勤務延長と再雇用で大きな差が見られる継続雇用時の賃金設定

勤務延長と再雇用で大きな差が見られる継続雇用時の賃金設定 2009年8月24日のブログ記事「常用労働者のうちの60歳以上の労働者割合は1割に上昇」では厚生労働省の「平成20年高年齢者雇用実態調査結果の概況」より、増加する60歳以上の労働者の割合について取り上げましたが、今回は同調査より継続雇用後の契約期間やその際の賃金について取り上げましょう。


 この調査では、定年後の雇用を以下の「勤務延長制度」と「再雇用制度」に分けて調査をしています。なお、これらの2つをまとめて「継続雇用制度」としています。
勤務延長制度
 定年年齢が設定されたまま、その定年年齢に到達した者を退職させることなく引き続き雇用する制度をいう。
再雇用制度
 定年年齢に到達した者をいったん退職させた後、再び雇用する制度をいう。


 継続雇用制度がある事業所割合としては、89.1%となっており、このうち勤務延長制度がある事業所が27.3%、再雇用制度がある事業所は83.5%となっています。そのうち、継続雇用後の雇用期間については、勤務延長制度の場合は、「1年」が41.0%、「期間を定めていない」が36.0%、「1年を超える」が14.7%となっており、再雇用制度の場合には「1年」が67.0%、「期間を定めていない」が9.3%、「1年を超える」が13.7%となっています。


 また、継続雇用後の賃金については、勤務延長制度の場合、69.4%が定年到達時と「同程度」と回答していることと比較し、再雇用制度は「6~7割程度」が34.8%、「8~9割程度」が23.6%となっています。勤務延長の場合には多くの企業で給与水準が維持されているのに対し、再雇用の場合は逆に賃金の引下げを行っている事業所が多いことが分かります(グラフはクリックして拡大)。定年後の継続雇用については、どのような制度を導入するか悩ましい問題といえますが、この調査結果からは一旦、定年時に労働条件等を見直し新たに労働契約を締結していることが推測される内容となっています。



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参考リンク
厚生労働省「平成20年高年齢者雇用実態調査結果の概況」
http://www.mhlw.go.jp/za/0820/d02/d02.pdf


(宮武貴美)


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