[雇用機会均等法]2つに分類されるセクシュアルハラスメント(6)
女性の社会進出が進むにつれ、企業が対処しなければならない問題は次々に出てきました。セクシュアルハラスメントの問題もそのひとつであり、男女雇用機会均等法の第11条では「職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置」という規定がおかれています。その中でもセクシュアルハラスメント対策の指針を策定することになっており、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」が出されています。今日はこの指針のセクシュアルハラスメントの分類について取り上げてみましょう。
この指針では、職場におけるセクシュアルハラスメントを「対価型」と「環境型」に分類し、具体例を挙げています。
[対価型]
職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けること
事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、当該労働者を解雇すること。
出張中の車中において上司が労働者の腰、胸等に触ったが、抵抗されたため、当該労働者について不利益な配置転換をすること。
営業所内において事業主が日頃から労働者に係る性的な事柄について公然と発言していたが、抗議されたため、当該労働者を降格すること。
[環境型]
職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること
事務所内において上司が労働者の腰、胸等に度々触ったため、当該労働者が苦痛に感じてその就業意欲が低下していること。
同僚が取引先において労働者に係る性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流布したため、当該労働者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと。
労働者が抗議をしているにもかかわらず、事務所内にヌードポスターを掲示しているため、当該労働者が苦痛に感じて業務に専念できないこと。
実際の問題をこれら2つに分けることは重要とはいえませんが、対価型の直接的な不利益のみではなく、環境型のようなケースも当然セクシュアルハラスメントに該当することが注意しておきたいところです。
[参考条文]
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第11条(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
3 第四条第四項及び第五項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第四項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。
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参考リンク
厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/danjyokoyou.html
(宮武貴美)
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