[新改正育児介護休業法]所定外労働の免除の義務化が除外できるケースと注意点(2)

 今回の改正育児介護休業法の中でも企業の人事労務管理にもっとも大きな影響を与えると予想されているのが所定外労働の免除の義務化です。この制度は、3歳までの子を養育する労働者が請求をした場合には、所定労働時間を超えて労働させてはならないというものです。これについては、すべての労働者が対象となるわけではなく、育児休業と同様に労使協定を締結することにより、以下の労働者は対象外とすることができます。
入社1年未満の労働者
1週間の所定労働日数が2日以下の労働者


 また、事業の正常な運営を妨げる場合には、事業主は労働者からの請求を拒めることになっていますが、通達ではこの「事業の正常な運営を妨げる場合」という場合を厳しく判断しているようです。具体的には、その労働者の所属する事業所を基準として、その労働者が担当する作業の内容、作業の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきであるとしており、単に所定外労働が事業の運営上必要であるとの理由だけで拒むことは許されず、事業主は通常考えられる相当の努力が必要であるとしています。


 したがって、この所定外労働の免除の請求が行われたときには労働時間と業務量のバランスに配慮するとともに、人員配置についても事前に相応の対応をしておくことが求められるでしょう。なお、この「所定」労働時間は、就業規則等において労働者が労働契約上労働すべき時間であり、労働基準法上の法定労働時間ではありません。



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参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/tp0701-1.html


(宮武貴美)

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