管理者の部下評価能力はトレーニングされているか(その3-1)

 本日は2008年12月29日のブログ記事「管理者の部下評価能力はトレーニングされているか(その2)」に引き続き、人事評価における面接スキルについて取り上げましょう。



[部下との面接スキルをマスターする(1)]
 人事考課は必ず面接を伴う。もし面接を実施しないのであれば、人事考課制度は作らないほうがよいとさえ言える。しかし多くの企業で面接が実施されているのであるが、この面接のスキルを教育しているケースは非常に少ない。面接者は、評価面接のフローや面接スキル、さらには面接の目的についても、まったく勝手に任せられているといってよい。これでは、話し合いの場を設けた事実は残るが、効果は半減してしまう。評価面接には以下のようなシナリオが必要なのである。


【評価面接のシナリオと留意点】
導入
・普段の労をねぎらい、話しやすい雰囲気を作る。軽い話題から入る。
・上司は座る場所(真正面を少しはずす)、拒否する姿勢(腕組みなど)に注意。


普段の仕事に関して業務量、やりがい、本人としての職務適合度を確認
・発言の仕方や非言語情報(体の動き)にも留意する。
・何かひっかかるように感じたら、もう少し詳しく話してもらうようやんわり促す。


主旨説明
・面接の目的を確認する(対象期間の行動の振り返りと課題を検討する旨)。


今季の目標を再確認する
・期首に定めた(変更があればそれで)目標、部門ミッションを確認する。


自己評価を説明してもらう
・部下の自己評価を聞く(達成度の評価から始めてプロセスへ導く)。


上司評価と意見交換
・上司の評価(人事考課の項で述べた行動の評価からのステップ)を述べる。部下の自己評価と異なる場合は、部下の自己評価を尊重しながらも、「こういう考え方で評価した」ということを論理的に伝え、理解を求める。


成功要因、失敗要因の検討
・うまくいった場合はいいが、うまくいかなかった原因は、「なぜか?」ではなく、「どうすればうまくできただろうか?」と問いかけて部下に考えさせる。質問のスキル。
・成功要因・失敗原因を確認し、育成項目をピックアップする。
・褒める点は、目を見て褒めてから、笑顔。


問題行動に関してのフィードバック
・部下の問題行動に関して、気になる行動の事実を述べる。
・上司の心情(残念・・・)を述べると効果的。
・勤務態度等でマイナスの行動があればここでもう一度注意する。この場合、「○○はいけない」ではなく、「○○してくれればよかったな」というように、肯定的に表現にすることがコツ。


本人からの要望事項等の確認
・最後に「何か要望事項はありますか?」と尋ねる。
・他に話し残したことはないか確認し、「応援する」ことを約束して面接を終わる。


(つづく)



関連blog記事
2008年12月29日「管理者の部下評価能力はトレーニングされているか(その2)」
https://roumu.com
/archives/51472087.html

2008年12月11日「管理者の部下評価能力はトレーニングされているか(その1)」
https://roumu.com
/archives/51464811.html

2008年11月27日「人事評価は何のために行うのか」
https://roumu.com
/archives/51457421.html

2008年11月17日「景気と連動する人事制度」
https://roumu.com
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2008年11月2日「企業再編における人事労務問題(その3)」
https://roumu.com
/archives/51438409.html

2008年10月18日「企業再編における人事労務問題(その2)」
https://roumu.com
/archives/51430628.html

2008年10月2日「企業再編における人事労務問題(その1)」
https://roumu.com
/archives/51421207.html


参考リンク
名南経営「人事考課研修ビデオ【業務命令】」
https://www.roumu.com/video/evadvd.html


(小山邦彦)


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