7割超の企業でメンタルヘルスによる休職者の半分以上が完全復帰
先日、財団法人労務行政研究所から「企業におけるメンタルヘルスの実態と対策」が発表されました。この調査は、全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3,819社と,上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)349社の合計4,168社を対象に行なわれたものですが、本日はこの調査結果の中でもっとも興味深い内容となっているメンタルヘルス不調者の復職状況について取り上げてみましょう。
メンタル不調で休職した社員のうち、完全復帰した割合を尋ねた設問について、「半分程度」復職したとする企業が22.5%でもっとも多く、「7~8割程度」が21.5%、「ほとんど(9割以上)」も20.4%に上っています(グラフはクリックして拡大)。これらの回答に「全員(復帰)」の7.3%を合計すると71.7%となり、7割超の企業で「半分程度」以上が完全復帰をしていることになります。これを企業規模で見ると、規模が大きいほど復職割合が高く、大企業においてはメンタルヘルス対策が発生時の対処から復職支援といったフェーズに移り、その効果が復職割合の増加に繋がっていることが想像されます。
人材確保が困難な時代、今後もメンタルヘルス対策は単純な発症時の対処のみならず、予防・復職支援といったことに力を入れ、健康に働き続けられることに関して、会社が積極的に取り組む時代になったのかも知れません。
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参考リンク
財団法人労務行政研究所「企業におけるメンタルヘルスの実態と対策」[pdf]
https://www.rosei.or.jp/contents/detail/6125
(宮武貴美)
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