をカットしているというような明らかな不払いの場合もありますが、この未払い残業代については企業が無意識のうちに起こしてしまっている問題も少なくありません。例えば残業代の計算方法に間違いがあるであるとか、歩合給部分について残業代が支給されていない、営業職の残業代の取扱いについて問題があるなど、様々なパターンがあります。
服部社長:
 そうですか。基本的に当社では問題はないと思っていますが、心配ではありますね。そうした問題になりやすいポイントについてもう少し詳しく教えてもらえませんか?
大熊社労士:
 分かりました。それでは順を追って説明していきましょう。それではまず…


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は今後大きな社会問題になることが懸念されている未払い残業代問題について取り上げました。具体的な内容は次週以降にお伝えしますが、すべての企業にとって重要な問題ですので、この連載の内容をもとに、自社の取扱いに問題がないかチェックして行って頂ければ幸いです。それでは次週以降をお楽しみに。



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(大津章敬)


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