「ハイ」の検索結果

特別条項発動通知書

特別条項を発動する場合(通告の場合)、社内にて作成・保存が必要となる「発動手続きに関する記録」の書式例。

重要度 ★★★

[ダウンロード]
WORDWord形式 2022080912.doc(29KB)
pdfPDF形式 2022080912.pdf(59KB)

[ワンポイントアドバイス]
特別条項を発動する場合、労基署への届出・報告は、不要です。
社内にて
・「発動手続に関する記録」と
・「健康・福祉確保措置の実施状況」
の記録を作成して保存する必要があります。


参考リンク
愛知労働局「FAQ」
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/001016535.pdf

(菊地利永子)

今春入社の新入社員の28.3%が3年以内での退職を想定

 今年の新入社員もこれで4か月半くらいの勤務をしたことになります。職場としてもそろそろ馴染んでくれたと感じている頃ではないかと思いますが、実際には多くの新入社員は既に転職を意識しています。今回はマイナビが実施した「新入社員の意識調査」の結果を見てみたいと思います。なお本調査は、2022年卒の新入社員を対象に実施されたもので、有効回答数は800名(22歳~23歳の男性400名、女性400名)となっています。
(1)いまの会社であと何年ぐらい働くと思いますか?
 以下のように、3年以内で退職予定が28.3%、10年以内で退職予定が51.0%となっています。この水準は2020年以降概ね横ばいとなっています。なお、10年以内で転職予定を男女別で見ると、男性の45.1%に対し、女性は56.8%となっており、女性の転職志向の高さが目立っています。その背景には、結婚・出産などライフステージに合わせて働き方を変えたいという考えが強いことにあるようです。
 3年以内 28.3%
 4~5年ぐらい 13.8%
 6~10年ぐらい 8.9%
 10年以上 8.0%
 定年まで 18.5%
 分からない 22.6%
(2)働きがい別で見た結果
 上記の質問を働きがいのあり・なしでより詳細に見てみると、以下のように「働きがいがない」と感じている社員の転職意向の高さが際立っています。
■働きがいがある
 3年以内退職意向 20.2% 10年以内退職意向 45.0%
■働きがいがない
 3年以内退職意向 63.9% 10年以内退職意向 74.5%

 なお、「働きがいがない」と回答している者の28.0%は1年未満での退職を検討しているという結果も出ています。

 このように、新入社員の意識は大きく変わり、転職を前提としたキャリアプランを描いていることが分かります。企業としてもそのリテンションを進めながらも、退職者を再雇用する仕組みや中途採用の拡大などの対応が求められます。


参考リンク
マイナビ「新入社員の意識調査(2022年)2022/8/4」
https://www.mynavi.jp/news/2022/08/post_34624.html

(大津章敬)

特別条項発動協議書

特別条項を労使協議を経て発動する場合、社内にて作成・保存が必要となる「発動手続きに関する記録」の書式例。

重要度 ★★★

[ダウンロード]
WORDWord形式 2022080913.docx(29KB)
pdfPDF形式 2022080913.pdf(59KB)

[ワンポイントアドバイス]
特別条項を発動する場合、労基署への届出・報告は、不要です。
社内にて
・「発動手続に関する記録」と
・「健康・福祉確保措置の実施状況」
の記録を作成して保存する必要があります。


参考リンク
愛知労働局「FAQ」
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/001016535.pdf

(菊地利永子)

テレワークの有無が会社選びに「影響する」との回答が約7割に

 コロナの感染拡大によるリモートワークの普及は、労使ともに働き方に対する考え方を大きく変えるきっかけとなりました。そこで今回は、パーソルキャリアが2022年8月4日に公表した「dodaビジネスパーソンと企業の転職意識ギャップ調査」からオフィスワークとテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」に関する意識について取り上げます。なお本調査は、転職を検討している又は興味のある150名と、転職を1年以内に経験した100名(以下、「個人」)、及び企業の代表として人事担当者200名(以下、「企業」)の計450名を対象に実施されたものです。

 まずはハイブリッドワークの導入状況ですが、「doda」が扱う約15万件の求人のうち、「テレワーク」可能求人の割合は、2020年1月と2022年6月時点で比較すると16.8倍となっています。また前年同月比でも約2.2倍。企業側の調査でもハイブリッドワークを「すでに導入している」「導入予定である」と回答した企業は計56.5%となり、「導入意向がある(23.5%)」も含めると計80.0%に上っています。このように既にテレワークを前提として働き方は急速に普及していることが分かります。

 このような状況になってくると、転職希望者の志望動機にハイブリッドワークの導入状況が影響を与えることが予想されますが、「非常に影響する」「やや影響する」を合計すると約7割となっており、今後の会社選びにハイブリッドワークの可否が一定程度影響することが明らかとなっています。業種・職種によってはそもそもテレワークが難しい場合がありますが、テレワークが可能な業種や職種であるにも関わらず、テレワークが選択できないとなると、採用上の大きな制約になっていくと予想されます。

 テレワークはコロナの感染拡大によるBCPとして一気に普及しましたが、これからは多様で柔軟な働き方を実現するための当たり前の働き方の選択肢になっていくと考える必要があるでしょう。


参考リンク
パーソルキャリア「dodaビジネスパーソンと企業の転職意識ギャップ調査 第1回「ハイブリッドワーク」」
https://www.persol-career.co.jp/pressroom/news/research/2022/20220804_01/

(大津章敬)

企業の対応が進む副業・兼業容認や不妊治療への支援

 コロナ等による職場環境の変化を受け、企業の人事労務諸制度の見直しが積極的に行われています。そこで今回は労務行政研究所が行った調査から企業の人事労務諸制度の実施状況について見ていきたいと思います。なお、この調査の対象は、全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3,647社と、非上場企業1,850社の合計5,497社で今回の集計は回答のあった292社の結果。

 これによれば、企業の人事労務諸制度の実施状況は以下のようになっています。
90.8% 定年後の再雇用制度(役員は除く)
89.0% ハラスメントに関する相談窓口の設置
84.9% 内部通報制度
83.9% 仕事上での旧姓使用
82.5% ハラスメント防止規程の作成
81.8% 契約社員の雇用
79.8% オンライン面接
72.6% パートタイマー・アルバイトの雇用
69.5% メンタルヘルスに関する相談窓口の設置
69.5% 裁判員休暇
67.5% テレワーク
41.1% 心の健康を目的とするカウンセリング
40.1% フレックスタイム制
39.4% 副業・兼業の容認
34.6% 私傷病休職からの復職支援プログラム
34.6% 男性社員の育児休業取得促進
26.4% 70歳までの就業機会確保措置
16.8% 61歳以上の定年制
12.0% 不妊治療への支援

 上位には法律で義務化されているものが多く並んでいます。一方、近年注目の以下の施策については、大幅な伸びを見せています。
■仕事上での旧姓使用
 2018年 67.5%→2022年 83.9%
■副業・兼業の容認
 2018年 10.7%→2022年 39.4%
■不妊治療への支援
 2018年 4.5%→2022年 12.0%

 今後も環境変化に対応し、こうした施策は継続て身に見直されていくことでしょう。


参考リンク
労務行政研究所「人事労務諸制度の実施状況調査」
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000083364.pdf

(大津章敬)

新型コロナに係る傷病手当金の取扱いQ&Aに7項目追加

 新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大状況は、まだまだ注視が必要ですが、徐々にウィズコロナの時代へ変化しつつあります。一方で、継続的に一定数の感染者がおり、従業員が新型コロナへ感染するという状況も発生しているかと思います。

 そのような中、厚生労働省は協会けんぽや健康保険組合等あてに、「「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」の改訂について」という事務連絡を行いました。これは、2020年に示していた新型コロナに係る傷病手当金の取扱いについて示したものに追加するものです。具体的には以下のようなQに対し、Aが示されたものが追加されました。


Q9 被保険者が、業務災害以外の事由で罹患した新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)の療養のため、労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

Q10 被保険者の検査は実施していないが、同居家族が濃厚接触者となり有症状になった場合等において、医師の判断により当該被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染していると診断されたため、当該被保険者が労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

Q11 新型コロナウイルス感染症にかかる傷病手当金の支給申請に当たり、保健所等が発行する「宿泊・自宅療養証明書」の添付は必要か。

Q12 傷病手当金の支給申請関係書類として、「宿泊・自宅療養証明書」(「宿泊療養又は自宅療養を証明する書類について」(令和2年5月 15 日付け(令和4年4月 27 日一部改正)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)別添様式。以下「「宿泊・自宅療養証明書」」という。)が提出された場合に、当該書類を医師の意見書として取り扱ってよいか。

Q13 被保険者が、新型コロナウイルス感染症の治癒後においても、事業主から感染拡大の防止を目的として自宅待機を命じられたため労務に服することができない場合、当該期間について、傷病手当金は支給されるのか。

Q14 事業主から自宅待機を命じられていた期間中に新型コロナウイルス感染症に感染した場合、傷病手当金の待期期間の始期はいつか。

Q15 海外で新型コロナウイルス感染症に感染し、医師の意見書を添付できない場合は、何をもって労務不能な期間を判断すればよいか。


 内容は保険者向けのものですが、従業員が万が一罹患した場合にどのように考えるのか、企業の担当者も確認しておくとよいでしょう。

↓「「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」の改訂について」はこちらから!
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220705S0010.pdf


参考リンク
法令等データベース「「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」の改訂について」」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220705S0010.pdf
(宮武貴美)

世界的に進められる最低賃金の大幅引き上げ、今年の最賃引き上げはどうなる

 連日の猛暑で少しバテ気味の大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!先週は本当に暑い一週間になりましたね。
服部社長
 そうですね。連日、35度超えの猛暑日でしたからね。今週は雨模様が続きますが、気温は少し落ち着くようですね。
福島照美福島さん
 雨は嫌ですけど、あの猛暑よりはマシですよね。そういえば、先日テレビを見ていたら世界各国の天気予報が流れていて驚いたのですが、ハワイの最高気温が30度に行くか行かないかくらいなんですよ。いまの日本からしたら避暑地ですよね。
大熊社労士
 そうでしたか。確かにいまの日本だと30度までいかないなんて言うと「今日は涼しいね」ってなりますよね。
宮田部長
 涼しげな風が流れるプールサイドでビールですか。最高ですね。
大熊社労士
 確かにそれは間違いなしです。でも、世界的な物価高はハワイも直撃していて、ホノルルの2022年3月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月に比べ7.5%上昇。特にエネルギー(32.6%)や食料品(9.5%)の伸びが大きく、家計に大きなダメージを与えているそうですよ。それに我々日本人がハワイに行こうとすると、円安の影響も加わるので、かなり滞在費が大変なようです。
宮田部長宮田部長
 それは困りましたね。スーパーで買い出しして、近くの河原でバーベキューでもしてビールを飲むことにします。
大熊社労士
 それはそれで楽しそうじゃないですか。さてさて、そんな状態のハワイなのですが、今後大幅な最低賃金の引き上げが行われることが決まりました。現在のハワイの最低賃金は、時給10ドル10セントで、ここ4年間据え置かれていました。それが2022年10月1日から2028年までの間に以下のように段階的に引き上げられます。
 2022年10月1日から 時給12ドル
 2024年1月1日から 時給14ドル
 2026年1月1日から 時給16ドル
 2028年1月1日から 時給18ドル
福島さん
 なんと、6年間で1.8倍ですか!いまのレートは135円くらいですから、それで計算すると時給2,430円ですよ!!!仮に所定労働時間が170時間だとすると、月額413,100円!!!日本ではまったく想像ができない状況です。
大熊社労士大熊社労士
 福島さん、滅茶苦茶計算早いですね(笑)。そうなんです。今回はたまたまハワイの話をしましたが、ロサンゼルスでは今月(2022年7月)から、最低賃金が16.04ドル(2,165円)に引き上げられています。いま日本でもっとも高い東京の最低賃金でも1,041円ですので、その倍以上となります。
服部社長
 いやはや、日本の感覚からするととんでもないですね。それで日本の最低賃金はどうなるのでしょうか?
大熊社労士
 骨太の方針2022では「できる限り早期に最低賃金の全国加重平均が1,000円以上となることを目指し、引上げに取り組む」との記載が見られます。この全国加重平均1,000円というのは以前からの政府の方針であり、今回はそれに「できる限り早期に」という言葉が加わりました。
服部社長
 ということは、基本的には従来の3%を基本に、もう少し上乗せがあるといった感じなのでしょうか?
大熊社労士
 そうですね。まだ具体的な話は出てきていませんのでよく分かりませんが、現在の物価上昇を考えると、そんなところなのでしょう。30円程度の上乗せと見るのが妥当なところではないかと思いますが、海外の取り組みと比較するとそれで大丈夫なのかという心配もありますね。もっとも最低賃金を大幅に上げることでの企業への影響もあるので、難しいところですが。
服部社長服部社長
 私も経営者として、3%の最低賃金の引き上げはかなり負担が大きいと感じていましたが、それでは世界から取り残されてしまうという危機感も感じました。政府としてもより積極的な賃上げを進めていくと思いますので、それを見据えて、生産性の向上や価格戦略の見直しなども検討しておきたいと思います。
大熊社労士
 そうですね。また具体的には議論していきましょう。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。ロシアによるウクライナ侵攻により、これまで燻っていた様々な問題が一気に表出することになりました。特にこの世界的な物価高の影響は大きく、かつての高度経済成長期のようなベアの時代を再び迎えることになるのかも知れません。最低賃金の議論はこれから具体化していきますが、少なくとも昨年実績以上にはなろうかと思われますので、賃金上昇を吸収できるだけの収益性の確保のための対応を検討していきましょう。


参考リンク
JETRO「米ハワイ州が最低賃金を段階的に引き上げ、2028年には時給18ドルに」
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/05/905d275c0b921585.html
JETRO「米ロサンゼルス市、7月から最低賃金を時給16ドルへ引き上げ」
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/02/fdde857a579de8b1.html
Los Angels「MAYOR GARCETTI ANNOUNCES MINIMUM WAGE RATE INCREASE TO $16 AN HOUR」
https://www.lamayor.org/mayor-garcetti-announces-minimum-wage-rate-increase-16-hour
内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2022」
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/decision0607.html

(大津章敬)

フルフレックスタイム制による柔軟な働き方の実現について教えてください

 この週末は真夏を思わせるような熱い日が続いた。暑さが苦手な大熊にとっては辛い時季になってきた。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長服部社長
 大熊さん、おはようございます。それにしてもまだ6月だというのに本当に暑いですね。大熊さんも汗を拭きながらいらっしゃると思ったので、会議室はキンキンに冷やしておきましたよ。
大熊社労士
 なんと、ありがとうございます。いやぁ、涼しい。生き返ります。
福島さん
 大熊先生、これまたキンキンに冷えた麦茶です。どうぞ(笑)。
大熊社労士
 ありがとうございます。さてさて、今日は柔軟な働き方についてのご相談があるということですが。
服部社長
 そうなんです。実は当社の話ではなく、参加している経営者団体の会合で、仲の良い社長から相談を受けた話なのですが、その会社は、オンラインシステムの開発や販売を行っているベンチャー企業で、優秀な人材を確保するために柔軟な働き方を導入したいと考えているようなのです。顧問の社労士さんもいないということで、それであれば、当社の顧問である大熊さんに意見を伺ってみるよとなったという次第なのです。
大熊社労士
 なるほど。もしよろしければその社長を紹介して頂いてもよいのですが(笑)。まあ、その前提として最近の新しい流れについてお話させていただきます。最近、そのようなケースでよく検討されるのがフルフレックス+固定残業というパターンです。
宮田部長
 フルフレックス+固定残業ですか。フレックスタイム制のすごいバージョンみたいな感じなのですか?
大熊社労士
 (笑)。まあ、そんなところです。フレックスタイム制はご存じのとおり、業務等の状況に合わせて、始業・終業時刻を従業員が自ら決めて働くという仕組みです。そして、通常は労働時間管理のための期間である清算期間を1か月と定め、その所定労働時間を超えた分を残業とする仕組みです。
宮田部長宮田部長
 はい、そこまでは理解しています。あとは絶対に勤務しなければならない「コアタイム」や、働いてもよい時間帯である「フレキシブルタイム」を定めるのですよね?
大熊社労士
 一般的にはそうですよね。例えば、午前10時から午後2時までをコアタイムとしているような会社は多いです。また、深夜時間帯に勤務することを認めないとして、午前5時から午後10時までをフレキシブルタイムとしている例も一般的です。今日、ご紹介しているフルフレックスでは、こうしたコアタイムやフレキシブルタイムを設定せず、文字通り、24時間いつでも働いてよいとする極めて自由度が高いフレックスタイム制のことを言います。
服部社長
 それはすごい。ということは、例えば夕方の6時に出勤し、深夜1時まで働くなんていうことも認められるということですか。
大熊社労士
 理屈でいえばそういうことになります。その上で、企業によっては毎月20時間分などの残業代を固定的に支給する固定残業制度を組み合わせ、その時間までは残業の実施も本人の裁量に委ねるという運用を行っている例も多く見られます。
福島照美福島さん
 ということは例えば、ある月の所定労働時間が21日×8時間=168時間だとすると、それに20時間を加えた188時間の「時間予算」を本人に与え、その範囲内で従業員自らが働く時間を柔軟に決めるということですね。それって、裁量労働とは違うのですか?
大熊社労士
 福島さん、いい質問ですね。趣旨としては裁量労働に近いものになります。しかし、裁量労働は適用できる職種が限定されていたり、休日については通常、別途労働時間管理を行うことになることによる実務上の難しさがあったりします。また何時間働いたとしてもみなし労働時間働いたとみなされることから実態的に労働時間管理の甘さが出て、長時間労働の原因にもなったりします。このように裁量労働制は、意外に使いにくいところがあります。よって、最近はフレックスタイム制を活用した柔軟な働き方の実現を目指す事例が増えています。
服部社長
 なるほど。ちなみにその場合の課題としては何がありますか?
大熊社労士大熊社労士
 まずフレキシブルタイムを設けない場合の深夜労働でしょう。やはり深夜労働は心身への負担が大きいのでできれば避けたいところですが、フレキシブルタイムを設けない場合には、もっぱら深夜に働くということができてしまいます。よって、健康管理の観点から、私としては最低限のフレキシブルタイムを設定すべきと考えています。また深夜の場合、割増賃金の問題もありますので、この観点からも深夜時間帯の労働には一定の制限をしておいた方がよいと思います。
宮田部長
 毎日、午後10時から午前5時に働けば、自動的に給料が25%増になるのであれば、そうしちゃうかもですもんね。
福島さん
 宮田部長、なにを言っているんですか、まったく(苦笑)。あと現実的にはすべての従業員にこの制度を導入するのは難しいですよね。例えば、管理部門や顧客担当者であれば、ある程度お昼の時間に勤務していないと業務に支障が出るように思います。
大熊社労士
 そうですね。そういった場合は職種単位でコアタイムを設けたり、そもそもフレックスを適用しないということもあるでしょう。ちなみに、この制度は新しいように見えますが、実はそうでもなくて、トヨタ自動車で2017年に導入され話題となったフリータイム&ロケーション・フォー・イノベーション制度もこれと同じような内容になっています。私も報道レベルでしか承知していないのですが、トヨタ自動車のケースでは、入社10年目くらいとなる主任級以上を対象に、約45時間分の固定残業を支給した上で、1日2時間以上勤務すればよいというフレックスタイム制を導入しているそうです。この制度の導入当時は、裁量労働制の実質的な拡大だとして大きく報道されていました。
服部社長
 なるほど。最近だとこうした制度に、リモートワークも加わって、柔軟な働き方が取り入れられているのでしょうね。当社の場合は製造業なのでそこまで柔軟な制度の導入は難しいですが、こうした制度を導入し、優秀な人材確保に繋げようという企業が増えそうですね。よくわかりました。知り合いの社長にも説明しておきます。あと、大熊さんの名刺のコピーもお渡ししておきますから、あとはよろしくです!

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。久し振りの更新となった大熊ブログでしたが、今回は最近、ベンチャー企業などで導入が増えているフルフレックス+固定残業という柔軟な働き方について取り上げました。

 リモートワークの導入により、朝9時からオフィスで働くという固定的な働き方が合わなくなり、より柔軟な働き方を導入することで生産性を上げ、同時に会社の魅力も高めようとする取り組みが増加しています。直接的には過重労働対策などが重要になりますが、同時に会社との適切な距離感を如何に保つのか、そして業務の成果をどのように評価するのかというHR方面の対応も重要になります。いずれにせよ、こうした柔軟な働き方を積極的に取り入れる企業とそうではない企業の二極化が進むことになるでしょう。新型コロナの感染拡大によって様々な社会の仕組みが変わりました。人材確保の観点からも柔軟な発想で働き方を改革していくことが重要となっています。

(大津章敬)

リニューアルされた愛知県公開の「わかりやすい中小企業と就業規則」

 今年も育児介護休業法の改正により、就業規則の改定が必要になっていますが、相次ぐ法改正に加え、職場を取り巻く環境も大きく変化していることから、就業規則を見直そうという企業が増えています。今日はそんなときに活用できる冊子をご紹介します。

 愛知県産業労働部では、以前より中小企業向けに冊子「わかりやすい中小企業と就業規則」を作成しています。この冊子は、条文ごとに解説が掲載されており、非常に分かりやすくまとめられているのですが、この小冊子が2022年3月にリニューアルされました。自社の就業規則改定の参考とされてはいかがでしょうか?
第1部 就業規則とは
第2部 モデル就業規則
第3部 パートタイム・有期雇用労働者モデル就業規則
第4部 育児・介護休業等に関するモデル就業規則


参考リンク
愛知県「わかりやすい 中小企業と就業規則」
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/rodofukushi/0000007060.html

(福間みゆき)

インターンシップで取得した学生情報を採用活動に利用可能に

 採用活動前にインターンシップを実施する企業が多くなりました。本来、インターンシップは「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義されており、そこで取得した学生情報を広報活動や採用選考活動に使用してはならないとされてきました。

 これについて、文部科学省、厚生労働省および経済産業省は合同で「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」を2022年6月13日に一部改正し、現在の大学2年生より、一定の要件を満たしたインターンシップについて、取得した学生情報を広報活動・採用選考活動に活用することが可能という方針に変更しました

 一定の基準に準拠するインターンシップで得られた学生情報については、その情報を採用活動開始後に活用することができる点が改正のポイントになります。一定の基準とは、就業体験要件として「必ず就業体験を行う。インターンシップ実施期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てること」や、実施期間要件として「インターンシップの実施期間は、汎用的能力活用型では5日間以上、専門能力活用型では2週間以上」等が含まれています。

 これまでも実質的にはインターンシップで得られた情報が採用活動に用いられていたともいわれますが、方針が明確化されたことの意義は大きいと思われます。その他の基準を含め、方針の全文は以下より確認することができます。

↓「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000949684.pdf?fbclid=IwAR3_DVqjQmNyBJviiWYr94RibFELagJYDuyD41huTmNy9yup80IZNKD0dD8


参考リンク
厚生労働省「若者の雇入れを検討している事業主の皆さまへ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133085.html
経済産業省「現大学2年生より、インターンシップのあり方が変わります!」
https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220613002/20220613002.html
(宮武貴美)