ますます安定志向が強まる新入社員の意識調査結果
昨年12月、財団法人日本生産性本部から「第19回 2009年度新入社員 半年間の意識変化調査」の結果が発表されました。これは、新入社員入社後半年間の意識変化の調査を目的に実施したアンケートがまとめられたものですが、この中に最近の新入社員の気質をよく表していると思われる結果が出ていますので、今日はこの結果について取り上げてみましょう。
その設問とは「業績や能力よりも、年齢・経験を重視して給与が上がるシステム」と「各人の業績や能力が大きく影響する給与システム」のいずれか好きなタイプを選択するものであり、2009年秋の調査では前者の「年齢・経験を重視して給与が上がるシステム」を選択する新入社員が48.1%、後者の「各人の業績や能力が大きく影響する給与システム」を選択する新入社員が51.9%となりました。この結果のみを見ると、どちらかといえば業績や能力が給与に直結するシステムを好む社員が多いと言えますが、「年齢・経験を重視して給与が上がるシステム」の数字は調査が開始された1991年以来、最高となっています(画像はクリックして拡大)。
また昇格に関する設問もあり、「年齢や経験によって、平均的に昇格していく職場」と「仕事を通して発揮した能力をもとにして評価が決まり、同期入社などでも昇格に差が付くような職場」との二者択一では、「年齢や経験によって、平均的に昇格していく職場」が39.7%と過去最高の数字となっています(画像はクリックして拡大)。
まだ客観的に状況を捉えることが難しいであろう社会に出てまだ半年という新入社員の意識調査ですから、これを現在の若手社員の気質と定義するのは難しいと思われますが、景気後退の中でますます安定志向が強まっていることを実感させられる結果であることは間違いありません。企業の人事施策の検討においてはこうした風向きの変化を感じておきたいところでしょう。
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参考リンク
財団法人日本生産性本部「第19回 2009年度新入社員 半年間の意識変化調査」
http://activity.jpc-net.jp/detail/mdd/activity000951.html
(宮武貴美)
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