出産が早まった場合、出産手当金の支給はどうなるのですか?

先日より、福島さんは妊娠したパート従業員のことで大熊社労士に確認をしていたが、今日は出産手当金について、聞いてみることにした。
福島さん:
こんにちは。先生。
大熊社労士:
こんにちは。
福島さん:
先生、妊娠されたパートさんの手続きについて、今日は出産手当金について、確認したいのですがよろしいですか?
大熊社労士:
はい、もちろんです。何でしょうか?
宮田部長:
出産関係の手続きは久しぶりなので、私もしっかり聞いておかなければっと。
福島さん:
このパートさんは社会保険に加入していますので、出産手当金の請求ができるのですが、出産手当金がもらえる期間は、産前6週間、産後8週間ですよね?
大熊社労士:
その通りです。
福島さん:
その出産手当金の請求期間について、出産予定日から出産日が早まった場合と遅くなった場合について、確認したいのですが…。
大熊社労士:
なるほど、産前休業の開始日は、最初は出産予定日から起算して6週間としますが、出産日当日は産前休業の扱いとなりますので、産前休業については期間が長くなったり短くなることもあります。反対に、産後休業は、出産日の翌日から起算しますので、8週間で変わりありません。
宮田部長:
ふむふむ。
福島さん:
その産前休業について、長くなったり短くなったりするということですが、出産が予定日より遅れた場合は、産前休業期間が長くなることは分かります。出産が早まった場合は、休業開始から出産日までとなるから短くなってしまうのですか?それとも出産日から遡って6週間と考えるのですか?
大熊社労士:
いい着眼点ですね。出産手当金は、出産日が予定日より早まった場合でも、出産日から遡って6週間の期間については、要件を満たせば出産手当金を受けることができます。ですので、出産日当日から遡って6週間の期間について、無給か有給かを確認しておく必要があります。
宮田部長:
ん?その意味は、出産が早まった場合は、当初の産前休業開始日より開始日が前倒しとなるってことですか?
大熊社労士:
その通りです。
福島さん:
やはりそうですよね!産前休業期間の6週間という期間は、出産が早まった場合でも、出産手当金の対象期間として考えるのですよね。
大熊社労士:
はい、しかし、当初の産前休業開始日から前倒しになった期間について、出勤し、給与が支払われている日は出産手当金の対象にはなりません。当初の産前休業開始日より前から欠勤していて給与が支払われていなければ、出産手当金が支給されます。
福島さん:
分かりました。出産が早まった場合は、常に出産日から6週間を遡って給与の支払い状況を確認することを忘れないようにします。
宮田部長:
出産手当金って、給与の3分の2でしたよね?
福島さん:
出産手当金の金額は改正があり、算出方法が複雑になりましたよね。出産手当金の支給開始日以前12ヵ月間の標準報酬月額の平均から日額を算出した3分の2で、なかなか会社では金額の計算が難しくなりました。
宮田部長:
そういえばそんな改正があったな~。
大熊社労士:
さすが福島さん、出産手当金の算出方法もばっちり頭に入ってますね。ちなみにの話ですが、何か異常がみられ、産前休業期間中に病院で治療を受けた場合には、その期間について傷病手当金の支給対象となることがあります。傷病手当金と出産手当金の支給期間が重なった場合、従来は出産手当金が支給されることになっていましたが、法改正によって傷病手当金の額が出産手当金の金額より多い場合は、その差額が支給されることになりました。
福島さん:
とすると、その重なった期間についても、傷病手当金と出産手当金、両方書類を提出しておいた方がいいってことですね。
大熊社労士:
その通りです。
宮田部長:
う~ん、福島さん、出産関係は手続きは諸々細かな運用がありますから、よろしくお願いします!
福島さん:
はい、わかりました(笑)。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。今日は、出産予定日より出産が早まった場合の健康保険の出産手当金の請求について確認しました。また、平成28年10月より健康保険の出産手当金の計算方法が改正されています。出産手当金と傷病手当金の請求期間が重複した場合も、傷病手当金の金額が出産手当金より多い場合は、差額が支給されることになっていますので、併せて詳細を確認しておきましょう。
関連blog記事
2017年7月23日「雇用保険の育児休業給付金をもらうと失業手当の日数が減ってしまうのですか?」
https://roumu.com/archives/65799320.html
参考リンク
全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3090/r148
(小浜ますみ
)
当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。
最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu






人事労務の最新情報は
服部社長:
)

新たに「過労死等防止対策の数値目標」を立てて、変更前の大綱に定められた「週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下」など3分野の数値目標を改めて掲げるとともに、勤務間インターバル制度の周知や導入に関する数値目標など新たな3つの分野の数値目標を掲げた。
「国が取り組む重点対策」において、労働行政機関等における対策を新たに項立てし、関係法令等に基づき重点的に取り組む対策として、下記3点などを明記した。
調査研究における重点業種等(過労死等が多く発生している又は長時間労働者が多いとの指摘がある職種・業種)として、自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療を引き続き対象とするとともに、近年の状況を踏まえ、建設業、メディア業界を追加したこと。また、上記重点業種等に加え、宿泊業等についての取組も記載した。
勤務間インターバル制度を推進するための取組や、若年労働者、高年齢労働者、障害者である労働者等への取組について新たに記載した。
職場のパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメントを包括的に「職場におけるハラスメント」として位置付け、その予防・解決のための取組を記載した。


社会保険労務士制度は今年50周年を迎えますが、本格的電子政府時代の到来を間近に控え、環境が激変しています。大法人に対する電子申請の義務化に止まらず、行政手続コスト削減の観点からそもそも社会保険等手続き自体をなくしていこうという動きが強まっており、これまでどおりの業務をこなしているだけでは社労士の生き残りが厳しい時代になってきました。
グループディスカッション2:これからの社労士の新たな価値を考える
まとめと質疑応答
変革の時代に向けて社労士の仕事が大きく変わりつつあります。その一つに



)