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人事評価結果マトリックス

人事評価結果マトリックス 人事評価を行う際、まずは相対的な順位付けを行い、その後、その評価を行った具体的な理由付けを行うことで、評価を決定していく「認定方式」の人事評価制度で使用する基本書式の1つ。認定方式の人事評価制度ではこの「人事評価結果マトリックス」と、改めてご紹介する「人事評価結果理由記入書」の2つがベースとなります。なお、この書式では加点評価方式が採用されておりますので、通常のSABCD評価の場合には左側の縦軸の標語を変更してご利用ください。

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WORD12Word形式 hyouka_mtrx.doc(11KB)
PDF12PDF形式 hyouka_mtrx.pdf(8KB)
[ワンポイントアドバイス]
 中堅・中小企業において本当の納得性と高い成果を望むのであれば詳細な基準が書かれた人事評価表を廃止し、人事評価の原点である「認定方式」に移行することが求められます。この認定方式を簡単に言えば「もう順番はほぼ決まっているのだから、先に評価段階を決める。そして後から具体的な事実をもってその理由付けをする」という方法ですが、社員の動きがある程度見える従業員数300名程度までの中堅・中小企業では、この手法をベースに人事評価制度を設計することが、人材活性化のためのポイントとなります。

 具体的には今期の社員の評価を相対評価で行い、その名前をこのマトリックスに記入してください。その上で別紙の「人事評価結果理由記入書」において、「なぜ、自分は彼(彼女)をそう判断するか」の理由を明確に示し、評価を認定していきます。

 なおより具体的な内容につきましては拙著「強い会社を作る人事賃金制度改革―成果主義の失敗から学ぶ人事制度改革成功の法則」をご参考頂ければと思います。

(大津章敬)

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解雇予告通知書

解雇予告通知書 従業員に解雇を予告する際に交付する解雇予告通知書。解雇の手続には、解雇予告あるいは解雇予告手当の支払いが必要になっています。解雇をめぐる紛争は非常に多いため、書面で通知することがその後のトラブルの防止につながります。
□重要度 ★★★★
□官公庁への届出 不要
□保存期間 3年間(後々のトラブル発生を想定すれば、できるだけ長く保存することが望ましい)

[ダウンロード]
WORD12Word形式 kaikoyokoku_tuchi.doc(29KB)
PDF12PDF形式 kaikoyokoku_tuchi.pdf(7KB)

[ワンポイントアドバイス]
 解雇を行う際には、解雇予告を行った日と労働契約の解除日(退職日)の間に30日以上の期間が必要となります。この期間が30日に満たない場合は、不足の日数分の平均賃金の支払いをしなければなりません。さらに、この解雇予告通知書に解雇理由を追加して記すことは、従業員本人が解雇理由を受諾することにもなり、その後のトラブルを未然に防止する役目を果たします。

 労働基準法の一部を改正する法律(平成16年1月1日施行)により、就業規則の絶対的記載事項を定める労働基準法第89条第3号の「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」が改正されました。これによって、就業規則に「解雇の事由」を記載することが義務づけられています。既に作成している就業規則に「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載していない場合には、「解雇の事由」を記載した上で、改めて労働基準監督署へ届け出ることが必要です。

[根拠条文]
労働基準法第20条(解雇の予告)
 使用者は、労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前にその予告をするか、あるいはこれに代えて、30日分以上の平均賃金を支払うかしなければならない。

労働基準法第87条(就業規則の作成)
 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、一定の事項について、就業規則を作成し、これを遅滞なく所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。これを変更した場合も、同様である。
1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
2 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
3の2 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
4 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
5 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
6 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
7 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
8 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
9 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
10 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

(福間みゆき)

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目標管理表

目標管理表 人事評価制度を構築する際、目標管理制度の導入が行われることが多いと思いますが、この書式はその際の標準的な書式の1枚になります。項目毎に「ゴールの姿」「行動計画」「期限」を期首に定め、期末にその達成状況に関する評価を実施します。人事評価として活用する以前に、社員と会社のベクトルを合わせ、それを効果的に遂行する経営管理上の仕組みとして有用でしょう。

[ダウンロード]
WORD12Word形式 mbo.doc(11KB)
PDF12PDF形式 mbo.pdf(8KB)
[ワンポイントアドバイス]
 目標管理制度は管理職の評価などを行う際にはかなり高い確率で採用される制度ですが、いくつか注意点があります。まずは目標設定において、過度の数値化を強制しないことです。最終的に達成度評価を行おうとすると、どうしても計測をしやすい数値目標を立てさせようとすることになることが多いのですが、その場合、「本来行わなければならない目標」よりも「数値化しやすい目標」が挙げられることがあり、本末転倒となります。また評価の際に単純な達成度評価を行うと、低い目標を立てて、達成度を高めようとする動きが出ますので、これも要注意です。目標管理制度は経営管理上は重要な仕組みですが、人事評価に活用しようとすると問題が出ることが多いため、結論的には評価の際の重要な証拠の1つとして取り扱うのが、まずは現実的でしょう。

(大津章敬)

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労働契約書

労働契約書 従業員を採用する際にもっとも基本となる労働契約書。採用時には原則としてこの労働契約書を用い、書面で労働条件を通知することが義務付けられています。労働に関するトラブルを想定すれば、最低限必要な書式になりますので、必ず整備するようにしましょう。
□重要度:★★★★★
□官公庁への届出:不要
□法定保存期間:3年間(後々のトラブル発生を想定すれば、できるだけ長く保存することが望ましい)

[ダウンロード]
WORD12Word形式 roudoukeiyaku.doc(10KB)
PDF12PDF形式 roudoukeiyaku.pdf(8KB)

[ワンポイントアドバイス]
 基本的には書式にある各項目について、労働条件を決定し、埋めていきますが、就業規則に定めがある項目については、「就業規則の定めるところによる」でも構いません。ただし、その際は就業規則の内容をきちんと説明しておくことが求められます。また、パートタイマーや契約社員など、正社員以外の従業員については、賞与や退職金、雇用期間、特別休暇の有無など、正社員に比べて条件が低いところを特に明確化することが重要です。

[根拠条文]
労働基準法第15条(労働条件の明示)
 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
※労働者に対して明示しなければならない労働条件の詳細については、労働基準法施行規則第5条を参照。

(大津章敬)

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【労務管理は管理職の役割】年次有給休暇と時季変更権

 本日は不定期連載をしております【労務管理は管理職の役割】の第3回目として、現場の管理職が日常よく関わる「部下の年次有給休暇(年休)の申し出」について取り上げてみることにしましょう。


 まずは年休制度の基本を押さえましょう。労働者が年休を取得しようとする際には、使用者の承認は必要ないというのが法律の解釈です。よって、部下から年休申請があった場合には、原則としてその申し出のとおりにそれを取得させる必要があります。ただし、使用者側には、年休取得に関する時季変更権というものが認められています。よって、申し出がなされた際に時季変更権を行使すれば、文字通りその取得時季を変更することができます。しかし、これを広範に認めてしまうと、労働者の年休取得が阻害されることになるため、労働基準法はその行使を制限しています。労働基準法第39条は時季変更権に関し、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」と規定し、単に業務の繁忙という事由だけでは、時季の変更を認めてはいません。それでは「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、どのような場合でしょうか。簡単に言えば使用者が努力したにも関わらず、代替要員を確保できず、事業運営に支障をきたすような場合のことを指しています。例えば、
□少人数の職場で同一日にすでに他の労働者からの申し出がある場合
□インフルエンザなどの流行期で、病欠の労働者が既に多数いるようなときに別の用事で休む場合
□決算期末の棚卸日で、既に人員の役割分担が決まっており余裕がまったくない場合
など、かなり限定されていますので十分注意して取り扱うことが必要です。


 なお、適法に「年休の時季変更権を行使した」にも関わらず、労働者が強行に年休を取得し休んでしまった場合は、無断欠勤となりますので、就業規則に定める懲戒処分の対象とされます。


 年次有給休暇制度に関しては、現在労働政策審議会で議論されている労働時間法制の見直しの中でも、法改正(時間単位の取得など)が検討されていますので、その動向に注目すると同時に、社内で今一度取り扱い方法などについて労使ともに確認しておくことが望ましいでしょう。



参照条文
労働基準法第39条第4項(年次有給休暇)
 使用者は、前3項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
参考判例
林野庁白石営林署事件(最高裁二小 昭48年3月2日判決)
「年次有給休暇の権利は、…労基法39条1、2項の要件が充足されることによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずるものではなく、また、同条3項(現在4項)にいう『請求』とは、休暇の時季にのみかかる文言であって、その趣旨は、休暇の時季の『指定』にほかならないものと解すべきである」


(鷹取敏昭)


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キャリアストレス

 本日はキャリア連載の第3回として、キャリアストレスというテーマを取り上げることとしましょう。ストレスと聞くと何か悪いイメージがあるのではないでしょうか。しかし、この「ストレス」というものですが、必ずしもすべてが“悪”という訳ではありません。もちろん過度なストレスには、様々な健康阻害の危険性が潜んでいますが、例えばストレスを感じることで、程よい緊張感を得るといったプラスの側面を持ち合わせています。


 そうしたストレスの中に「キャリアストレス」と言われるものがありますが、これはどのようなものなのでしょうか。キャリアストレスは、キャリアが注目されるようになり、それにまつわるストレスということで生まれた言葉です。最近ではワークライフバランスへの注目が高まるにつれ、このキャリアを取り巻くストレスについても関心が高まっています。今回は、キャリアストレスの発生原因、引き起こされる問題、そしてそれに対する会社の支援策についてお話します。


 そもそもキャリアストレスはなぜ生じるのでしょうか。その原因は次の3つにまとめることができます。
仕事から受けるストレス
 目標を達成しなければならないというプレッシャーから生まれるストレスはイメージがつくと思いますが、このストレスは、1)同時に2つ以上の役割を期待されて悩む葛藤と、2)役割がわからなくて悩む役割の曖昧に分けることができます。特に役割の曖昧は、社内のコミュニケーション不足などによって、その曖昧さが大きくなります。


人生の節目で感じるストレス
 昇進や転職といった人生の節目となるイベントは、社員個人にとって大きな転機となります。そのため大きな力が必要となり、新しいステージや環境に適応していかなければなりません。


ライフイベントがもたらすストレス
 これは体力の衰えや出産、そして仕事と家庭のバランスといった個人的な事由が原因となるものです。社員にとって初めて降りかかるものであるため、それがストレスに繋がることになります。


 このキャリアストレスは、会社・個人の双方の問題を引き起こすこととなります。会社側としては、社員が成長していかないことや欠勤あるいは退職という事態に頭を抱えかねません。社員個人にとっては、自分の将来が見通せないことに悩み、キャリア意識が下がっていくこともあるでしょう。こうしたキャリアストレスに対し、会社はどのような対策を講じれば良いのでしょうか。キャリアストレスの問題を適切に解消していくためには、昇進や配置転換などのキャリアステージ、転職や出産などのライフステージが変化する際に、相談相手を身近に確保しておくことが求められます。特に、経験者のアドバイスは非常に重みがあり、社員にとって役割モデルという存在になっていきます。また、定期的に様子を確認する機会、例えば数ヶ月毎にメールを入れるといった仕組みを用意することも重要になってくるのではないでしょうか。


 それでは次回は「キャリアアンカー」を紹介していきたいと思います。お楽しみに。


(福間みゆき)


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給与計算で便利なEXCEL TIPS集「効率的にデータ入力したい」

給与計算で便利なEXCEL TIPS集「効率的にデータ入力したい」 本日は「給与計算で便利なEXCEL TIPS集」の第14回として、「効率的にデータ入力したい」をお送りしましょう。


 給与計算ソフトへは様々なデータがインポートできます。「インポートは敷居が高い」などという話も耳にしますが、実際にはインポート作業に慣れると、「数字のみではなく、住所等のデータもインポートできればもっと便利になるのに…」などと考えるようになります。そこで今回は、数字以外のデータをEXCELに入力する際に効率的な「入力規則」というメニューについて説明しましょう。



【質問】
 当社では毎月、多くのパート・アルバイトが入社します。従来は履歴書を見て給与計算ソフトに入力するという作業を行っていました。しかし、給与計算ソフトは1名しか利用できず、また、社員の給与データを見ることができるため、パートの方に入力していただくことができません。EXCELを使ってデータをうまくインポートしたいのですが、何か効率的な方法はありますか?


【回答】
 EXCELの機能「入力規則」を利用することで効率的な入力ができ、入力の形式も揃えることができます。


【解説】
 入力規則というEXCELの機能を用いると、セル単位で入力規則の設定を行うことができます。ここでは仮に氏名のフリガナを入力する例を取り上げてみましょう。
[設定する入力規則]
 半角のカタカナで文字数数は8文字以下


[設定方法]
①設定したいセルを選択し、[データ]-[入力規則]を選択する。
②[設定]タブで以下の設定をする
 入力の種類:文字列(長さ指定)
 データ:次の値以下
 最大値:8
③[日本語入力]タブで以下の設定をする
 日本語入力:半角カタカナ


[実際の入力]
 設定したセルへ入力する際には設定した入力規則に従って変換される。
「やまだ たろう」 → 「ヤマダ タロウ」
「ひがしやま ゆうじろう」 → 「ヒガシヤマ ユウジロウ」 → セルを移動する時点でエラーメッセージが表示(文字数オーバー)


【まとめ】
 複数のメンバーで入力作業をするような場合、全角・半角の問題や文字の長さの問題が頻繁に発生します。今回の入力規則の設定は手間がかかりますが、効率化以上に、この問題を解決するひとつの手立てとなります。弊社の給与計算の入力業務でも使用しており、効果を実感していますので、是非お試しください。


(宮武貴美)


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【労務管理は管理職の役割】残業命令の条件

 従来から時間外労働(残業)をさせることが当たり前のようになっている職場であったとしても、社員に時間外労働をさせるためには一定の条件が整っていなければなりません。また社員から残業拒否されたときに、管理職としてどのように考えれば良いのかなど、本日は管理者のみなさんに押さえておいて頂きたい時間外労働の基本をお話させて頂きます。


【残業はあくまでも「臨時的なもの」】
 労働基準法が定めている法定の労働時間は「1日8時間、1週40時間」となっています。この時間を超えて業務を行う場合、その労働時間が時間外労働となります。労働基準法の趣旨は、時間外労働はあくまでも「臨時なもの」であって、それを無制限に認めている訳ではありません。まずはこの原則を認識しておいてください。


【適法に残業命令を出すための必要条件】
 次に、適法に残業命令を出すための必要な条件を確認しておきましょう。労働基準法では時間外労働を行わせる前提として、以下の要件を定めています。
事業場における労使協定(36協定)の締結および労働基準監督署への届出
36協定の内容に基づいた就業規則や労働協約における定め


 社員に時間外労働をさせるためには以上の要件が必要とされますが、その場合でも常に残業命令が有効であるとはされていません。従来より時間外労働義務の根拠をめぐって、例え36協定の締結や就業規則等への定めがあったとしても、具体的必要が生じたときに個々の労働者の承諾がなければ残業義務はないとする「個別的同意説」と、36協定と就業規則や労働協約があり、具体的必要が生じた際に、それに基づいて使用者が残業命令を出せば、労働者は時間外労働義務を負うとする「包括的命令権説」との対立がありました。


 この点に関し、最高裁は「日立製作所武蔵野工場事件」(最高裁一小 平成3年11月28日判決)において、次のような見解を示しています。就業規則の中に、概括的・網羅的でない「一定の業務上の事由」を定めていることを求め、さらに、「就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなすから」使用者は命令権を獲得し、その命令によって労働者の義務が具体化する、というものです。


 よって、時間外労働を命令する場合には、先ほどのの手続に加え、合理的要件をなすものとして、具体的な業務上の必要性が求められています。なお、社員の事情もありますので必ずしもの条件が揃っていたとしても、常に残業命令が有効だとはいえないことがあります。例えば、労働者本人や家族が体調不良であるなど、どうしても残業ができない事情のある場合は、難しい判断になりますが、これに関する具体的で明確な境界線はなく、労使双方の事情によるバランスの問題だといえるでしょう。このトラブルを防ぐには管理職・労働者とも常日頃からコミュニケーションを取り、それぞれの事情を十分に知っておくことが肝要です。



参照条文
労働基準法第32条(労働時間)
 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
労働基準法第36条第1項(時間外及び休日の労働)
 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならない。


(鷹取敏昭)


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新卒採用の一人当たり経費の平均は371,819円

 最近、産労総合研究所より非常に興味深いアンケートの結果が連続して発表されていますが、先日「新規学卒者(2007年3月予定)の採用活動の実態」というこれまた面白いプレスリリースが発表されました。この調査は、2007年3月卒業予定者を対象にした新規学卒者の採用活動の実態について、同社の登録会員企業に対してアンケートを実施したもの。


 様々な項目が集計されていますが、本日はそれらの中から「新卒1人当たりの採用経費」の項目について見てみることにしましょう。結果としては、平均385,111円となっていますが、一部に「150万円以上」(1.4%)と解答した企業もあることで全体の平均額が引きあがってしまっているようです。実際には約5割が「20万円台以下」という区分に入っているということです。これを規模別に見ると、大企業397,851円、中企業367,997円、小企業397,707円となっており、採用人数に大きなばらつきがあるとはいえ、一人当たり平均額で見ると、結果的には規模による格差は少ないという内容になっています。


新卒採用の一人当たり経費の平均は371,819円 ちなみに項目別の平均額は以下のようになっており、インターネット関連の経費が突出して高くなっています。新卒のインターネット採用が完全に定着した中で、今後はこの経費を如何に抑制するかが企業としては重要な課題になってくるのでしょう。
□インターネット関連 157,595円
□DM、情報誌掲載 47,551円
□面接(会場費等) 40,406円
□企業セミナー 36,108円
□入社案内作成 34,217円
□内定者フォロー 22,645円
□学校訪問 5,390円
□OBとの懇談会 3,283円
□その他 24,625円



参考リンク
産労総合研究所「新規学卒者(2007年3月予定)の採用活動の実態」
http://www.e-sanro.net/sri/ilibrary/pressrelease/press_files/srip_061023.pdf


(大津章敬)


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キャリアは誰のものか

 「キャリア」といえば、以前は「キャリア組」や「キャリアアップ」という言葉をイメージしました。それは国家公務員で上級試験に合格している者を表す呼称、職業・技能上の経験、あるいは経歴という意味で使われていました。これに対し最近では「キャリア開発」や「キャリアカウンセリング」という言葉をよく耳にします。キャリアは仕事上のキャリアだけでなく、今後どうやって行くのか、どうやって行(生)きたいのかを考え、人生全般を表すものとして意味が広がっています。


 キャリアは誰のものでもなく、個人に培われるものです。会社で働く社員は、職業経験だけでなく、家族や友人、趣味、自己啓発など会社内外の手助けを借りてキャリアを展開しています。会社の立場から考えると、従業員のキャリアは組織の目標を達成するための経営資源に違いありません。そして会社は、従業員にキャリアを提供する場を担っています。自らのキャリアデザインを描き、展開していくのは本人の役割ですが、いまの企業にとっては、それを支援していくことの重要性が高まっています。そこで今後、社員のキャリアデザインに関する記事を掲載していこうと計画していますが、まず初回の今回は、身近にあるキャリア支援策を2つお話したいと思います。


人事評価など面談の機会
 人事評価をする際に、面談を行っている会社は多いと思いますが、何を話されていますか。今期の評価や来期の計画、目標設定が中心になっていることでしょう。これからはそこから一歩踏み込んで、「本当のところ何がやりたいのか」について聞いてみてください。社員が進もうとしている方向性を知り、会社がそれを後押しすることによって、社員の本人の動機づけに繋がっていきます。改まった社員面談の機会は年に数回しかありません。これからの時期であれば冬季賞与評価の面談の機会などを活かして、会社の方向性とと社員の方向性の擦り合わせを行ってみてはいかがでしょうか。


社員教育
 社員を社外研修に参加させる際、業務に関する知識の習得が中心になっていませんか。業務に直結するものだけでなく、接遇や時間の活用術、改善活動の手法などを学ぶことは、仕事をする上での基礎体力の向上に繋がり、後々の大きな飛躍に向けたベースとなります。多くの企業で社員研修に関する関心が高まっていますが、その時間を確保し、計画的な能力開発を行うことは、会社・社員の双方にとって重要な課題となっています。


 これら2つの支援策は、実際に多くの企業で日常的に行われているものです。既にある仕組みを見直し、その効果を高めることが、キャリア支援のスタートとして求められています。次回は「キャリアの停滞」を紹介していきたいと思います。お楽しみに。


(福間みゆき)


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