今年の新入社員、能力主義を希望する者の割合が過去最低を記録

今年の新入社員、能力主義を希望する者の割合が過去最低を記録 1月5日のブログ記事「新入社員から見た職場の人間関係は想像以上に良い?」では、昨年末に財団法人社会経済生産性本部より公表された「第17回 2007年度新入社員 半年間の意識変化調査」の内容について取り上げましたが、本日はこの調査結果の中からもう一つ、新入社員の人事制度に対する意識に関する興味深い調査結果をご紹介したいと思います。


 以前より様々な調査を見ると、若手社員は能力主義や実力主義の人事制度に魅力を感じていないという結果が数多く出ていますが、今回の調査もその傾向を明確に示す内容となっています。給与体系に関する設問では「各人の業績や能力が大きく影響する給与システムを希望する」という回答を行ったのは、調査開始以来最低の57.5%という低水準(グラフはクリックして拡大)を記録。また昇格についても「仕事を通して発揮した能力をもとにして評価が決まり、同期入社でも昇格に差が付く職場」を希望する」という回答が65.5%と過去最低を更新しています。


 こうした社員の気質の変化は人事制度の設計にも大きな影響を与えることとなります。従来のわが国の人事諸制度は、職能資格制度を初めとして、基本的に社員の上昇志向を前提に設計されています。しかし、このように能力を基準に評価を行い、社員間の処遇にメリハリをつけるような人事制度はどうも最近の新入社員にはあまり受けが良くないようです。もっとも入社半年というまだ社会に出たばかりの時期の調査ですから、これで「能力主義・成果主義的人事制度は時代遅れ」といった短絡的な結論を出すべきではありませんが、少なくとも新入社員のスタートアップ期においては、多くの社員がこうした意識を持っているということは認識した上で、対処することが強く求められているのは間違いないようです。



関連blog記事
2008年1月5日「新入社員から見た職場の人間関係は想像以上に良い?」
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参考リンク
財団法人社会経済生産性本部「第17回 2007年度新入社員 半年間の意識変化調査(要旨)」
http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/mdd/activity000846.html


(大津章敬)


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