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労働者名簿

労働者名簿 労働者名簿は、労働基準法の規定に基づき、事業所に備えつけなければならない重要書類のひとつです。労働基準監督署の調査でも必ず確認がなされるものですので、確実に整備したいものです。なお、記入事項は、以下の9点となっています。
労働者の氏名
生年月日
履歴
性別
住所
従事する業務の種類
雇入れの年月日
退職年月日及びその事由(解雇の場合はその理由)
死亡の年月日及びその原因
□重要度:★★★★★
□官公庁への届出:不要
□法定保存期間:3年間

[ダウンロード]
WORD12Word形式 meibo.doc(34KB)
PDF12PDF形式 meibo.pdf(7KB)

[ワンポイントアドバイス]
 労働者名簿は人事管理の基本中の基本の書式ですが、最近は紙ではなくパソコンで管理することが多く見られます。パソコンで管理を行う際には、以下の2つの要件が必要とされますので、ご注意ください。
法定必要記載事項を具備し、かつ、各事業場ごとにそれぞれ画面に表示し、印字するための装置を備え付ける等の措置を講じている。
労働基準監督官の臨検時等閲覧、提出等が必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっている。

[根拠条文]
労働基準法第107条(労働者名簿)
 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
2 前項の規定により記入すべき事項に変更があつた場合においては、遅滞なく訂正しなければならない。

労働基準法第109条(記録の保存)
 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。

(宮武貴美)

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部下面接記録

部下面接記録 人事評価を実施した後は、通常その結果のフィードバック面接を実施しますが、この書式はその面談結果について評価者である上司が、会社に対して報告を行う際に利用するものです。評価のフィードバックの品質が、最終的にはその人事評価自体の品質に大きな影響を与えます。人事評価における説明責任の重要性が増している中、より効果的なフィードバックを行うため、上司の面接能力の向上が求められています。

[ダウンロード]
WORD12Word形式 buka_mensetsu.doc(38KB)
PDF12PDF形式 buka_mensetsu.pdf(14KB)

[ワンポイントアドバイス]
 人事評価を実施した際、その結果を本人にフィードバックするか否かは多くの企業にとって大きな悩みの種ではないでしょうか。もし人事評価が昇給や賞与を決めるための単なる点数付けであるとすれば、わざわざ結果をフィードバックする必要はないのかも知れません。しかし、人事評価は本来、社員の日頃の仕事振りに承認を与え、課題を共有し、また来期に向けた目標設定を行うための重要な労使コミュニケーションの場であります。より良い仕事や環境を目指すのであれば、会社はその社員のことをどのように見ており、そして何を期待しているのかを面接を通じて伝えることは不可欠であると考えることが求められます。なお、ここで配布している書式では以下の6つの質問項目を設定していますが、項目については自社にあったものに修正し、ご利用ください。
評価結果について部下は納得していましたか?納得できていない点があれば記載してください
あなたと部下とで、業績や行動実績について認識や理解の違った点を挙げて下さい
面接において部下が上司や会社へ要望していた事項は何でしたか
面接においてあなたが「ほめた」事項もしくは「改善を求めた」事項は何かありましたか
将来に向けて部下にどのような目標を持たせることができましたか
面接所感(全体的な感想や留意事項を書いて下さい)

 より具体的な内容につきましては拙著「強い会社を作る人事賃金制度改革―成果主義の失敗から学ぶ人事制度改革成功の法則」をご参考頂ければと思います。


関連blog記事
2006年03月21日「人事制度改革における評価制度充実の重要性と具体的施策」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50464147.html
2005年12月27日「人事労務管理において絶対に行なってはならないこと」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50286476.html

 

(大津章敬)

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人事評価フォロー表

人事評価フォロー表 人事評価制度の質の向上のためにはいくつかの手法がありますが、その中の1つが評価実施後の事後フォロー制度です。人事評価制度のユーザーは被評価者である社員であり、その社員が自らの評価結果について納得し、来期に向けて前向きな気持ちになることは不可欠です。特に認定方式の人事評価制度は、上司の説明責任が大きなポイントとなるため、それが適切に実施されているかを把握し、上司に問題があればその指導を行うことが求められます。人事評価のフォロー制度を導入する際には、この書式をご利用ください。

[ダウンロード]
WORD12Word形式 hyouka_follow.doc(37KB)
PDF12PDF形式 hyouka_follow.pdf(14KB)

[ワンポイントアドバイス]
 人事評価制度の品質を向上させるため、人事評価のフィードバックを行った後、この「人事評価フォロー表」を用い、全社員に対して「今回の評価はどうであったか?」というアンケートを取ることもお勧めしています。ここで配布している書式では以下の6つの質問項目を設定していますが、項目については自社にあったものに修正し、ご利用ください。なお、この人事評価事後フォローは、評価者である上司の部下管理に関する評価資料ともなることでしょう。
今回の評価結果は納得のいくものでしたか?納得できていないとすればどのような点でしょうか?
上司はきちんと説明してくれましたか?またどのような説明が欲しかったですか?
上司とあなたとで、業績や行動実績について認識や理解の違った点を挙げて下さい。
上司は普段からあなたの目標や解決すべき課題を共有、フォローしていましたか?
あなたの次期の目標や期待を述べて下さい。
その他意見等あれば記入して下さい。

 より具体的な内容につきましては拙著「強い会社を作る人事賃金制度改革―成果主義の失敗から学ぶ人事制度改革成功の法則」をご参考頂ければと思います。」

(大津章敬)

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人事評価結果理由書

人事評価結果理由書 人事評価を行う際、まずは相対的な順位付けを行い、その後、その評価を行った具体的な理由付けを行うことで、評価を決定していく「認定方式」の人事評価制度で使用する基本書式の1つ。認定方式の人事評価制度では別にご紹介している「人事評価結果マトリックス」を記載した上で、この「人事評価結果理由記入書」を作成することがスタートとなります。なお、この書式では加点評価方式が採用されておりますので、通常のSABCD評価の場合には加点評価の記載を変更してご利用ください。

[ダウンロード]
WORD12Word形式 hyouka_reason.doc(36KB)
PDF12PDF形式 hyouka_reason.pdf(11KB)

[ワンポイントアドバイス]

 認定方式の人事評価制度では、社員の評価を相対評価で行い、その名前を「人事評価結果マトリックス」に記入した上で、この「人事評価結果理由記入書」において、「なぜ、自分は彼(彼女)をそう判断するか」の理由を明確に示し、評価を認定していきます。具体的には今回の人事評価で「プラス評価(+3、+2、+1)」を行った部下について、その評価理由を具体的に記載して下さい。ここに記載された理由を人事評価を決定する際の判断材料としますので、「頑張った」とか「よくやった」という曖昧な表現ではなく、どのような企画(Plan)をし、どのような行動(Do)をとって、どのような成果(Result)を残したのか(PDRの視点:詳細はblog記事「人事評価理由を明確にする『PDRの視点』」参照)を明確にして下さい。

 なおより具体的な内容につきましては拙著「強い会社を作る人事賃金制度改革―成果主義の失敗から学ぶ人事制度改革成功の法則」をご参考頂ければと思います。


関連blog記事
2006年11月01日「人事評価理由を明確にする『PDRの視点』」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50779362.html

 

(大津章敬)

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新BLOG「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」オープン!

Wordで使える!就業規則・労務管理書式労務ドットコムblog読者のみなさん、こんにちは。名南経営人事労務部の大津です。日頃は当blogをご愛読頂きましてありがとうございます。お陰様でこのblogの読者数は毎月増加し、月間訪問者数10,000人、ページビューで20,000を超えるまでになりました。本当に感謝しております。


 さて、弊社ではこの度、このメインblogとは別に、諸規程や各種社内書式を専門に取り扱う新しいblog「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」を立ち上げました。労務ドットコムでは、サイト開設当時より無料で利用できる就業規則集・社内書式集のダウンロードサービスを提供しておりましたが、解説がないなど、一般ユーザーのみなさんには使いにくい点がありました。そこで今回は、その規程・書式のイメージ画像を表示させた上で、概要、重要度、届出の必要性、法定保存期間、ワンポイントアドバイスなどを付け、お気軽にご利用頂けるようにしております。


 メインblogのように毎日更新とまではいかないと思いますが、本日より正式オープンとさせて頂いておりますので、今後はこちらの新しいblogもよろしくお願いします。



blog名称「Wordで使える!就業規則・労務管理書式」




 労務ドットコム・社内規程ドットコムの名南経営が提供する就業規則と労務管理書式のフリーダウンロードブログ
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

人事評価結果マトリックス

人事評価結果マトリックス 人事評価を行う際、まずは相対的な順位付けを行い、その後、その評価を行った具体的な理由付けを行うことで、評価を決定していく「認定方式」の人事評価制度で使用する基本書式の1つ。認定方式の人事評価制度ではこの「人事評価結果マトリックス」と、改めてご紹介する「人事評価結果理由記入書」の2つがベースとなります。なお、この書式では加点評価方式が採用されておりますので、通常のSABCD評価の場合には左側の縦軸の標語を変更してご利用ください。

[ダウンロード]
WORD12Word形式 hyouka_mtrx.doc(11KB)
PDF12PDF形式 hyouka_mtrx.pdf(8KB)
[ワンポイントアドバイス]
 中堅・中小企業において本当の納得性と高い成果を望むのであれば詳細な基準が書かれた人事評価表を廃止し、人事評価の原点である「認定方式」に移行することが求められます。この認定方式を簡単に言えば「もう順番はほぼ決まっているのだから、先に評価段階を決める。そして後から具体的な事実をもってその理由付けをする」という方法ですが、社員の動きがある程度見える従業員数300名程度までの中堅・中小企業では、この手法をベースに人事評価制度を設計することが、人材活性化のためのポイントとなります。

 具体的には今期の社員の評価を相対評価で行い、その名前をこのマトリックスに記入してください。その上で別紙の「人事評価結果理由記入書」において、「なぜ、自分は彼(彼女)をそう判断するか」の理由を明確に示し、評価を認定していきます。

 なおより具体的な内容につきましては拙著「強い会社を作る人事賃金制度改革―成果主義の失敗から学ぶ人事制度改革成功の法則」をご参考頂ければと思います。

(大津章敬)

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解雇予告通知書

解雇予告通知書 従業員に解雇を予告する際に交付する解雇予告通知書。解雇の手続には、解雇予告あるいは解雇予告手当の支払いが必要になっています。解雇をめぐる紛争は非常に多いため、書面で通知することがその後のトラブルの防止につながります。
□重要度 ★★★★
□官公庁への届出 不要
□保存期間 3年間(後々のトラブル発生を想定すれば、できるだけ長く保存することが望ましい)

[ダウンロード]
WORD12Word形式 kaikoyokoku_tuchi.doc(29KB)
PDF12PDF形式 kaikoyokoku_tuchi.pdf(7KB)

[ワンポイントアドバイス]
 解雇を行う際には、解雇予告を行った日と労働契約の解除日(退職日)の間に30日以上の期間が必要となります。この期間が30日に満たない場合は、不足の日数分の平均賃金の支払いをしなければなりません。さらに、この解雇予告通知書に解雇理由を追加して記すことは、従業員本人が解雇理由を受諾することにもなり、その後のトラブルを未然に防止する役目を果たします。

 労働基準法の一部を改正する法律(平成16年1月1日施行)により、就業規則の絶対的記載事項を定める労働基準法第89条第3号の「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」が改正されました。これによって、就業規則に「解雇の事由」を記載することが義務づけられています。既に作成している就業規則に「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載していない場合には、「解雇の事由」を記載した上で、改めて労働基準監督署へ届け出ることが必要です。

[根拠条文]
労働基準法第20条(解雇の予告)
 使用者は、労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前にその予告をするか、あるいはこれに代えて、30日分以上の平均賃金を支払うかしなければならない。

労働基準法第87条(就業規則の作成)
 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、一定の事項について、就業規則を作成し、これを遅滞なく所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。これを変更した場合も、同様である。
1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
2 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
3の2 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
4 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
5 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
6 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
7 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
8 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
9 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
10 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

(福間みゆき)

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目標管理表

目標管理表 人事評価制度を構築する際、目標管理制度の導入が行われることが多いと思いますが、この書式はその際の標準的な書式の1枚になります。項目毎に「ゴールの姿」「行動計画」「期限」を期首に定め、期末にその達成状況に関する評価を実施します。人事評価として活用する以前に、社員と会社のベクトルを合わせ、それを効果的に遂行する経営管理上の仕組みとして有用でしょう。

[ダウンロード]
WORD12Word形式 mbo.doc(11KB)
PDF12PDF形式 mbo.pdf(8KB)
[ワンポイントアドバイス]
 目標管理制度は管理職の評価などを行う際にはかなり高い確率で採用される制度ですが、いくつか注意点があります。まずは目標設定において、過度の数値化を強制しないことです。最終的に達成度評価を行おうとすると、どうしても計測をしやすい数値目標を立てさせようとすることになることが多いのですが、その場合、「本来行わなければならない目標」よりも「数値化しやすい目標」が挙げられることがあり、本末転倒となります。また評価の際に単純な達成度評価を行うと、低い目標を立てて、達成度を高めようとする動きが出ますので、これも要注意です。目標管理制度は経営管理上は重要な仕組みですが、人事評価に活用しようとすると問題が出ることが多いため、結論的には評価の際の重要な証拠の1つとして取り扱うのが、まずは現実的でしょう。

(大津章敬)

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労働契約書

労働契約書 従業員を採用する際にもっとも基本となる労働契約書。採用時には原則としてこの労働契約書を用い、書面で労働条件を通知することが義務付けられています。労働に関するトラブルを想定すれば、最低限必要な書式になりますので、必ず整備するようにしましょう。
□重要度:★★★★★
□官公庁への届出:不要
□法定保存期間:3年間(後々のトラブル発生を想定すれば、できるだけ長く保存することが望ましい)

[ダウンロード]
WORD12Word形式 roudoukeiyaku.doc(10KB)
PDF12PDF形式 roudoukeiyaku.pdf(8KB)

[ワンポイントアドバイス]
 基本的には書式にある各項目について、労働条件を決定し、埋めていきますが、就業規則に定めがある項目については、「就業規則の定めるところによる」でも構いません。ただし、その際は就業規則の内容をきちんと説明しておくことが求められます。また、パートタイマーや契約社員など、正社員以外の従業員については、賞与や退職金、雇用期間、特別休暇の有無など、正社員に比べて条件が低いところを特に明確化することが重要です。

[根拠条文]
労働基準法第15条(労働条件の明示)
 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
※労働者に対して明示しなければならない労働条件の詳細については、労働基準法施行規則第5条を参照。

(大津章敬)

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【労務管理は管理職の役割】年次有給休暇と時季変更権

 本日は不定期連載をしております【労務管理は管理職の役割】の第3回目として、現場の管理職が日常よく関わる「部下の年次有給休暇(年休)の申し出」について取り上げてみることにしましょう。


 まずは年休制度の基本を押さえましょう。労働者が年休を取得しようとする際には、使用者の承認は必要ないというのが法律の解釈です。よって、部下から年休申請があった場合には、原則としてその申し出のとおりにそれを取得させる必要があります。ただし、使用者側には、年休取得に関する時季変更権というものが認められています。よって、申し出がなされた際に時季変更権を行使すれば、文字通りその取得時季を変更することができます。しかし、これを広範に認めてしまうと、労働者の年休取得が阻害されることになるため、労働基準法はその行使を制限しています。労働基準法第39条は時季変更権に関し、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」と規定し、単に業務の繁忙という事由だけでは、時季の変更を認めてはいません。それでは「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、どのような場合でしょうか。簡単に言えば使用者が努力したにも関わらず、代替要員を確保できず、事業運営に支障をきたすような場合のことを指しています。例えば、
□少人数の職場で同一日にすでに他の労働者からの申し出がある場合
□インフルエンザなどの流行期で、病欠の労働者が既に多数いるようなときに別の用事で休む場合
□決算期末の棚卸日で、既に人員の役割分担が決まっており余裕がまったくない場合
など、かなり限定されていますので十分注意して取り扱うことが必要です。


 なお、適法に「年休の時季変更権を行使した」にも関わらず、労働者が強行に年休を取得し休んでしまった場合は、無断欠勤となりますので、就業規則に定める懲戒処分の対象とされます。


 年次有給休暇制度に関しては、現在労働政策審議会で議論されている労働時間法制の見直しの中でも、法改正(時間単位の取得など)が検討されていますので、その動向に注目すると同時に、社内で今一度取り扱い方法などについて労使ともに確認しておくことが望ましいでしょう。



参照条文
労働基準法第39条第4項(年次有給休暇)
 使用者は、前3項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
参考判例
林野庁白石営林署事件(最高裁二小 昭48年3月2日判決)
「年次有給休暇の権利は、…労基法39条1、2項の要件が充足されることによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずるものではなく、また、同条3項(現在4項)にいう『請求』とは、休暇の時季にのみかかる文言であって、その趣旨は、休暇の時季の『指定』にほかならないものと解すべきである」


(鷹取敏昭)


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