4月1日に施行される育児・介護休業法に基づく紛争解決制度

4月1日に施行される育児・介護休業法に基づく紛争解決制度 これまでも当ブログで何度も取り上げてきた改正育児・介護休業法ですが、段階的に施行されており、最終的には平成22年6月30日にその大部分が施行されます。これに対し法の実効性の確保を行うための措置は平成21年9月30日と平成22年4月1日の二段階で施行されます。そこで今回は、平成22年4月1日に施行される調停を含む紛争解決制度について取り上げます。


紛争解決制度の種類
 紛争解決制度は「都道府県労働局長による紛争解決の援助」(以下、「局長による援助」という)と「調停委員(弁護士や学識経験者等の専門家)による調停制度」(以下、「調停委員による調停」という)に分けられます。紛争解決援助は簡易な手続きにより、行政機関による迅速な解決を目指すものであり、調停は公平、中立性の高い第三者機関により紛争解決を図る制度となっています。

 

育児・介護休業法に基づく紛争解決援助の対象
 援助の対象となる紛争は法で定められており、育児・介護休業法に基づく援助対象の紛争は以下の8つになっており、これらについて労働者と事業主で紛争が発生した場合にその当事者が援助を申し出ることができます。
(1)育児休業制度
(2)介護休業制度
(3)子の看護休暇制度
(4)時間外労働の制限
(5)深夜業の制限
(6)勤務時間の短縮等の措置
(7)育児休業等を理由とする不利益取扱い
(8)労働者の配置に関する配慮

紛争解決制度の流れ
(1)局長による援助
・各都道府県労働局の雇用均等室に援助を申し出る
      ↓
・雇用均等室により申立者、被申立者に対し事情聴取を行う
      ↓
・双方の話を踏まえ、問題解決に必要な援助(助言・指導・勧告)を実施する
(2)調停委員による調停
・各都道府県労働局の雇用均等室に調停申請書を提出する
      ↓
・調停委員により申立者、被申立者に対し事情聴取を行う
      ↓
・双方の話を踏まえ、調停委員が紛争解決として調停案を作成する
      ↓
・調停案を申立者、被申立者双方に勧告する
      ↓
・申立者、被申立者双方が調停案を受諾した場合には問題の解決となる
 (調停案を受諾しない場合は打ち切りとなる)

 このような制度が法制化されたということは、育児・介護休業に関する紛争が数多く発生している実態があります。企業の実務担当者としては、紛争が発生しないよう良好な労使関係の構築をこれまで以上に意識することが求められます。


関連blog記事
2010年3月8日「4月14日に名古屋で改正育児・介護休業法対策セミナーを開催」
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2010年1月18日「[新改正育児介護休業法]1歳までの再度の育児休業申し出(1)
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参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法に基づく紛争解決援助制度がスタートします。」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/dl/tp0701-1f.pdf
茨城労働局「あなたの問題の解決のために」
http://www.ibarakiroudoukyoku.go.jp/kinto/gyoumu/gyoumu01_02.html

(宮武貴美)

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