上場企業のモデル退職金は大卒総合職1,805万円、高卒総合職1,733万円

上場企業のモデル退職金 先日、ある有名週刊誌の記者の方から企業の退職金の水準や企業年金の動向についてのインタビューを受けました。その取材の狙いは近年、減額が進む退職金・企業年金の状況を知りたいということでしたが、これに関しては少し前に産労総合研究所が「2010年度 モデル退職金・年金制度調査」を発表しています。そこで本日はその概要について取り上げることとしましょう。

 この調査は全国1・2部上場企業と過去に「モデル退職金・年金調査」に回答のあった同社会員企業から任意に抽出した3,000社で、集計社数は回答のあった125社。これによれば、学歴別のモデル退職金支給額は以下のとおりとなっています。
 大学卒・総合職 1,805万円(33.9ヵ月)
 高校卒・総合職 1,733万円(35.2ヵ月)

 退職金水準はグラフを見ると分かるとおり、近年減少を続けております。その具体的理由については今回発表された資料だけでは読み取れませんが、退職金制度および企業年金制度の多様化と制度の見直し、基本給水準の低迷などが影響しているのではないかと考えられます。なお、退職金制度の改定においては既得権の保証など、クリアすべき法的課題がいくつもありますので、特に不利益に改定する場合には然るべきステップを踏むことが求められます。


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参考リンク
産労総合研究所「2010年度 モデル退職金・年金制度調査」
http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_1107-2/

(大津章敬)

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