在留資格制度や外国人研修制度の見直しが行われる入管法の改正

 昨年来の雇用危機により、製造業を中心にわが国の労働現場は多くの外国人労働者に支えられていたことが奇しくも明らかになりましたが、7月8日の参議院において入国管理法が改正され、今後順次、施行が予定されています。今回の法改正では、従来の「外国人登録証」を廃止し、「在留カード」を交付する点や外国人研修制度における在留資格の見直しなどが実施されていますが、以下ではこの改正入管法のポイントについて簡単に見ておくこととしましょう。



[1]新たな在留管理制度の導入
【施行日:公布の日から3年以内】
(1)法務大臣が必要な情報を継続的に把握する制度の構築 
(2)適法に在留する外国人の利便性を向上させるための措置
1.在留期間の上限の伸長(3年→5年)
2.再入国許可制度の見直し(みなし再入国許可制度の導入等)


[2]特別永住者に係る措置(特別永住者証明書の交付)
【施行日:公布の日から3年以内】


[3]外国人研修制度の見直しに係る措置
【施行日:公布の日から1年以内】
(1)以下の活動行うことができる在留資格として「技能実習」を整備する。
1.在留資格「研修」の活動のうち実務研修を伴うもの(国等が受け入れる場合を除く。)について,労働関係法令の適用を可能とするための活動
2.1.の活動に従事し,技能等を修得した者が雇用契約に基づき修得した技能を要する業務に従事するための活動
(2)事実と異なる在職証明書等の作成に関与して研修生が入国することを幇助するような悪質なブローカーに対処するため,偽変造文書作成の教唆・幇助等に係る退去強制事由を規定する。
 
[4]在留資格「留学」と「就学」の一本化
【施行日:公布の日から1年以内】
 留学生の安定的な在留のため,在留資格「留学」と「就学」の区分をなくし,「留学」の在留資格へと一本化する。 


[5]入国者収容所等視察委員会の設置
【施行日:公布の日から1年以内】


[6]拷問等禁止条約等の送還禁止規定の明文化
【施行日:公布の日】


[7]在留期間更新申請等をした者の在留期間の特例に係る措置
【施行日:公布の日から1年以内】
 在留期間の満了の日までに申請した場合において,申請に対する処分が在留期間の満了までにされないときは,当該外国人は,その在留期間の満了後も,当該処分がされる日又は従前の在留期間の満了の日から2月を経過する日のいずれか早い日まで,引き続き当該在留資格をもって本邦に在留することができる規定を設ける。 


[8]上陸拒否の特例に係る措置
【施行日:公布の日から1年以内】
 上陸拒否事由に該当する特定の事由がある場合であっても,法務大臣が相当と認めるときは,上陸を拒否しないことができる規定を設ける。 


[9]乗員上陸の許可を受けた者の乗員手帳等の携帯・提示義務に係る措置
【施行日:公布の日から6月以内】


[10]不法就労助長行為等に的確に対処するための退去強制事由等の整備に係る措置
【施行日:公布の日から1年以内】



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(大津章敬)


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