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賞与の社会保険料はどのように計算すればよいですか?

 算定基礎届に目途がついた服部印刷。今日はそろそろ賞与計算の話をしておかないといけないなと思い、大熊は車から降り、宮田部長が待つ会議室に向かった。


宮田部長宮田部長:
 大熊先生、そういえば算定基礎の用紙と前後して、この賞与支払届とやらが届きました。年度更新に算定基礎と続いていたので、お聞きしていませんでしたが、今月支払う予定の夏季賞与と何か関係あるのですか?
大熊社労士:
 社会保険の二大イベントを乗り越えただけに、勘が鋭くなったように思いますね(笑)。はい、その名のとおり、賞与を支払った際に年金事務所に提出する用紙ですよ。
宮田部長:
 やっぱり!それで、今日はこの説明をしていただけるんですよね(笑)。
大熊社労士:
 あはは、そうですね。福島さんがお休みをされてから初めて支給する賞与ですよね?賞与計算にも不安を抱いているのではないかと思っていましたから、算定基礎の目途がついたら説明しようとタイミングを見計らっていました。
宮田部長:
 ばっちりのタイミングです!というのもちょうど昨日、全社員への支給額が決定したところだったんです。支給日は例年と同時期の7月25日になりました。今年はパートさんも含めて、全従業員に支給することになりましたよ。


コンコンっとドアをノックする音が。そこには服部社長が立っていた。


服部社長服部社長:
 お久し振りです、大熊さん。福島さんのお休みでいろいろとご迷惑をかけています。宮田部長の奮闘ぶりを見て、福島さんが細かなところまで本当にしっかりやってくれていたんだと実感しましたよ。今年の上半期の業績も堅調なので、賞与原資は昨年より増やして福島さんも含む従業員全員に支払うことにしました。
大熊社労士:
 そうでしたか。とにかく機能ストップせずに、業務が進んでいるのも宮田部長が真剣に取り組んでいるからだと思っています。いまだから言えるのですが、最初は私もどうなることかと不安になりましたよ。
宮田部長:
 そうだったんですか、大熊先生!?あんなに「大丈夫ですよ」っておっしゃっていたじゃないですか…。まぁ、でも結果的によかったということなので、良しとしましょう。
大熊社労士:
 さて、賞与計算に話を戻しましょうか。賞与は税金計算の面でも、社会保険料計算の面でも、その方法が給与計算とは異なる部分があります。今回は、賞与の社会保険料の計算方法とその届出について的を絞ってお話したいと思います。
宮田部長:
 了解です!それでは、誰か従業員をピックアップした方がいいですよね?この従業員にしましょう。412,200円を支払う従業員です。
大熊社労士:
 了解しました。給与計算における社会保険料は前回まで行ってきた算定等で決定した標準報酬月額に基づき従業員の給与より控除するわけですが、賞与計算では賞与の支給額に社会保険料率を乗じることになります。
宮田部長:
 へぇ~。じゃぁ、この社員は412,200円にえっと、健康保険料率の…49.85/1,000(※)をかけて…。
※平成24年7月9日現在の協会けんぽ愛知支部の料率です。
大熊社労士:
 おっと、ちょっと待ってくださいね。その前に賞与の総支給額から1,000円未満を切り捨てる必要があります。この方の場合は412,000円に対し賞与の社会保険料がかかることになります。ちなみにこの額を「標準賞与額」いいます。
宮田部長:
 そうなんですね。それでは改めて、412,000円×49.85/1,000=20,538.2円…。あれれ、端数が出てきてしまいましたね。
大熊社労士:
 計算はそれでOKです。端数は通常、被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円とすることになっています。ですので、今回の場合は切り捨てて20,538円になりますね。同じように厚生年金保険料についても計算してくださいね。
宮田部長:
 はい、うむうむ…大熊先生、この人、45歳なんですけど、介護保険料も控除しますよね?
大熊社労士:
 お、これまた鋭い質問ですね。はい、7月分から介護保険料の対象となる人は7月に支払う介護保険料も控除対象になります。忘れずに計算してくださいね。
宮田部長:
 できました!ん、雇用保険料も計算しなくちゃな…。雇用保険料は当社は5/1,000だったから412,000円×5/1,000=2,060円だな…。
大熊社労士:
 想像通りの展開ありがとうございます…、て、私も人が悪いですね。実は雇用保険料は総支給額に雇用保険料率を乗じることになっています。給与計算でもその方法でしたよね。
宮田部長:
 あ、そうでしたね。しまったしまった。じゃぁ、412,200円×5/1,000=2,061円ですね。そっか、こりゃ間違いやすいなぁ。
大熊社労士大熊社労士:
 はい、ありがとうございます。その通りです。ちなみに、該当する人は多くはないと思ったので後回しにしたのですが、健康保険(介護保険含む)と厚生年金保険には、上限額が定められています。先ほどお話した標準賞与額でみるのですが、健康保険では年度の累計額540万円(年度は毎年4月1日から翌日3月31日まで)、厚生年金保険は1回あたり150万円です。ちなみに、同月内に2回以上
賞与を支給したときは合算した額で上限額を判断します。ちなみに雇用保険にはこのような上限の制度はありません。
宮田部長:
 なるほど、いろいろ細かく決まっているんですね。気を付けることにします。ところで大熊先生、今回、福島さんにも賞与を支払うのですが、彼女からも社会保険料を控除してしまっていいんですよね?
大熊社労士:
 病気療養中ということでしたよね。退職する予定がないようでしたら、当然賞与は控除する必要がありますよ。あ…ただし、育児休業中に賞与を払うような場合には免除の制度があったりします。
宮田部長:
 あれ?大熊先生、何かご存じなのですか!?
大熊社労士:
 ???
服部社長:
 大熊さんには当然、話してもいいでしょう。大熊さん、実は福島さんおめでただったようです。それもあって体調を崩していたようなんですよね。いろいろあり、まだ社内には内緒にしていますが、今後のこともありますので、大熊さんには伝えておきますよ。
大熊社労士:
 そうだったんですね。それはそれはおめでとうございます(^^)!今後、いろいろ大変ですが、一緒に勉強していきましょうね。それにしても福島さんには元気なお子さんを産んでほしいですね。さてさて、賞与支払届の話をしておきましょう。日本年金機構のこちらのページに記載例が掲載されていますが、年金事務所から送付されてきたものには、既に被保険者となっている従業員さんのお名前が記載されていますよね。まず、用紙の一番上の「④賞与支払年月日」欄に支給日を書いてください。
宮田部長:
 うん、ここだな。
大熊社労士:
 そして、各お名前の下に総支給額を書きます。先ほどの方の場合は「412,200」ですね。さらにその右の欄には、標準賞与額の上3ケタを書きます。「412」ですね。これで完成となります。
宮田部長:
 思ったより簡単ですね。ちなみに「412」の隣の欄は書かなくていいのですか?
大熊社労士:
 はい、賞与の支払年月日を記入する欄ですが、先ほど書いた上段の「④賞与支払年月日」と同日の方について省略でできますよ。
宮田部長:
 なるほど、これであればすぐに書くことができますね。ちなみにもう1枚、総括表とかいうのが入っていたのですが、これはどうすればいいですか?
大熊社労士:
 はい、こちらも日本年金機構のこちらのページに記載例が掲載されていますが、会社全体のことを記入します。
宮田部長:
 なるほど、なるほど、わかりました。こちらも忘れずに記入して事業主の印鑑を押して、提出することにしますね。これで賞与計算も目途がつき、ほっとしました。ありがとうございました。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。既に賞与を支給された会社も多いかと思いますが、今日は賞与支給の際の社会保険等の概要について取り上げました。最後に取り上げた賞与支払届総括表ですが、仮に賞与を支払わなかった場合にも提出が必要とされています。「支給・不支給」欄の「不支給・1」を○で囲んで提出する必要がありますので注意しましょう。それにしても福島さんの妊娠発覚にはびっくりしましたね。今後も福島さん不在の中で、奮闘し、成長する宮田部長を取り上げていきますので、宮田部長と私を応援してくださいね!


参考リンク
日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=2059

(宮武貴美)

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中国人事管理の先を読む!第39回「同一賃金と基本給のあり方」

中国人事管理の先を読む! 中国では従業員の認識も、また法律が求めるところにおいても、「同一労働同一賃金」という考え方が深く根付いています。日本の旧態依然の制度である「年功」という考え方は、なかなか受け入れられるものではありません。「同じ仕事をしているのだから、賃金も同じである」。仕事、要するにどのような技能を持ち、どの程度の付加価値を有する仕事を任務しているかが、中国の賃金制度の基礎となっています。そのような価値基準に立って賃金制度を組んでいく場合でも、従業員の評価に応じて賃金に差をつけることはもちろん受け入れらるものではありますが、どの賃金を同じくし、どの賃金を変えていくかをよく考え、作っていかなければなりません。

 中国の賃金制度を構築する場合、大きく以下の「基本給」「考課給」「崗位給」「手当」に区分されると思います。
基本給:各々の等級で同一
考課給:人事考課により変動
崗位給:担当職務の付加価値
手当:該当者に対して支給

 前述のような「同一労働同一賃金」をどこで吸収させるかといいますと、「基本給」と「崗位給」の2つになると思われます。つまり、「基本給は属する等級に応じて決定する」ということになります。これが日本の職能資格制度と大きく異なる部分で、職能資格制度の場合、評価に応じて基本給自体が変わりますね。では同一の等級であるのに、基本給が異なるのはどう説明するのか、実はこのことが中国では合理的な根拠が担保できないところなのです。従って同じ資格であれば基本給は同一、これが中国の基本給制度の重要な考え方です。

 基本給が上昇する根拠は2つしかありません。ひとつはベースアップです。労務工の基本給の場合、最低賃金の調整によるベア、あるいはホワイトカラーも含め、物価上昇(CPI)によるベア、このようにベースアップによって基本給全体は変動します。もうひとつの要素は昇格です。1級の従業員が2級に昇格すれば、自ずと基本給自体は上昇します。翻って言えば、この2つの要素以外、基本給の上昇は見られません。

 このように、基本給の運用定義に同一労働同一賃金の概念を組み入れることでメリットもあります。まず、残業手当の算定を基本給のみ対象としている場合、残業手当の上昇を抑制することができます。もうひとつ、賞与を同様に、基本給をベースとして決定していれば、賞与原資のコントロールがしやすくなります。このように、基本給という賃金のあり方を貴社でも一度、検討してみられてはいかがでしょうか。


参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about

(清原学)

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岩崎仁弥社労士によるマニアック労働時間講座 第二弾「みなし労働時間制」東名阪+福岡受付開始!

岩崎仁弥社労士 第一弾の変形労働時間制講座が大反響だった本講座の第2弾の受付を開始しました。今回はみなし労働!阪急トラベルサポート事件などの影響で事業場外みなし労働制の運用に大きな課題が出始めている分野ですので、この機会にしっかり知識のブラッシュアップをして頂ければと思います。なお、今回も満席が予想されますのでお早目にお申し込みをお願いします。


丸一日かけて「みなし労働時間制度だけ」を徹底的かつ根本的に理解する特別講座
~基本を理解した本物の実務家のためのマニアック労働時間講座 第二弾

講師:特定社会保険労務士 岩﨑仁弥氏


 労働基準法が当初想定した労働時間制度は、工場労働者の働き方を想定したものであり、必ずしも事務系労働者の働き方にフィットしたものにはなっていないといわれます。法制定当初より、その点を問題視する議論はありましたが、その後の高度成長時代の波の中、いつしかその見直しは議論されることがなくなってしまいました。ようやく昭和から平成に切り替わる時期から徐々にその議論が再燃してきています。そして、働き方が多様化する現在こそ、労働時間制度そのものを再検討すべきときなのです。

 労働基準法は、必ずしも労働時間に比例して賃金を支払うべきことを強制していませんが、労働時間以外のものを根拠に賃金を支払う仕組みは我が国では不十分といえます。その方法の一つが裁量労働制に代表される「みなし労働時間制」ですが、その内容は、十分理解されているとはいえず、普及率も低調なままです。本セミナーでは、労働時間と賃金との関係にも踏み込み、新しい労働時間制度である「みなし労働時間制」にターゲットを絞り、実践的な活用方法を解説します。

[ポイント]
(1)労働時間制と賃金との関係
(2)成果に基づく賃金と裁量労働制との関係
(3)事業場外みなし労働時間制の実務
(4)専門業務型裁量労働制の実務
(5)企画業務型裁量労働制の実務
(6)労使委員会の運営の実務
(7)裁量労働制と定額残業制そしてホワイトカラーエグゼンプションへ

[日時および会場]
(1)東京会場
2012年10月3日(水)午前10時~午後4時30分
 連合会館 204会議室(御茶ノ水)
(2)大阪会場
2012年10月12日(金)午前10時~午後4時30分
 エル・おおさか 大会議室(天満橋)
(3)名古屋会場
2012年10月11日(木)午前10時~午後4時30分
 名南経営本社  9Fセミナールーム(久屋大通)
(4)福岡会場
2012年10月31日(水)午前10時~午後4時30分
 福岡朝日ビル 13+14号室(博多)

[受講料]
一般 18,900円(税込)

[詳細およびお申込み]
 本セミナーの詳細およびお申し込みは以下よりお願いします。
http://www.lcgjapan.com/sr/seminar/1210iwasaki.html

(大津章敬)

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再就職支援給付金支給申請書様式第7号

shoshiki497 再就職支援給付金の支給申請を行う際に提出する書類の一式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:あり

[ダウンロード]
WORD
Word形式 shoshiki497.doc(222KB)
pdfPDF形式 shoshiki497.pdf(28KB)

[ワンポイントアドバイス]

 再就職支援給付金支給申請書(続紙)(様式第7号の2)および再就職支援給付金に係る再就職支援証明書(様式第8号)と併せて、委託に係る該当対象被保険者のうち、最後のものの再就職が実現した日の翌日から起算して2ヶ月以内または個々の対象被保険者の再就職が実現した日の翌日から起算して2ヶ月以内に、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出することになっています。

参考リンク
厚生労働省「従業員の再就職を援助してください 労働移動支援助成金(再就職支援給付金) 」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a02-2.html

(福間みゆき)

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社会保険算定基礎の年間平均とはどのようなものですか?

 大熊が服部印刷を訪問すると、宮田部長が待ち構えたように出てきた。何か問題が起きているのかと心配になったが、どうやら算定基礎に関して、大詰めのところで何かに気付いたようである。


[社会保険算定基礎特集全3回:前回の記事はこちら]
https://roumu.com/archives/65565513.html


宮田部長宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。前回のアドバイスを元に、算定基礎届の内容をチェックしてみたのですが、気になったことがあるのでお尋ねしようと思っていたところでした。
大熊社労士:
 宮田部長が待ち構えていたように見えたので、焦りましたよ(笑)。それで、どのようなことが気になられたのですか?
宮田部長:
 はい、標準報酬月額が大幅に変更になるメンバーがいて、どうしてか理由を探っていたのですが、よく分からないのです。特に大幅に昇給したわけでもないのですが…。
大熊社労士:
 そうですか。従前の標準報酬月額と今回の標準報酬月額を比較されていたわけですね。素晴らしい行動ですね。
宮田部長:
 えへへ(笑)。遂に大熊先生に褒められる日が来たか。嬉しいなぁ。この歳になると褒められることなんて少ないからなぁ。えへへ。
大熊社労士:
 あはは。そうですか。服部社長に報告しておきますよ、宮田部長頑張っていますよって(笑)。さて、先ほどの問題に戻りましょう。標準報酬月額が大幅に変更になったのは、どなたですか?
宮田部長:
 何名かいるのですが、印刷機械のメンテナンスを担当している部門のメンバーが主ですね。このメンバーは4月・5月が繁忙期になるんですよね。
大熊社労士:
 なるほど。でも、なぜそのメンバーは4月・5月が繁忙期となるのですか?
宮田部長:
 当社はいくつかの繁忙期があるのですが、2月から3月にかけては、新年度が始まるということで、教科書やノートなどの印刷需要が増えるわけですよ。それで製造の部門は残業が多くなります。その結果、機械を稼働する時間が長くなるわけです。
大熊社労士:
 なるほど。
宮田部長:
 機械をメンテナンスする部門はそれで忙しくなるのですが、平日の稼働時間が長くなると製造部門の手伝いをすることも多くなり、更にはメンテナンスを残業や休日に行う必要が出てくるのです。しかも、製造が落ち着き始めたところで集中的にメンテナンスを行うものだから、4月・5月まで繁忙がずれ込むということもあり…。
大熊社労士:
 なるほど。いまお聞きする限りでは、今年に限って忙しいわけではなく、毎年その時期には忙しくなるようですね。
宮田部長:
 そうなんです。季節的な要因とはいえ、4月から6月に算定基礎をすると、このメンバーは1年間、保険料が高くなってしまうのですよねぇ。
大熊社労士大熊社労士:
 はい、おっしゃる通りですね。これは以前から問題になっていました。そして、昨年からその問題の是正に向け、特例が設けられ、取り扱いが変更になったのです。宮田部長が比較の際に、昨年の標準報酬月額と比較されていたかと思いますが、私の想像では福島さんは昨年、この特例を利用されて手続きをされていたのではないかと思います。
宮田部長:
 えぇ!恐るべし、福島さん!ですね。彼女の能力は非常に高いと思っていたのですが、そのような細かなところまで配慮していたとは!!!
大熊社労士:
 いやいや、今回、宮田部長が気づかれたことも十分すごいことだと思いますよ。この内容は実は前回の最後にお話しをした「年間平均」のことなんですけどね。
宮田部長:
 そういえば前回の最後にちらっと仰っていましたね。それで、なんですか、その「年間平均」というものは。
lb08134-l大熊社労士:
 はい、こちらの「算定基礎届等の提出について」という案内を見ていただけませんか。
「算定基礎届等の提出について」はこちらでダウンロードできます
東京都版
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51203039.html
東京都以外版
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51203040.html
宮田部長:
 あぁ、これ、算定基礎届と一緒に入っていた紙ですね。
大熊社労士:
 はい、その通りです。これの4枚目の先頭をご覧ください。「「当年の4、5、6月の3か月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額」と「前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額(支払基礎日数が17日未満の月を除く。)」の間に2等級以上の差を生じた場合であって、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合」とありますよね。おそらく今回のケースではこれに該当するかと思われます。
宮田部長:
 ん?どういうことですか?
大熊社労士:
 はい、今回のケースのように、毎年この算定基礎の時期が繁忙である場合には、4月から6月の給与の平均額ではなく、1年間の給与の平均額で計算しましょう(年間平均)、というものです。
宮田部長:
 なるほど。そうでないと、対象の人だけ、極端に標準報酬月額が高くなってしまいますもんね。こりゃ、うまいこと考えたな。
大熊社労士:
 なお、このケースは繁忙のみではなく、算定基礎の時期が閑散であるものも対象になりますからね。それで、この対象者ですが先ほど読み上げた部分も含め3点のポイントがあります。
1.4月から6月の給与の平均と1年間(前年7月から当年6月)の給与の平均で算出した標準報酬月額に2等級以上の差があること
2.この差が業務の性質上例年発生することが見込まれること
3.年間平均で算出した標準報酬月額で定時決定することについて本人が同意していること
宮田部長:
 なるほど。勝手に行うのではなく、本人も同意していることが求められるのですね。ところで、その同意はどのようにして確認することになるのですか?
大熊社労士:
 いい質問ですね。これには専用の様式があります。こちらの「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届・保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等」の一番下に被保険者本人が署名した上で算定基礎届と一緒に提出することになります。また、こちらの「年間報酬の平均で算定することの申立書」も添付することになりますよ。
宮田部長:
 あぁ、そういわれると昨年、福島さんが説明して、署名をもらってくるとか言っていたことを思い出しました。
大熊社労士:
 標準報酬月額が下がるということは、将来の本人の年金額にも影響を及ぼすことになりますからね。プラスして、算定基礎届の備考欄には「年間平均」と記載することになりますので、ここも注意をしておいてくださいね。

宮田部長:
 わかりました!さっそく、4月から6月にかけて残業や休日出勤が多くなるメンバーをピックアップして確認することにしますね。来週の火曜日の提出期限には間に合うようにすぐに動きます!ありがとうございました!

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今日は昨年より始まった算定基礎の年間平均について取り上げました。この年間平均は「定時決定における保険者算定」というものです。この年間平均のほかに、報酬の支払対象となった期間の途中に資格取得した人の扱い等、いくつかの特例措置がありますので、「算定基礎届等の提出について」を確認して処理を進めましょう。


関連blog記事
2012年6月25日「社会保険の算定基礎でパートタイマーはどのように扱われますか?」
https://roumu.com/archives/65565513.html
2012年6月18日「社会保険の定時決定(算定基礎)とはどのようなものですか?」
https://roumu.com/archives/65564446.html
2012年6月11日「支払対象期間の途中で資格取得した場合の社会保険算定基礎取り扱い」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51935263.html
2012年6月6日「日本年金機構 早くも社会保険算定基礎届の情報ページを公開」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51934468.html
2012年2月13日「平成24年4月1日から厚生労働大臣が定める現物給与の価格が改定されます。」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51174486.html
2011年6月15日「年間報酬の平均で算定することの申立書(社保定時決定)」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55474497.html
2011年6月13日「今年度より適用される社会保険算定基礎の新たな保険者算定のQ&Aが公開」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51853414.html
2011年4月12日「実務にかなり大きな影響が予想される社会保険算定基礎の新たな保険者算定の要件」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51839061.html

参考リンク
日本年金機構「算定基礎届の提出」
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=2053

(宮武貴美)

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中国人事管理の先を読む! 第1回「インフレ経済下における賃金管理」

 中国では2006年の下期よりCPI(消費者物価指数)が上昇を続け、4%を超えた現在もさらに上昇の兆しを見せています。123日、インフレ、物価上昇を抑制するため、中国政治局会議にて金融政策の引き締めが決定され、中国人民銀行は引き続き、追加の利上げを行うと見られています。このようなマクロ経済状況下において賃金管理を疎かにしますと、昇給を実行しても物価水準の上昇と比較して実質減給となり、社歴の長い従業員よりも直近で入社した従業員の給与の方が高いという現象も発生し、従業員の満足を得るのが難しくなります。つまり、現在の中国経済下では「ベースアップ」が必然の対応となります。

 日本では2000年に入ってからはデフレ基調の経済環境のため、ベアを実施している企業は極めて少なくなりました。私は5年前から各地の講演で「中国の賃金管理はベアを避けて通れない」とお話して参りましたが、日系企業はベアに慣れておらず(本社の同意が得られず)、人件費もまだ低い水準で推移していたため、理解いただくのが難しい状況でした。しかし今はベアの必然性を疑う方はいらっしゃらないと思います。

 実際にベアを実施する場合には、留意すべきことがふたつあります。ひとつは賃金テーブルの書き換えです。北京、上海、江蘇省など、各行政区が毎年発表しているCPIが指標となります。このCPIを参考に「定率」で行うか「定額」で行うかを決めなければなりません。「定率」で行う場合、ベアの効果は賃金水準の低い従業員に厚く、賃金水準の高い従業員に薄くなります。「定額」で行う場合はその逆の効果が得られます。「定率」と「定額」の両方を使って書き換えを行う場合もあります。賃金テーブルは規則性を持ち、全体で均衡がとれている状態ですので、迂闊に書き換えてこの規則性を崩さないよう注意することが必要です。

 また、ベアを実施しただけでは従業員間のそれぞれのプロット位置には何の変化もありません。ベアを実施した状態で、個々の評価による「昇給」を実施します。つまり「ベアが先、昇給が後」ということです。賃金テーブルの書き換えを行った後、社員個々の評価による昇給を実施しますが、全体の平均昇給率に対し、ベアと昇給の各々比率をどの程度予算として見ておくか、賃金管理上重要なポイントとなってきます。

 多くの日系企業では賃金決定プロセスの整備が遅れている傾向にありますが、合理的で納得性の高い賃金管理を行うことで、企業が直面する労務リスクの軽減にもつながりますので、早急にこのような賃金決定の制度を作られることをお勧めします。(清原学)

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求職活動等支援給付金支給申請書(続紙)様式第3号の2

shoshiki496 求職活動等支援給付金の支給申請を行う際に提出する書類の一式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:あり

[ダウンロード]
WORD
Word形式 shoshiki496.doc(159KB)
pdfPDF形式 shoshiki496.pdf(20KB)

[ワンポイントアドバイス]

 この申請書は、求職活動等支援給付金支給申請書(様式第3号)に添えて提出する必要があります。提出は、対象被保険者のうち、最後のものが離職した日の翌日から起算して2ヶ月以内または個々の対象被保険者が離職した日の翌日から2ヶ月以内に、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出することになっていますので、提出漏れがないように注意しましょう。

参考リンク
厚生労働省「従業員の再就職を援助してください 労働移動支援助成金(再就職支援給付金) 」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a02-2.html

(福間みゆき)

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9月8日に東京で開催する社労士サミット2012 受付開始から6日で116名の申込み!本編終了後の交流会はあと4名で満席

社労士サミット2012 景気低迷や後継者不足による中小企業の減少、企業のコスト意識の高まりによる値下げ要求や解約の増加、弁護士を初めとした他士業との競合の激化など、社労士事務所を取り巻く環境は年々厳しさを増してきています。そうした環境を受け、社労士業界全体が沈滞ムードにあるように思えて仕方ありません。しかし、これからの時代、企業の成長のカギを握るのは「人」であることに疑いはなく、その意味では我々、社会保険労務士が活躍するフィールドは大きく広がっているはずです。

 そこで今回、社労士業界の中でももっとも精力的に活動し、それぞれの分野で大きな成果を挙げている8人の魅力ある社労士を集め、セミナーを開催することとしました。彼らが業界、そして仕事をどのように見ているのか、またどのような課題を感じ、今後どう進んでいこうとしているのかをパネルディスカッションと分科会を通じて、明らかにしていきます。そこには間違いなく、明るい希望が満ち溢れていることでしょう。業界の沈滞ムードを打ち破り、社労士がより大きなフィールドで活躍するための場を創造することを目的として、社労士サミットというイベントを開催します。多くのみなさんのご参加をお待ちしています。


社労士サミット2012 MOVEment
日時:2012年9月8日(土) 午前10時~午後4時30分
会場:連合会館(御茶ノ水)


[講師陣(50音順)]
内海正人氏  日本中央社会保険労務士事務所 代表
大野実氏   社会保険労務士法人大野事務所 代表
桑原和弘氏  フリスコ社労士事務所 代表
佐藤広一氏  さとう社会保険労務士事務所 代表
下田直人氏  社会保険労務士事務所エスパシオ 代表
長沢有紀氏  アドバンス社会保険労務士法人 代表
松山純子氏  松山純子社会保険労務士事務所 代表
山田順一朗氏 フレンズコンサルティング社会保険労務士法人 代表
大津章敬   名南社会保険労務士法人 栄事務所代表 ※パネルコーディネーター
※詳細の講師プロフィールはこちら
http://www.lcgjapan.com/sr/seminar/1209summitKoshi.html

[当日のタイムテーブル]
 当日の午前は大会議室でパネルディスカッションを実施します。お昼休みの間にはいったんご退出を頂き、会場の中央にパーテーションを設置し、午後は2部屋に分割し、2本のセミナーを分科会形式で同時開催します。
※実際のタイムテーブルおよび講演概要はこちら
http://www.lcgjapan.com/sr/seminar/1209summitNaiyo.html

[日時および会場]
日時:2012年9月8日(土) 午前10時~午後4時30分
会場:連合会館[旧総評会館](御茶ノ水)
 東京都千代田区神田駿河台3-2-11(03-3253-1771)
 会場地図はこちら → 
http://rengokaikan.jp/access/index.html

[サミット終了後には講師陣も参加の大交流会も開催]
 サミット終了後、午後5時15分より会場近くの「California Cuisine WINDS」で大交流会(実費5,250円)を開催します。サミットの講師陣も参加しますので、名刺交換や質問をしたり、本音トークで盛り上がることは間違いなしです。ここで業界の先端を走る社労士達の考え方に触れ、大きな刺激を受けていってください
6月24日(日)午前0時時点で大交流会の残席4となっています。日曜日中にも満席が予想されますので、お申し込みはお早目にお願いします。

[受講料]
一般 10,500円(税込)
7月17日(火)までのお申込み(7月31日までの入金)の場合、早割で8,400円(税込)!

[詳細および申込み]
 社労士サミット2012の詳細および申込みは以下よりお願いします。
http://www.lcgjapan.com/sr/seminar/1209summit.html


参考リンク
社労士サミットfacebookページ
https://www.facebook.com/srsummit

(大津章敬)

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【あと4名で満席】7月6日名古屋開催「社長の想いを浸透させ、社員のやる気に火をつける就業規則整備のポイント」セミナー

就業規則セミナー 労働トラブルの増加に対応するため、近年はいわゆる「リスク対応型就業規則」の整備が多くの企業で進められています。確かに労働紛争発生時に企業として対抗できる規程を整備しておくことは不可欠なのですが、本当にそれだけで良いのか。私は大きな疑問を持っています。社会全体として労働トラブルが増加しているとは言え、社内に目を移せば、実際には大半の社員はそうしたトラブルとは無縁で日々、お客様のため真面目に仕事に取り組んでいるのではないでしょうか。会社はそうした社員達に支えられているのです。

 すべての会社のルールは従業員を管理・統制するためではなく、社会に支持される良い会社を作るために存在すべきです。今回のセミナーでは、リスク対応に止まらず、社長の想いを社員に浸透させ、真面目に頑張ってくれている多くの社員の帰属意識とやる気を高めることによって、企業業績の向上を目指すための就業規則整備のポイントについてお話しします。


社長の想いを浸透させ、社員のやる気に火をつける就業規則整備のポイント
~労働トラブル対策に止まらず、社会に支持される良い会社を目指す会社のための社内ルール整備
講師:名南社会保険労務士法人 栄事務所代表 大津章敬


(1)まず押さえておきたい直近の法改正と就業規則への反映
(2)法改正と同等以上に重要な「仕事を取り巻く環境変化」への対応
(3)過去5年間に抜本的見直しをしていない就業規則は危険
(4)リスク低減のためにまず確認しておきたい就業規則の重要ポイント
(5)大多数の真面目な社員が安心して仕事に集中できる環境を如何に構築するか
(6)就業規則に、事業や社員に対する社長の想いは込められているか?
(7)会社のルールを社員に浸透させ、望ましい風土を醸成するためのコツ

[開催概要]
日 時:平成24年7月6日(金)午後3時~午後5時30分
会 場:名南経営本社セミナールーム(久屋大通)
     名古屋市東区泉1-12-35 1091ビル4F(地下鉄「久屋大通」駅より徒歩約5分)
講 師:名南社会保険労務士法人 栄事務所代表 大津章敬
受講料 8,400円(税込)
※名南コンサルティングネットワーク顧問先様およびMBC特別会員様は2名様まで無料でご招待
対 象 企業の経営者および人事労務担当者のみなさま
※一般企業向けのセミナーですが、社会保険労務士など専門家のみなさんもご参加いただけます。

[詳細および申込み]
 本セミナーの詳細およびお申込みは以下よりお願いします。
https://www.roumu.com/seminar/seminar20120706.html

(大津章敬)

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求職活動等支援給付金支給申請書

shoshiki495 再就職支援給付金の申請を行う際に提出する書類の一式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:あり

[ダウンロード]
WORD
Word形式 shoshiki495.doc(190KB)
pdfPDF形式 shoshiki495.pdf(22KB)

[ワンポイントアドバイス]

 この給付金の申請を受けるには事前に次のいずれかの手続を行う必要があります。 
① 雇用対策法に基づいて再就職援助計画を作成し、公共職業安定所長の認定を受けること ② 雇用保険法施行規則に基づいて求職活動支援基本計画書を作成し、都道府県労働局長または公共職業安定所長に提出すること


参考リンク
厚生労働省「従業員の再就職を援助してください 労働移動支援助成金(再就職支援給付金) 」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a02-2.html

(福間みゆき)

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