「ハイ」の検索結果

副業者をアルバイトとして雇用しようと思っているのですが

 服部印刷では、年明けに突発の大きな仕事が決定し、その対応に追われていた。


宮田部長宮田部長:
 大熊先生、おはようございます!いよいよ今年も最終週ですね。先生の事務所の業務は何日までですか?
大熊社労士:
 おはようございます。当社は業務は28日までで、29日は大掃除の予定をしています。
宮田部長:
 そうなんですね。当社とまったく同じでした。それにしても今年の年末はいろいろな手配が大変で困っています。
大熊社労士:
 あら、そうなのですね?なにかあったのですか?
宮田部長:
 はい、本当にありがたい話なのですが、年明けに大きな仕事が急遽決まりまして、その準備に追われているのです。特に問題なのがアルバイトの採用で、いくら募集をしてもなかなか人が集まらず、大苦戦しています。
大熊社労士:
 やはり、そうですか。現在の人手不足は本当に深刻ですからね。どこの企業でも同じような人手不足の話が出てきますよ。それで目途は立ちそうですか?
宮田部長:
 できれば5人ほどアルバイトを確保したいのですが、いま決まっているのは3名ですので、あと2名を何とかしなくてはなりません。実は昨日、1名応募があったのですが、この人の雇用について今日は相談したいと思っていました。
大熊社労士:
 なにか、特別な方なのですか?
宮田部長:
 そうなんです。福島さん、状況を説明してもらえますか?
福島照美福島さん:
 はい。この方なのですが、最近話題の副業なのです。平日は製造業A社でフルタイムの正社員として勤務されている方なのですが、お子さんの進学費用と稼ぎたいということで、当社でのアルバイトにご応募いただいたようなのです。宮田から先ほどお伝えしたように、今回の求人は本当に苦戦していますので、当社としては土曜日だけでも来てもらえれば本当に助かるのですが、なにか問題がないだろうかという話になっているのです。
大熊社労士:
 なるほど。働き方改革の中で「副業兼業の解禁」というテーマがあり、それが結構話題になったことから、最近、副業をしようとする方が増えているように感じます。それにどの企業でも、労働時間の削減が進められていて、残業代が減ってしまって生活が苦しいという話もよく聞きますしね。
福島さん:
 そうなんです。まさにそのパターンのようでして。確か労働時間管理で注意が必要だったと記憶していたのですが、どうだったでしょうか?
大熊社労士:
 はい、よく気づいていただいたと思います。その通りで、今回のケースでは特に労働時間が問題になりそうです。宮田部長、ちなみにこの方の時給はいくらを想定されていますか?
宮田部長:
 1,000円の予定です。
大熊社労士:
 なるほど。ということはこの方には1,250円の時給を支給する必要があります。
宮田部長:
 え?どうしてですか?この人には残業をさせる予定はありませんよ。午前9時から午後6時までの8時間勤務の予定です。
大熊社労士大熊社労士:
 はい、それでもそうなるのが労働基準法の定めなのです。この方は現在、正社員としてA社で1日8時間・週40時間のフルタイム勤務をされています。その上で今回御社と契約し、土曜日に8時間のアルバイトをしようとされています。労働基準法における法定労働時間は1日8時間・週40時間とされており、その時間を超えて働いた場合には割増賃金の支払いが必要となります。
宮田部長:
 それは理解しています。でもこの人は当社で8時間しか働かないので、割増賃金は不要なのではないですか?
大熊社労士:
 そこが今回のポイントです。労働基準法38条では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めています。つまり、A社で40時間
勤務した上で御社で8時間勤務するということは、その時間が通算され週48時間勤務しているという取り扱いになり、割増賃金が必要となるのです。更にその割増賃金の支払いが求められるのは、原則として、後から労働契約を締結した使用者、つまり御社になるのです。だから1,250円の時給を支給する必要があります。
宮田部長:
 そんなルールがあるのですね!まったく考えていませんでした。
大熊社労士:
 そうなのです。この通算規定が副業兼業が進まない理由の一つとされています。少し前に厚生労働省から公表された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」でも以下のような規定が見られます。「特に、労働者が、自社、副業・兼業先の両方で雇用されている場合には、労働時間に関する規定の適用について通算するとされていることに留意する必要がある。また、労働時間や健康の状態を把握するためにも、副業・兼業の内容等を労働者に申請・届出させることが望ましい。」
福島さん:
 あ、いまお話をお聞きして思ったのですが、労働時間の把握って実務上、本当に難しいですよね。例えば、今回の方は通常は1日8時間・週40時間勤務ですから、当社でのアルバイトは常に法定労働時間を超えることになります。でも例えば祝日でお休みがある週、具体的に言えば来年1月14日(月)は成人の日で祝日になりますが、もしこの日がお休みだったとすると、当社で土曜日に勤務してもらったとしても週40時間に収まるので、割増賃金は不要。つまり1,000円の支払いで足りるということですよね?
大熊社労士:
 はい、そういうことになります。更に言えば、A社の所定労働時間が7時間30分など8時間未満だとすると、話はもっとややこしくなります。つまり、適正に割増賃金を支給しようとすると、ほぼリアルタイムで他社での労働時間を把握し、割増賃金の計算を行わなければならないということになります。
服部社長服部社長:
 なるほど、これまでずっと話を聞いていましたが、これは実務としては極めて煩雑ですし、現実にそんなことができるのだろうかとさえ、思います。またこれまでは割増賃金の問題を議論してきましたが、そもそもの労働時間管理や過重労働防止という話もありますよね?
大熊社労士:
 そうですね。今回の方はA社でほぼ残業はないようですから問題は少ないですが、もしA社で毎日2~3時間の残業を行っていたなんていうケースですと、過重労働による安全配慮義務違反などという論点も出てくるでしょう。また御社で土日とも雇用するとなると、法定休日の問題もあります。
服部社長:
 そのように考えると、人手がいないからといって安易にこういった方を雇用するのはリスクがあるということにもなりそうですね。
大熊社労士:
 そうですね。そこで厚生労働省でも「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」という検討会を現在実施しており、事業主を異にする場合の労働時間制度の在り方について議論の整理を行っているところです。ちょうど今週の木曜日にも第4回の検討会が開催され、海外視察の結果報告がなされると聞いています。
服部社長:
 なるほど。宮田部長、年明けの人員の件は頭が痛いが、この方については慎重に考えざるを得ないように思うよ。
宮田部長:
 そうですね。大熊先生と相談しながら対応を決定したいと思います。大熊先生、よろしくお願いします。
大熊社労士:
 わかりました。この問題に関してはその検討会で配布された「副業・兼業における現行の労働時間管理、健康管理について」という資料が参考になりますので、後程メールで多く知りておきますね。
宮田部長:
 ありがとうございます!

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は話題の副業兼業における労働時間管理の問題を取り上げました。今回はフルタイムで勤務した後のアルバイトという比較的分かりやすい事例を取り上げましたが、例えばA社(先に契約)で4時間、B社(後に契約)でも4時間の雇用契約を結んでいる者が、A社で1時間の残業を行った場合には、後から契約したB社に割増賃金の支払義務があるのではなく、8時間を超えて働かせることとなったA社で割増賃金を支給しなければならないといった変化球もあります。昨今の副業兼業解禁という話以前に、そうした複数就業者(マルチジョブホルダー)の問題は既に発生しているのですが、適切な労働時間管理はできていないというのが実情です。この通算規定の問題は実務上、非常に大きく、副業兼業を推進しようとする国の方針の阻害要因となっていることから、現在、検討会でその見直しが議論されています。その議論の末に、通算ルールの見直しがされる可能性もありますが、それまではこうした問題があることを認識し、できる限り、
適正な管理・支払いを行っていきたいものです。

[関係法令]
労働基準法38条
 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
昭和23年5月14日 基発第769号(局長通達)
 「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む。


関連blog記事
2018年11月19日「副業・兼業解禁という方向でモデル就業規則が改定されたのですね」
https://roumu.com/archives/65804243.html
2017年10月2日「今後、副業・兼業が当たり前になる時代に向かっていきます」
https://roumu.com/archives/65785914.html

参考リンク
厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf
厚生労働省「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/AA10K-0000178546_00001.html

(大津章敬)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

残業時間の上限規制 2019年3月31日以前の期間が含まれる36協定の期間の適用はいつから?

35 働き方改革関連法の残業時間の上限規制は、大企業が2019年4月1日から、中小企業が2020年4月1日から適用となり、改正後の36協定届の様式も公開されたことから、準備を進めている企業も多いかと思います。36協定の協定期間としては、年度で定めている企業が多いかと想像しますが、36協定の期間は労使で定め、協定することから、必ずしも4月1日から翌年3月31日までである必要はありません。
 そのため、例えば2019年3月16日から2020年3月15日までの1年間での協定を結ぶ場合の残業時間の上限規制がどこから適用となるのか、判断に迷うところです。これに関して、公布された働き方改革関連法の省令で経過措置が設けられており、通達でも新労基法第36条の規定は、2019年4月1日以後の期間のみを定めている時間外・休日労働協定について適用するものであることと示されています
 つまり、2019年3月16日から2020年3月15日までの1年間で定めた場合には、2019年4月1日以後の期間のみではないため、この協定期間の間は、旧労働基準法が適用され、残業時間の上限規制も2020年3月15日までは適用を受けないことになります。
 働き方改革関連法が成立した主旨を考えると、適用を受けない場合であっても過重労働対策は必須であり、対応を進めていくことが求められます。


関連blog記事
2018年9月20日「使用者の時季指定による年休 半日単位でも問題なし~働き方改革関連法の政省令等に関する通達が公開に~」
https://roumu.com
/archives/52158443.html

参考リンク
法令等データベース「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T180919K0010.pdf

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

日経ヘルスケア 8月号「診療所の災害対策を講じたい どこから手を付ければいい?」

クリップボード02 弊社コンサルタントの服部英治が「実践!経営者のための人事・労務入門」という連載を行っております、日経ヘルスケアの8月号が発売になりました。今月は「想定される業務を洗い出し、具体策は職員に検討させる 診療所の災害対策を講じたい どこから手を付ければいい?」というタイトルで災害時の対策の説明をしています。

 なお、今回の記事でご紹介している災害時の対策に関わる3つのポイントは以下のとおりです。詳細は是非、誌面でご覧下さい。
 スタート時期を先に決める
 緊急連絡網はSNSの利用も考える
 目的は院長自身の負荷の最小化


参考リンク
日経ヘルスケア
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/info/mag/nhc/

(古澤菜摘)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

愛知労働局に寄せられた労働トラブルの圧倒的1位はいじめ・嫌がらせ

いじめ嫌がらせ 愛知労働局は、先日、「平成29年度の個別労働紛争解決制度の施行状況」をまとめま、公表しました。これによれば、愛知労働局の総合労働相談コーナー(県内16か所)に寄せられた総合労働相談件数は、84,466件で、対前年度比で4.4%増加しました。

 このうち、解雇、雇止め、退職勧奨、労働条件の引下げ、いじめ・嫌がらせ等のいわゆる民事上の個別労働紛争に係る相談件数は16,243件で、対前年度比で1.3%増加していますが、その内容を見ると、いじめ・嫌がらせに関するものが4,577件(23.9%)と6年連続トップ。次いで、自己都合退職2,064件(10.8%)、解雇1,646件(8.6%)となっていますが、グラフにあるとおり、全体として減少傾向にある中で、いじめ・嫌がらせだけが急増しています。

 企業としては、早急な対策が求められます。


関連blog記事
2018年6月29日「労働トラブル件数の第1位は今年も「いじめ・嫌がらせ」 無期転換の影響で「雇止め」も前年比116%の大幅増」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52153296.html

参考リンク
愛知労働局「平成29年度個別労働紛争解決制度等施行状況」
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/000251919.pdf

(大津章敬)

本記事および人事労務管理に関するご相談は社会保険労務士法人名南経営(名古屋駅 JPタワー名古屋33階)までお問い合わせください。
 
TEL 052(589)2355
   お問い合わせフォーム http://www.roumu.co.jp/contact.html

全国レベルでの最新情報は以下のメインブログおよび「労務ドットコムfacebookページ」をご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/roumucom/

http://www.facebook.com/roumu

現在行われている「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン

アルバイト 昨年はブラックバイトという言葉をよく耳にしましたが、厚生労働省では、引き続き全国の大学生等を対象に、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施しています。

 このキャンペーンでは、重点的に以下の事項が呼びかけられています。
労働条件の明示
適切な勤務シフトの設定
労働時間の適正な把握
商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止

 また取組みとして、学生用のクイズ形式のリーフレットを大学等で配付するなどによる周知・啓発を行うとしており、そのリーフレットには例えば以下のような〇×問題が記載されています。
・街でアルバイトの募集広告を見ました。このアルバイトの時給は830円で研修中は820円みたいです。このお店がある県の最低賃金は823円ですが、研修中はいろいろ教えてもらうんだから時給が低くてもしょうがないと思っています。 ○か×か。
・仕事中に誤ってお皿を割ってしまいました。月末のアルバイト代から勝手に弁償金を差し引かれてまし
たが、お皿を割ってしまった自分が悪いので、しょうがないですよね。 ○か×か。
・週末に1日に7時間働いています。いつも忙しくて、休憩が15分くらいしか取れていません。お店のみん
なも忙しくて休憩を取れていないので、私も休憩が取れなくても仕方ないですよね。 ○か×か。
・余りに忙しくて学校の勉強をする時間がとれなくなってきたので、「来月いっぱいでアルバイトを辞めた
いです。」とお店に伝えたら、店長から「突然辞めると言い出すのは迷惑だ。代わりの人を見付けるまで
辞めさせない。」と言われてしまいました。確かに代わりがいないとお店は困るかもしれないので、自分
で代わりを見付けてから辞めるしかないですよね。 ○か×か。

 上記4つの問題の答えはすべて×であり、事業主としてもアルバイトの労働条件をもう一度確認しておきましょう。


参考リンク
厚生労働省「「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000200929.html

(福間みゆき)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

パート・アルバイトが上司への信頼を失う最大の原因は「人によって違った対応をする」こと

パート・アルバイトが上司への信頼を失う原因 パートタイマーの採用・定着に悩んでいる管理職は多いのではないかと思いますが、パートタイマーの定着を進めるためには彼らとの信頼関係を築くことがなによりも重要です。そこで今回は、アイデム 人と仕事研究所の「平成29年版 パートタイマー白書」より、このパート・アルバイトとの信頼関係についてのアンケート調査の結果を見てみることにしましょう。
どんなことから上司に信頼感を持つか
 パート・アルバイトに、どんなことから上司に信頼感を持つかを聞いたところ、その上位は以下のようになっています。
57.5% 必要なときに助言や手助けをしてくれる
55.9% 業務における指示や判断が的確である
52.9% 挨拶や会話など、日頃から積極的にコミュニケーションをとっている

52.8% 誰にでも分け隔てのない対応をしている
50.1% 言うことと行うことが一致している
43.2% どんなことでも誠実に対処している
40.2% 相談ごとなどの話を真剣に聞いてくれる

どんなことから上司への信頼感が損なわれるか
 逆に、どんなことから上司への信頼感が損なわれるかの回答上位は以下のようになっています。
59.3% 人によって違った対応をする
57.0% 言うことと行うことが一致していない
49.2% 業務における指示や判断が的確ではない
46.2% 問題があっても誠実に対処しない
42.3% 必要なときに助言や手助けをしてくれない
41.3% 自分が不利になると部下をかばってくれない
41.1% 約束したことを守ってくれない

 いずれも言われれば当然のことかも知れませんが、業種によってはパート・アルバイトの確保は業務継続の絶対条件ということもあろうかと思います。時給を引き上げるだけではなく、こうした点に注意し、彼らとの信頼関係を高める努力が求められています。


参考リンク
アイデム 人と仕事研究所「平成29年版 パートタイマー白書」
https://apj.aidem.co.jp/examine/236/

(大津章敬)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

男性の育児休業はいつから取得できますか?

 服部印刷で、男性従業員から育児休業を取りたいという相談があったとの連絡を受けて、大熊は会社へ向かった。


福島さん:
 大熊先生、こんにちは、お待ちしていました。
大熊社労士:
 こんにちは。男性従業員から育児休業の相談があったそうで…。
宮田部長宮田部長:
 そうなんですよ。私の時代では考えられなかったことですが、時代は変わりましたね。まだ、中小企業では男性の育児休業は一般的ではありませんから、ちょっと誇らしくも思います。
福島さん:
 本当にそうですね。その男性従業員から、いつから育児休業が取れるのか聞かれたのですが、男性は初めてのことで、すぐに答えられなかったのです。聞かれてみて、いつから開始できるのか、調べてみたのですがよくわからなくて…。
大熊社労士:
 そうですね。女性の場合は、産前産後休業を取得した後に育児休業開始となるので、自動的に出産日から57日目が育児休業開始日となりますが、男性の場合は、いつから開始するか、女性よりも自由に開始日を決めている人も多いですからね。
宮田部長:
 ふーむ、そうすると、出産日からかな?
大熊社労士:
 先に答えをお伝えしますが、男性の場合、育児休業を開始できる日は、出産日ではなく、出産予定日からです。
福島照美福島さん:
 やっぱり出産予定日からですか~。出産日からだといつ生まれるか分からないから、あらかじめ申請することはできないし、でも出産予定日だと、生まれていないので育児休業となるのか…と悩んでいたのです。
大熊社労士:
 育児休業法では、「1歳に満たない子について、事業主に申し出ることにより育児休業をすることができる」とあるだけで、男性の場合は、出産予定日からと明記してはいないので、分かりづらいですね。
宮田部長:
 出産予定日から開始できるということは、出産が出産予定日より遅れた場合は、1歳まで育児休業を取ったとしたら、1年より長くなるということですね。
大熊社労士:
 そうなります。宮田部長、冴えていますね。
福島さん:
 ということは、雇用保険の育児休業給付金も、出産予定日から1歳になるまで、ずっともらえるということでしょうか。
大熊社労士:
 そこは注意が必要です。雇用保険の育児休業給付金は、出産予定日からでなく、出生日からが対象となります。
福島さん:
 うーん、育児休業期間と、育児休業給付金の対象期間が違うのですか、ややこしいですね。
大熊社労士:
 また、男性の場合、パパ休暇と言って、出生後8週間以内に育児休業が終了した場合は、2回目の育児休業が取得できます。
宮田部長:
 あ~、ありましたね、そんな制度。
福島さん:
 2回目の育児休業取得も育児休業給付金は当然対象となりますよね?
大熊社労士大熊社労士:
 そのとおりで、2回目の育児休業も、育児休業給付金の対象となります。その際の給付の額は、初回の育児休業で支給された賃金日額を2回目の休業期間も使用し、1回目、2回目の休業において、給付支給日数が通算して180日になるまでは67%が支給され、181日目からは50%となります。
福島さん:
 ふ~、男性の育児休業取得の場合は、いろいろありますね。
大熊社労士:
 そうですね。育児休業は、休業以外にも様々な制度がありますから、その都度聞いてくださいね。複雑ではありますが、各制度取得者が発生したら、会社としても実績となり、福島さんも経験を積めて、今後の取得者に自信をもって説明ができることに繋がりますから。
宮田部長:
 我が社もいろいろな育児休業制度利用者が出てきた方が、採用面からも会社のイメージアップになりますね。
大熊社労士:
 しっかりフォローしますので、分からないことがあったら、遠慮しないで聞いてください。
福島さん:
 はい、わかりました。先生、よろしくお願いします。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。厚生労働省の調査によると、2016年度の男性の育児休業取得率は3.16%で、前年度より0.51ポイント増加し、1996年度の調査以来過去最高となりました。男性の育児休業は増えてきているといえども、女性の育児休業取得率の81.8%と比べるとまだまだ大きな差があります。企業としては、男性も育児休業が取得しやすい職場環境づくりが求められ、また男性が育児休業を取得した場合の制度と雇用保険、社会保険の給付・制度についても整理しておく必要があります。


参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/34.html
雇用保険「育児休業給付の内容および支給申請手続きについて」
https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/ikujikyugyou.pdf
厚生労働省「平成28年度雇用均等基本調査の結果概要」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-28r-07.pdf

(小浜ますみ)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

学生バイトを雇うときにはどのような点に注意が必要ですか?

 服部印刷では、一時的に受注が集中したため、短期的にアルバイトを雇うこととした。


宮田部長:
 先生、先日から短期的に受注が集中しているので、アルバイトを雇うことにしました。
大熊社労士:
 おや、それは嬉しい悲鳴ですね。もう面接はされたのですか?
宮田部長:
 はい、2週間前に面接して、2ヶ月弱、夏休みの期間を中心に来てもらおうと思います。
大熊社労士:
 大学生ですか?高校生ですか?
宮田部長宮田部長:
 大学生2人です。工場で製本作業を手伝ってもらうのですが、いまのところ、週3日の勤務を予定しています。アルバイトを雇ったのは、ずいぶん前のことなので忘れてしまったのですが、何か注意しなければいけないことはありましたか?
大熊社労士:
 基本的な考えは、アルバイトであっても一人の労働者であるということです。ですので、労働条件はきちんと書面で渡すといったことになります。その際ですが、未成年者であっても労働契約は、本人と結ぶことになっています。親や後見人と結ぶことにはなりません。
福島さん:
 はい、労働条件通知書は準備しています。
大熊社労士:
 今回は大学生であり、18歳以上なので問題はありませんが、18歳未満のアルバイトであった場合は、残業や休日労働はさせることはできません。また、安全上危険な業務や衛生上有な業務などをさせてはいけないと制約も設けられています。
宮田部長:
 えっ?18歳未満というと、高校生は残業はさせてはいけなかったのでしたか?忙しいので、ひょっとしたら、1日8時間を超えて残業になることもあるかも知れないのですが、大学生であれば大丈夫ですね。高校生であれば、大学生よりも時給を低く設定できるかなとも思いましたが、大学生にしておいてよかったです。
大熊社労士:
 そうですね。特に夏休みが中心ということですので、1日8時間を超えても学業に影響はないのではないかと思いますし、大学生でよかったのかなと感じます。あ、残業させることはできますが、当然、残業時間数は36協定で定める範囲内であることや、割増賃金の支払いも必要であることに変わりはありませんので、間違った認識にならないようにしてくださいね。
福島照美福島さん:
 はい、給与計算のときに注意すると共に、現場にも注意喚起をしておきます。
大熊社労士:
 そうですね。最近は「ブラックバイト」と呼ばれ、最初に合意した以上のシフトを入れたり、一方的に急なシフト変更を要求したり、更には長時間働かせて割増賃金を支払わなかったり、という会社もあり、問題となっています。もちろん、まずはそのようなことが起こらないように注意することが必要ですが、それには現場の協力が必要ですからね。
宮田部長:
 確かに実際に仕事を指示するのは現場ですからね。
大熊社労士:
 ちなみに、厚生労働省は今月末まで学生向けに「アルバイトの労働条件を確かめよう」キャンペーンを実施しています。
宮田部長:
 それはどのようなキャンペーンなのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、数年前から実施されていて、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月に大学等と連携して、アルバイトのトラブル事例のポスターを構内に掲示したり、リーフレットを配布したり、また、都道府県労働局職員の出張相談も行ったりしています。学生側もあらかじめ必要な知識を持つことでトラブルを避けようということが狙いです。学生側には、労働法クイズとして何問正解できるかなどのパンフレットを作成していますし、事業主側には、「アルバイトの労働条件に関する自主点検表」を作成し、自社の労働条件の確認を促しています。
福島さん:
 そんなパンフレットとか自主点検表が出ていたのですね。
宮田部長:
 確かに学生自身も知識をしっかりと持つことって重要ですよね。・・・という私もまだまだ勉強の身ですが。
大熊社労士:
 労使双方が知識を持って、しっかりと働き・働かせ、賃金をもらう・払うという当たり前のことができれば、トラブルは防止できると思っています。今後もしっかりやっていきましょう。
宮田部長:
 わかりました。工場の責任者にも伝えておきます。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。厚生労働省では、数年前からいわゆる「ブラックバイト」撲滅のために、「アルバイトの労働条件を確かめよう」キャンペーンを実施しています。過去には高校生や大学生のアルバイトの意識調査を行い、その調査結果を踏まえて、アルバイトをする学生側にも予め働くことの知識を得てもらうための啓蒙活動をしています。学生アルバイトは学業と仕事の両立への配慮が必要であり、学業が本分となります。会社は両立ができるように適切な労務管理を心掛けることが必要です。


参考リンク
厚生労働省「「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000158976.html
確かめよう労働条件「アルバイトを雇う際に確認するポイント」
http://www.check-roudou.mhlw.go.jp/parttime/index.html

(小浜ますみ)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

2017年4月から行われている「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン

ブラックバイト ブラックバイトという言葉を耳にすることが増えていますが、厚生労働省では昨年と同様に4月から7月にかけて「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを実施しています。そもそもこれは、全国の大学生等を対象に、アルバイトを始める前に労働条件の確認を促すことなどを目的としたものです。そして、依然としてブラックバイトが減らないことから、以下の5点を重点事項として挙げています。
労働契約締結の際の学生アルバイトに対する労働条件の明示
学業とアルバイトが両立できるような勤務時間のシフトの適切な設定
学生アルバイトの労働時間の適正な把握
学生アルバイトへの商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
学生アルバイトの労働契約の不履行等に対して、あらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止

 今年度は引き続き大学等での出張相談を行うと共に、新たに学生向けに身近に必要な知識を得るためのクイズ形式のリーフレットを配布し周知・啓発を行うとしています。また都道府県労働局及び労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置し、学生からの相談に重点的に対応していくようです。

 特に飲食などは極度の人材不足から、どうしてもアルバイトに無理をお願いするような状況が発生しやすくなっています。しかし、最近はSNSなどでそうした噂はすぐに広まり、ブラックだとしてより人材確保が難しくなるケースも増えています。まずはアルバイトとのコミュニケーションを十分に取り、その定着を図っていくことが重要です。


参考リンク
厚生労働省「「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000158976.html

(福間みゆき)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

アルバイトが嬉しかった待遇・制度の上位は「交通費」「食事補助」「服装髪型自由」

アルバイトが嬉しかった待遇・制度 飲食を中心にアルバイトの採用難が深刻な状態となっています。例えば、東京労働局が公表した「接客・給仕の職業」の求人倍率は8.17倍(2016年12月)というとんでもない高水準になっており、アルバイトの確保は極めて厳しい状況にあることが分かります。

 そんな中、エン・ジャパンは「エンバイト」のサイト利用者を対象に「アルバイトの待遇・制度」に関するアンケートを実施し、1,538名からの回答結果を公表しました。この中の「あって嬉しかったアルバイトの待遇・制度」についての回答は以下のようになっています。
78% 交通費支給
42% まかない・お弁当などの食事補助
29% 服装・髪型自由

28% 日払い・週払い
27% 昇給
25% 賞与
25% 制服貸与
24% 給与以外の手当
24% 社員割引
20% 現金払い

 アルバイト採用の際の魅力作りのための参考にしてみてはいかがでしょうか?


参考リンク
エン・ジャパン「あって嬉しかったアルバイトの待遇・制度、第1位は「交通費支給」」
http://corp.en-japan.com/newsrelease/2017/3471.html
東京労働局「求人・求職バランスシート(平成28年12月分)」
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0144/5548/2017125131124.pdf

(大津章敬)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。