離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(7)再就職後、短期間で離職した際の取扱い

 離職票を受け取った従業員が何をするべきか宮田部長にレクチャーしてきたが、いよいよ今回が最後。少しイレギュラーな取り扱いではあるが、いまの宮田部長なら付いて来れるだろうと思い、大熊は話題に出した。
過去6回の記事はこちら
2013年7月22日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(6)就職決定時に受給できる再就職手当とは」
https://roumu.com/archives/65620632.html
2013年7月8日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(5)失業手当受給に必要な求職活動とは」
https://roumu.com/archives/65618803.html
2013年6月17日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(4)病気や定年で受給期間を延長するには」
https://roumu.com/archives/65615474.html
2013年6月10日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(3)認定日と失業認定申告書とは」
https://roumu.com/archives/65614341.html
2013年6月3日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(2)待期と給付制限」
https://roumu.com/archives/65613496.html
2013年5月27日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(1)離職理由の確認」
https://roumu.com/archives/65613436.html


大熊社労士:
 今日はお伝えしていた通り、再就職をした後、すぐに退職をしてしまった場合の基本手当(失業手当)の取扱いについて解説することにしましょう。
宮田部長:
 今回が最終回でしたよね、なんだかいろいろ勉強してきたな。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。最初の頃にお話ししたものは忘れていませんか?ちょっと振り返ってみてくださいね。さて、失業手当は「働く意思と能力」があることを前提に、給付が受けられるものでしたよね。ですので、求職活動をしなければ給付が受けられません。それで、めでたく就職先が決まるとします。
宮田部長:
 失業手当は受けることができなくなりますね。場合によっては再就職手当がもらえる・・・でしたっけ?
大熊社労士:
 そうですね。その方がそのまま長く新しい就職先に勤務してくれれば特に問題ないのですが、再就職先でうまくいかず、退職というケースもありえます。
宮田部長:
 そういえば、当社でも以前に想像していた仕事とまったく違うという理由で1週間も経たずに辞めていった社員がいましたね。
大熊社労士:
 合わない仕事をいやいや続けているよりは、退職という選択肢を進むことも一つかと思います。ただ、宮田部長がおっしゃったように1週間も経たずに退職してしまうと、当然ながら、新しい会社で加入していた雇用保険で失業手当がもらえる状況ではありません。
宮田部長:
 確かに給与額もわずか、離職票を作る必要性があるの?と疑問に思ってしまいます。
大熊社労士:
 そのようなときは、以前の失業手当をもらうことができる場合があります。少し回りくどい言い方をしてしまいましたが、誰でももらえるわけではなく、まず、当初の受給資格期間・・・原則1年以内とお伝えしましたよね・・・内でなければなりません。
宮田部長:
 つまり、以前の会社をやめてから1年ということですね。
大熊社労士:
 はい、その通りです。1年でもらいきらないと、残りの日数分は消滅してしまいます。さらには求職の申込を再度行うことになります。
宮田部長:
 なるほど、失業手当は求職している人が対象ですもんね。それで、新しい会社を辞めた翌日から、受給できるのですか?
大熊社労士:
 そうです、と言いたいところですが、求職をしていることが必要ですので、退職後にハローワークに行き、届出をした日からになります(給付制限期間中だった場合には給付制限期間終了後)。だから気を抜いていると時間が経過し、もらい始める日も少なくなり、1年以内にもらいきれないという事態に発展したりします。
宮田部長宮田部長:
 それはたいへんですね。そういえば、前回教えていただいた再就職手当をもらった人はどうなるんですか?一時金でもらってしまったから、もう権利がなくなる感じですかね?
大熊社労士:
 鋭い質問ですね。再就職手当をもらった場合には、もらった日数分を差し引いた日数分についてはもらえることになります。
宮田部長:
 なるほど、そういう仕組みになっているんですね。だったら、再就職手当をもらっても安心・・・安心という表現は変か・・・・ですね!?
大熊社労士:
 はい、ちなみに新しい会社で12ヶ月以上(解雇等であれば6ヶ月以上)勤務し、新しい会社で加入した雇用保険で受給資格が得られる場合には、以前の受給資格における支給残日数がいくら残っていても消滅することになります。そして、もちろん受給資格の手続きも最初から行うことになりますので、少し手間ですね。
宮田部長:
 なるほど。良くわかりました。ありがとうございました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。この連載も今日で最後です。最後までお読みいただいた方、ありがとうございました。今回の連載では、職業訓練を受けた場合の取り扱いや、就業手当についてなど、省いた部分もあります。いろいろなパターンがあるので、失業手当をもらうときには、ハローワークの職員の方に相談しながら、再就職の手続きをしてもらえればと思います。


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2013年7月22日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(6)就職決定時に受給できる再就職手当とは」
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2013年5月27日「離職票を受け取った従業員のハローワークでの手続き(1)離職理由の確認」
https://roumu.com/archives/65613436.html

参考リンク
ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_procedure.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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