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求められる企業内の不正行為を適切に解決するための内部相談窓口の整備

 企業内部の不正行為が明るみに出て、社会的な課題に発展することがあります。また、判明した不正行為に対し、誠実な対応を取らないことで、更なる大きな課題になることもあります。本来は、不正行為が小さなうちに発見され、企業内の自浄作用で解決することが望ましいのはいうまでもないことです。

 自浄作用が適切に機能されるためには、不正の事案が適切に通報されるように窓口を設置し、その不正に対して適切に対応する体制整備が必要になります。不正の発見や把握はその企業に勤めている従業員が発見することが多くありますが、通報することにより、不利益な取扱いが行われないことが保障されている必要があります。公益通報者保護法では、従業員が勤務先の不正行為を通報したこと(公益通報)を理由とする解雇や降格、不自然な異動などの不利益な取扱いから保護されるための条件を定めています。また、従業員が301人以上の企業には、内部通報窓口の設置義務があります。ただし、この法令の理解や浸透はまだまだ低い状況にあるかと思います。

 今回、消費者庁は「内部通報制度導入支援キット」を作成し、ホームページ上で公開しました。公開されたものには、従業員向けの動画や経営者向けの動画の他、内部規程例のサンプル、従事者指定書のサンプル、チェックリストつきのパンフレット等があります。

 整備が進んでいない企業は、自社を守るためにもこれらの情報をもとに早急に体制整備を進めましょう。


参考リンク
消費者庁「はじめての公益通報者保護法」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/hajimete

(宮武貴美)

「つながらない権利」によって勤務時間外の連絡を拒否したいという回答が72.6%

 デジタルデバイスの普及、そしてコロナ以降のテレワークの増加により、「つながらない権利」についての関心が高まっています。つながらない権利とは、勤務時間外に、仕事上のメールや電話への対応を労働者が拒否することのできる権利のことを言いますが、このテーマについて連合が調査結果を公表しましたので、今回はそのポイントを取り上げます。
(1)勤務時間外における仕事の連絡の有無
 現在、勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくることはどのくらいあるかという設問については以下の状況となっています。
連絡がくることがある 72.4%
ほぼ毎日 10.4%
週に2~3日 14.3%
月に2~3日 12.1%
月に1日以下 17.9%
連絡がくることはない 27.6%

(2)勤務時間外における取引先からの業務上の連絡の有無
 現在、勤務時間外に取引先から業務上の連絡がくることはどのくらいあるかという設問にへの回答は以下のとおり。
連絡がくることがある 44.2%
連絡がくることはない 55.8%

(3)勤務時間外の業務上の連絡とストレスとの関係
 勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくるとストレスを感じるかという設問への回答は以下の通り。
感じる 62.2%
感じない 37.8%

 また、勤務時間外に部下・同僚・上司からきた業務上の連絡の内容を確認しないと、内容が気になってストレスを感じるかについては以下の通り。
感じる 60.7%
感じない 39.3%

(4)自身の職場における「勤務時間外の取引先との連絡(業務上の連絡)」についてのルールの有無
ある 19.9%
ない 45.8%
わからない 34.4%
 なお、テレワークの可否別にみると、「ある」と回答した人の割合は、テレワークができる人では30.2%と、テレワークができない人(9.0%)と比べて21.2ポイント高くなっています。

(5)「つながらない権利」によって勤務時間外の連絡を拒否できるのであれば、そうしたいか
非常にそう思う 29.2%
ややそう思う 43.4%
あまりそう思わない 21.5%
まったくそう思わない 5.9%

 このように、「つながらない権利」によって勤務時間外の連絡を拒否できるのであれば、そうしたいと思うという回答は合計で72.6%となっています。柔軟な働き方が増加する中で、今後、つながらない権利についての議論は進んでいくことになるでしょう。


参考リンク
連合「“つながらない権利”に関する調査2023(2023/12/7)」
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20231207.pdf

(大津章敬)

今後の少子化対策を盛り込んだ「こども未来戦略」案が公開

 少子化対策は今後の我が国の国力にも関わる重大な問題となっていますが、今後の少子化対策の強化を打ち出す「こども未来戦略」案が昨日(2023年12月11日)、こども未来戦略会議で公開されました。
 
 今回、次元の異なる少子化対策としては、以下3つを基本理念として抜本的に政策を強化するとしています。

  1. 構造的賃上げ等と併せて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やすこと
  2. 社会全体の構造や意識を変えること
  3. 全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援すること

 今回のこども未来戦略案の中では具体的に以下のような対策が示されています。

  1. 児童手当の所得制限撤廃。支給期間の高校生までの延長。
  2. 「出産・子育て応援交付金」(10万円)の2024年度における継続実施
  3. 2026年度を目途とした出産費用(正常分娩)の保険適用
  4. 貸与型奨学金の減額返還制度の年収上限の引き上げ
  5. 授業料等減免及び給付型奨学金の拡大
  6. 多子世帯の学生等の授業料等の無償措置
  7. 短時間労働者への被用者保険の適用拡大
  8. 最低賃金の引上げ
  9. 公的賃貸住宅における子育て世帯等の優先的入居の仕組み導入
  10. 保育士等の処遇改善
  11. 「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設
  12. 男性の育児休業取得率政府目標の大幅引き上げ(2030年 公務員85%、民間85%)
  13. 育児休業取得率開示制度の常時雇用労働者数300人超の事業主への拡充
  14. 出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得する場合の育児休業給付の給付率の80%(手取りで10割相当)への引き上げ
  15. 「親と子のための選べる働き方制度(仮称)」の創設
  16. 「育児時短就業給付(仮称)」を創設し、こどもが2歳未満の期間に時短勤務を選択した場合に、時短勤務時の賃金の10%を支給
  17. 子の看護休暇の対象となるこどもの年齢を小学校3年生修了時まで引き上げ

 今後の政策、そして実務に大きな影響を与える内容となっていますので、関心のある方は以下の案をチェックしてみてはいかがでしょうか?
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai8/siryou1.pdf


参考リンク
内閣官房「こども未来戦略会議(第8回)議事次第(2023/12/11)」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai8/gijisidai.html

(大津章敬)

介護休業は家族を介護するための休業ですよね?

大熊社労士
 こんにちは、大熊です。ずいぶんご無沙汰しました。
服部社長服部社長
 大熊さん、ご来社ありがとうございます。
福島さん
 実は、宮田部長が先日から休んでいまして、今後のことが不安になっていると社長にお伝えしたところ、大熊先生に相談しようという話になりました。
大熊社労士
 え!宮田部長、どうかされたのですか?
服部社長
 実は、父親が倒れたとのことで先週から休んでいます。もしかすると、介護が必要な状態になるかもしれないと言ってます。そのような状況ですので、しっかりと休みを取って、父親のそばにいて欲しいと思っています。
大熊社労士
 ありがとうございます。宮田部長がお休みされていることで滞っていることはありますか。
福島照美福島さん
 日常的な業務は私のほうで担当しているので、大きな問題はありません。ただ、従業員からくる質問について、本当に私の判断であっているのかというような不安があります。
服部社長
 福島さんに負担をかけて申し訳ないね。何かあれば私が責任をもって判断するからね。
大熊社労士
 何かあれば、私も頼ってくださいね。気になるのが宮田部長のお父様の状況ですが、把握されていますか?
服部社長
 本人から連絡があるので、ある程度は分かっています。現在は手術をして入院中とのことです。意識はしっかりしているのですが、高齢ということもあり、退院したらもしかすると、車いすの生活になるかもしれないとのことでした。
大熊社労士
 なるほど。たいへんになりそうですね。ちなみに宮田部長はお父様と同居されているのですか?また、ほかに介護ができるご家族はいらっしゃるのでしょうか。
福島さん
 宮田部長、奥様、お父様との3人暮らしと聞いたことがあります。奥様も働いているので、宮田部長も介護にたずさわる必要があるかもしれませんね。
服部社長
 ごきょうだいもいるようですが、遠方に住んでいるはず。介護となると同居している宮田部長を中心に対応する必要があるのじゃないかな。
大熊社労士
 なるほど。
福島さん
 私自身は、宮田部長がこのままお父様の介護のために会社を辞めるというようなことになってしまうのか不安に思っています。
大熊社労士
 確かに不安に思いますよね。ただ、今は仕事と介護の両立のための制度が育児・介護休業法で整備されています。安易に退職を選択することのないように、服部社長からも制度の利用を推進してもらえればと思います。
服部社長
 もちろんです。ただ、介護休業は3ヶ月くらいですよね。それで父親の介護が終わるのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士
 終わるかどうかはわからないですが、現在の介護休業の制度は、仕事との両立をするための制度になっています。宮田部長の場合も介護休業でお父様の介護に専念をするのではなく、介護休業をとるのであれば、復帰して介護をしつつ働いてもらえるようにする必要があるのでしょう。あ、もちろん介護に専念するということであれば、その目的で介護休業を利用いただいてもかまいません。
服部社長
 なるほど、ついつい自分で介護することを想像しがちですが、今は介護保険制度を利用して、ほかの人の手を借りることも考える必要があるのでしょうね。
大熊社労士
 その通りです。社長からはぜひ、仕事との両立をしてもらうように宮田部長に声掛けのほう、よろしくお願いいたします。
福島さん
 大熊先生、お話を聞いていて、私、従業員の仕事と介護の両立について考えたことがありませんでした。また、いろいろ教えてください。よろしくお願いいたします。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 ご無沙汰をしています。大熊です。介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するための休業です。「介護するため」というのは、直接的に介護をするほか、例えば介護のために自宅をリフォームするといった対応のための休みとしても利用することができます。また、介護休業以外の制度も整備されています。今後も家族の介護をテーマに内容を確認していくことにしましょう。


参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
(宮武貴美)

「心の病」の発生と関連性が高いと考えられる職場の状況

 メンタルヘルス不調者の問題はいまや多くの企業に共通するテーマとなっていますが、本日は日本生産性本部が公表した「第11回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果」のポイントを見ていきたいと思います。なお、この調査は、新興市場を除く上場企業の人事担当者を対象に実施されたもので、有効回答数は169社となっています。
 
 これによれば、「心の病」の増減傾向は、前回の2021年調査と比較して以下のように「増加傾向」が倍増しています。
 増加傾向 45.0%(前回22.9%)
 横ばい  45.0%(前回59.7%)
 減少傾向 5.9%(前回11.1%)
 わからない 4.1%(前回6.3%)

 ここまで増加傾向が多くなっているのは、コロナ禍における働き方や職場環境の変化が大きく影響していると思われますが、今回の調査では、組織の状態や取り組みと「心の病」の関係性についても調査されており、以下のように非常に興味深い結果が出ています。以下の数値は心の病が「増加傾向」にあると回答した割合となっています。
(1)従業員が組織・職場とのつながりを感じにくくなっている
 そう思う 54.1% そう思わない 35.8%
(2)会社の理念や経営方針は従業員に浸透している
 そう思う 40.6% そう思わない 52.5%
(3)仕事の全体像や意味を考える余裕が職場になくなっている
 そう思う 49.0% そう思わない 38.7%
(4)規範(モラル)に対する意識が弱まっている
 そう思う 60.9% そう思わない 39.2%

 このように組織の状態と「心の病」の発生には一定の関係性があると考えられます。中でも職場との繋がり、そして規範に対する意識は、この問題の改善において大きなヒントになるのではないでしょうか。


参考リンク
公益財団法人 日本生産性本部「第11回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果(2023/11/9)」
https://www.jpc-net.jp/research/detail/006654.html

(大津章敬)

週休3日制の導入率は14.1%

 話題の週休3日制ですが、その導入状況や実際の労働者の意識はどのようなものなのでしょうか?今回はマイナビが実施した「週休3日制に関する意識調査(2023年)」の内容を見ていきましょう。なお、この調査は20~59歳の会社員(正社員)を対象に実施されたもので、有効回答数は900名となっています。
(1)現在の勤め先に週休3日制が導入されているか
はい 10.0%
はい(あるけど使っていない) 4.1%
いいえ 79.8%
分からない 6.1%

(2)職場に週休3日制を導入してほしいと思うか
はい 52.7%
いいえ 47.3%

(3)現在の職場で週休3日制は可能か
可能 14.0%
どちらかと言えば可能 25.6%
どちらかと言えば不可能 30.1%
不可能 30.3%

(4)現在の職場で週休3日制が導入されたら利用したいか
a.労働時間が短くなるのに比例して、収入も減る場合
利用したい 14.9%
どちらかと言えば利用したい 18.3%
どちらかと言えば利用したくない 25.1%
利用したくない 41.7%

b.1日の労働時間が増えて、収入は変わらない場合
利用したい 20.8%
どちらかと言えば利用したい 30.7%
どちらかと言えば利用したくない 25.3%
利用したくない 23.2%

c.1日の労働時間も収入も変わらない場合
利用したい 45.7%
どちらかと言えば利用したい 31.1%
どちらかと言えば利用したくない 12.6%
利用したくない 10.7%

 このように14.1%が、現在の勤め先に週休3日制が導入されていると回答しており、予想以上に週休3日制を導入している企業が多いことが分かりました。その利用意向については、やはり収入の減少を懸念する方が多くなっているようですが、「b.1日の労働時間が増えて、収入は変わらない場合」については、合計で51.5%が利用したいと回答しており、変形労働時間制を活用して1日の所定労働時間を10時間とするような制度設計であれば、比較的利用者も多くなるのではないかと思われます。
 
 週休3日制を導入する際には、単に採用上の目玉を作るという視点ではなく、その狙いを明確にした上で制度設計を行うことで、納得感をもって制度運営を行っていきたいものです。制度導入の結果、社員間の不公平感が大きくなり、むしろ人手不足に拍車がかかるということにならないように注意しましょう。


参考リンク
マイナビ転職「週休3日制に関する意識調査(2023年)(2023/11/21)」
https://www.mynavi.jp/news/2023/11/post_40284.html

(大津章敬)

年収の壁対応策 キャリアアップ助成金の新コースの動画が公開

 年収の壁対応策として公表された複数のメニューのうち、新たに社会保険に加入したパートタイマー等に対する企業への助成金として、キャリアアップ助成金の新コースが設けられました。

 制度が複雑であり、なかなか全体像を理解することが難しいものになっていることもあり、厚生労働省は制度の解説をした動画の公開をしました。公開された動画は以下の2本になります。

それぞれ以下の内容になっていますので、助成金を検討する際にまずは視聴するとよいでしょう。

・「年収の壁・支援強化パッケージ」キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コースのご案内~概要編~
① 社会保険適用時処遇改善コースとは? 00:57
② 社会保険適用上の従業員数の考え方 03:57
③ 助成金の対象となる事業主は? 05:08
④ 助成金の対象となる労働者は? 06:21
⑤ 申請に当たってはまず何をすればいいの? 09:05
⑥ お問い合わせ先など 12:17

・「年収の壁・支援強化パッケージ」キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コースのご案内~各メニュー編~
① 手当等支給メニュー 02:32
② 労働時間延長メニュー 09:04
③ 併用メニュー 12:26
④ キャリアアップ助成金の活用で何が変わるの? 15:34
⑤ お問い合わせ先 17:05


参考リンク
厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
(宮武貴美)

退職代行の利用率は2% 職場の人間関係などが背景に

 ここ数年、従業員の退職の際、退職代行のサービスが利用されることがあります。この実態についてエン・ジャパンが調査を実施しました。非常に珍しい調査ですので、そのポイントを取り上げたいと思います。なお、この調査の対象は同社の「エン転職」を利用するユーザーで、有効回答数は7,749名となっています。
(1)退職代行というサービスを知っていますか?
 知っている 72%
 知らない 28%
(2)退職代行サービスを利用したことがありますか?
 ある 2%
 ない 93%
 自分ではなく同僚や知人が利用した 5%
(3)【退職代行サービスを利用したことがある」との回答者】退職代行を利用した理由を教えてください。
50% 退職を言い出しにくかったから
44% すぐに退職したかったから
32% 人間関係が悪かったから
31% パワハラやセクハラの被害に遭っていたから
27% 退職を認めてもらえなかったから
(4)【退職代行サービスを利用したことがある」との回答者】どのような環境や条件があれば、退職代行を利用しなかったと思いますか?
60% 上司が話しやすい
56% 職場の人間関係がよい
42% 退職意向をきちんと認めてくれる風土がある

 このように退職代行の利用率は2%とそれほど高いものではありませんが、実際の利用の背景には職場内の人間関係に問題があるケースが多いと考えられます。退職代行からの退職申し出を受けた企業の多くは「直接言ってくれればいいのに」という感想を持たれることが通常ですが、同時に直接言い出すことができなかった何らかの問題が起きていると考えることも必要なのでしょう。


参考リンク
エン・ジャパン「7700人に聞いた「退職代行」実態調査(2023/10/31)」
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2023/34896.html

(大津章敬)

宮武貴美新刊「総務担当者のための介護休業の実務がわかる本」2023年11月25日発売

 社会保険労務士法人名南経営の宮武貴美の新刊「総務担当者のための介護休業の実務がわかる本」が2023年11月25日に発売となることが決まりました。現在、予約を受け付けておりますので、是非お買い求めください。


書名:総務担当者のための介護休業の実務がわかる本
著者:宮武貴美(特定社会保険労務士) 社会保険労務士法人名南経営
発売日:2023年11月25日
出版社:日本実業出版社
ISBN-10:4534060610

 少子高齢化や雇用延長などの影響により、従業員が働きながら、親や配偶者、子どもなどの「家族の介護」をするケースが増えています。今後のさらなる高齢化や、人材不足、労働力の確保のことを踏まえると、企業は育児・介護休業法に基づいた「介護休業等の制度」を整備・対応することが必要です。

 とはいえ、従業員が家族を介護するケースはさまざま。その実態を把握するのは容易ではありません。また、介護にまつわる制度は複数あるため、どの制度を利用するか選択を迫られますが、そもそも制度のことがよくわからない担当者も多いようです。

 本書は、従業員への対応や手続きに戸惑う総務担当者をバックアップする「介護休業の解説書」。
「両立支援制度や会社がやるべき手続きにはどんなものがあるの?」
「従業員から『家族の介護状況』をどうやって把握すればいい?」
「介護離職を防ぐために管理職が知っておきたい適切な対応とは?」etc.

 育児・介護休業法に基づいた「介護休業にまつわる実務」を、総務担当者の役割を意識しながら、わかりやすく解説。「従業員」と「企業」、それぞれに役立つ内容になっています。

なお、本書には、
1. 育児・介護休業規程の文例
2. 従業員向け「仕事と介護の両立支援」の手引き
3. 管理職向け「仕事と介護の両立支援」の手引き
等をダウンロードできるサービスが付いています。制度をきちんと説明できるかどうか心配な方は、こちらのダウンロードサービスを、とことんご活用ください。
■amazonでのご予約は以下にてお願いします。
https://amzn.to/479mJ2B

(大津章敬)

厚生労働省「配偶者手当見直し検討のフローチャート」を公開

 いわゆる「年収の壁・支援強化パッケージ」の中では、106万の壁と130万の壁への対応に加え、配偶者手当への対応が盛り込まれています。
 
 多くの企業で支給されている配偶者手当ですが、所得税法上の扶養の範囲内にある配偶者などが対象とされていることが多く、結果的に女性の就業調整の要因の一つになっています。そのため、国としては家族手当について、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることを推進しています。
 
 今回、そのためのツールとして「配偶者手当見直し検討のフローチャート」が作られ、公開されました。現実の企業の現場を見ても、共働きが当たり前となっている若手社員には手当が支給されず、比較的所得が高く、専業主婦であっても生計維持に問題がないベテランの男性社員だけが配偶者手当を受給するといった不公平も発生しています。
 
 最終的にどのような制度にするかは様々だと思いますが、まずはこういったツールを活用し、労使の議論を進められてはいかがでしょうか?


参考リンク
厚生労働省「企業の配偶者手当見直し検討のためのわかりやすい資料を作成しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35882.html
厚生労働省「企業の配偶者手当の在り方の検討」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/haigusha.html
厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html

(大津章敬)