答申が行われた雇用保険法改正法律案要綱のポイント
今週水曜日に労働政策審議会から厚生労働大臣に対して、「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」の答申が行われました。厚生労働省はこの答申を受け、雇用保険法の改正案を現在開会中の通常国会に提出し、4月より法改正が行われる見込みとなりました。そこで本日はこの法律案要綱のポイントについて見ていくこととしましょう。
非正規労働者に対するセーフティネット機能の強化
□雇止めされた場合の受給資格要件を「被保険者期間12箇月」から「6箇月」に緩和し、解雇等の場合と同じ扱いに。
□所定給付日数についても、暫定的により手厚い解雇等の離職者と同じ取扱いに。
□雇用保険の適用基準である「1年以上の雇用見込み」を「6箇月以上」に緩和し、適用範囲を拡大。
再就職困難者に対する支援の強化
□所定給付日数が短い年齢層や雇用失業情勢の悪い地域等の求職者について、暫定的に個別に60日給付を延長。
安定した再就職に向けたインセンティブの強化
□所定給付日数を3分の1以上かつ45日以上残して再就職した場合に支給される再就職手当について、暫定的に「3分の1以上の残日数」のみに受給要件を緩和するとともに、給付率も引上げ(現行30%を、残日数に応じて40%または50%に)。
□就職困難者に対して再就職の際の初期費用を支援する常用就職手当について、暫定的に「40歳未満の者」を対象とするとともに、給付率も引上げ(現行30%を40%に)。
育児休業給付の見直し
□平成21年度末までの暫定措置について当分の間延長し、給付率50%を維持。
□現行休業中と復帰後に分割して支給されているが、これを統合し、全額休業中に支給。
雇用保険料率の引き下げ
□失業等給付に係る雇用保険料率について、特例的に平成21年度に限って、0.4%引下げ。(現行12/1000 →8/1000)
□平成21年度の雇用保険二事業に係る雇用保険料率については、現行の弾力条項に則った取扱いに。(現行3/1000 →3/1000)
上記のうちは平成22年4月1日施行、その他は平成21年4月1日施行が予定されています。なお、この改正については法律案等が公表された時点で再度、当ブログにおいて取り上げたいと考えておりますのでまたチェックしてみて下さい。
関連blog記事
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2008年12月26日「労災保険料率 平成21年4月に加重平均で1000分の5.4に引き下げへ」
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2008年12月8日「平成21年4月より301人以上企業で次世代育成行動計画の公表・周知が義務化へ」
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参考リンク
厚生労働省「「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」の答申について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/01/h0114-1.html
(大津章敬)
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