賃金不払事案による行政指導が前年比11%増と急増

賃金不払事案による行政指導が前年比11%増と急増 先日、東京労働局より「賃金不払事案(申告事件)の処理状況の概要」という資料が公開されました。この調査は東京労働局管下18労働基準監督署における平成19年に受理した申告事件の中で取り扱った賃金不払事案(退職金不払事案を含む)の処理状況を集計したもの。内容としてはいわゆるサービス残業が多いと想像されますが、会社倒産などによる不払いなどもここには含まれています。


 左グラフ(画像はクリックして拡大)を見れば分かるとおり、この不払いの金額は平成15年の67億1044万円をピークに平成18年まで3年連続で減少していましたが、平成19年は前年比17.1%増の33億89万円となりました。なお件数も前年比11.0%増の3,833件、対象労働者数も前年比19.8%増の6,786人といずれも大幅に増加しています。


 これを業種別に見ると、接客娯楽業や商業で顕著な増加傾向が見られるため、こうした業種においては今後、労働基準監督署による調査が強化される可能性もあるのではないでしょうか。



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参考リンク
東京労働局「賃金不払事案(申告事件)の処理状況の概要」
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2008/20080512-fubarai/20080512-fubarai.html


(大津章敬)


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