なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由5「患者との関係」
本日は「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?」の連載の第6回をお届けしましょう。前回は職員の早期退職問題の7つの原因のうち、4つ目の職員自身のキャリアアップについての問題を取り上げましたが、本日はの患者(利用者)との関係についての問題を解説したいと思います。
[職員の早期退職問題の7つの原因]
経営理念の浸透についての問題
職場の風土についての問題
組織のあり方についての問題
自分自身のキャリアアップについての問題
患者(利用者)との関係についての問題
労働条件についての問題
給与水準についての問題
本日はこれらのうち、退職理由5「患者(利用者)との関係」について解説しましょう。
[退職の理由]
医療や福祉のプロとして働く職員にとっては、患者や利用者というのは絶対的な存在です。患者や利用者、更にはその家族から「ありがとう」という言葉をもらうことが最大の喜びであり、仕事の励みとなっている職員も多く、彼らは毎日如何に患者や利用者の満足度を高めるのか、ということに腐心しています。そういった職員に対して必要以上に経営上の数字を持ち出し、業績向上の努力を強く求めることは、満足度向上を常に考えている職員のモチベーションを低下させることに繋がりやすいため注意が必要です。現場はあくまでもサービスの質を高める存在と位置づけ、数字という部分を追求するのは管理者の責任と考えることが重要です。
また、施設管理者としての適切な対応がなされないことも職員のモチベーションを低下させてしまうことがあります。具体的には、患者や利用者から暴力を受け続けたにも関わらず管理者が強制退院などの適切な対応を取らなかったり、患者や利用者に対してムラのある対応をするといったことが挙げられますので注意が必要です。
[退職に繋がる主な原因例]
患者満足度を低下させてでも経営数字を高めるよう現場に強く求めている。
患者や利用者から暴力を受けたにも関わらず、施設管理者が適切な対処をしない。
管理者や職員が患者や利用者からの苦情に素直に耳を傾ける雰囲気がない。
苦情が実際に発生した際に、対応面で迅速性や公平性に欠けている。等
[定着に向けての回避策]
患者や利用者に対する満足度向上と経営上の数字はなかなか両立が難しいものです。しかし施設経営を進めるにあたっては、この両方の向上を追求する必要があり、それを実現するためには前述のとおり、満足度という品質向上の責任は現場職員に、業績向上の責任は施設管理者にあると分けて考えるしかありません。
また、施設管理者は管理者としての自覚を持ち、毅然とした態度で患者や利用者に対して対応することが求められます。こうした対応は、公平かつ迅速に行う必要があり、そういった対応を随時行うことで職員の施設管理者に対する安心感や信頼感は格段に高まり、その定着率向上に繋がります。
それでは次回は、退職理由6「労働条件についての問題」について取り上げます。
関連blog記事
2008年2月24日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由4「職員自身のキャリアアップ」」
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2008年1月19日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由3「組織のあり方」」
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2008年1月4日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由2「職場の風土」」
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2007年12月30日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由1「経営理念の浸透」」
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2007年12月10日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?その1」
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(服部英治)
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