[雇用機会均等法]禁止される不利益取扱いの具体例(5)

 昨日のブログ記事「[雇用機会均等法]婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等(4)」では、婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止について取り上げました。本日は昨日の予告どおり、この不利益取扱いの具体例を取り上げることにしましょう。昨日のブログ記事で取り上げたとおり、施行規則では、不利益な取扱いを禁止する事由として9つを挙げています。その上で、指針では、解雇その他の不利益な取扱いの具体例として以下の11を挙げています。
(1)解雇すること
(2)期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと
(3)あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること
(4)退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと
(5)降格させること
(6)就業環境を害すること
(7)不利益な自宅待機を命ずること
(8)減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと
(9)昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと
(10)不利益な配置の変更を行うこと
(11)派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと


 婚姻・出産は通常、女性労働者の働き方に大きな影響を与えることになりますが、使用者側が一方的に配慮した就業環境を押し付けるのではなく、労働者本人と話し合いながら、就業環境を整備していくことが求められるでしょう。


[参考条文]
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第9条(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)
 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項 の規定による休業を請求し、又は同項 若しくは同条第二項 の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。



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2009年7月22日「[雇用機会均等法]婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等(4)」
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2006年7月23日「平成19年4月に施行される改正男女雇用機会均等法のポイント」
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参考リンク
厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/danjyokoyou.html


(宮武貴美)


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