倍増した労基署の定期監督件数 労働時間、割増賃金、就業規則の法違反が激増
先日、東京労働局より「平成22年の定期監督等の実施結果」が公表されました。これは東京にある18の労働基準監督署が実施した定期監督等の実施結果をまとめたもの。これによれば平成22年度の定期監督実施件数は9,469件にも上っています。これは前年と比較すると4,195件増ですので、ほぼ倍増という水準。また違反率は71.5%と、こちらも前年比では2.9%の増加となっています。
このうち、労働基準法に関する主な法違反をまとめたものが画像のグラフになりますが、労働条件明示、労働時間、割増賃金、就業規則に関する法違反が激増していることが分かります。これらの内容としては以下のような基本的な違反が中心となっていますので、社内の労務管理体制を整備する際にはこうした点に注意することが求められます。
労働条件明示
・労働者を雇い入れる際に賃金額や所定労働時間などの法定事項について書面が交付されていない
・交付しているが法定事項が不足している
労働時間
・36協定の締結・届出がなされていない
・36協定の締結・届出はあるものの、その協定で定めた限度時間を超えて時間外労働を行わせている
割増賃金
・時間外労働、深夜労働を行わせているのに、法定割増賃金の支払がなされていない
・平成22年4月に改正された60時間超の残業に対する50%の割増がなされていない
就業規則
・常時使用労働者が10人以上いるのに就業規則の作成・届出がなされていない
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参考リンク
東京労働局「平成22年の定期監督等の実施結果」
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2011/20110517-teiki/20110517-teiki.pdf
(大津章敬)
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