[雇用機会均等法]婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等(4)
男女雇用機会均等法第9条では、女性労働者が結婚・妊娠・出産等をしたことにより解雇をすること等の不利益な取扱いをすることを禁じています。今日はこれらの不利益取扱いについて取り上げてみましょう。
法律では、女性労働者の婚姻、妊娠、出産を退職理由として予定する定めをすることを明記し、また、婚姻したことを理由として解雇してはならないとされており、この点については、多くの企業で規程整備等が進んでいるのではないかと思います。この他に妊娠したこと等による不利益な取扱いを禁止していますが、その事由については施行規則で以下の9つを取り上げています。
妊娠したこと
出産したこと
母性健康管理措置を求め、または受けたこと
坑内業務・危険有害業務に就けないこと、これらの業務に就かないことの申出をしたこと、またはこれらの業務に就かなかったこと
産前休業を請求したこと、産後の就業できないこと、または産後休業したこと
軽易業務への転換を請求し、または転換したこと
時間外等に就業しないことを請求し、または時間外等に就業しなかったこと
育児時間の請求をし、または取得したこと
妊娠または出産に起因する症状により労働できないこと、労働できなかったこと、または能率が低下したこと
男女雇用機会均等法が施行されてからかなり長い時間が経過し、また、女性労働者自身の労働意欲の高まりや権利意識の高まりから、明確にこのような不利益な取扱いが行われることは減少してきていると推測します。よって今後は、「妊娠したら退職」というような慣行があるような企業の意識をいかに変えていくかがテーマになっていくのでしょう。次回は、これらの不利益な取扱いの具体例を取り上げることにしましょう。
[参考条文]
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第9条(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)
事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めを
してはならない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項 の規定による休業を請求し、又は同項 若しくは同条第二項 の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。
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参考リンク
厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/danjyokoyou.html
(宮武貴美)
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