長時間労働者への医師による面接指導の記録保存
今年の4月から全事業所に義務化された長時間労働者への医師による面接指導ですが、徐々に事業主の意識も高まっており、細かな質問をいただくようになりました。そこで、今日は、この面接指導の記録の保管義務について取り上げてみましょう。
【質問】
当社では、夏の繁忙期を迎えたこともあり、先月はかなり残業が発生していました。調べてみると、100時間以上の残業を行った社員も複数名おり、来週、医師による面接指導を実施する予定をしております。面接指導後には結果に基づいて各社員に適した措置をする予定ですが、その結果はどうすればいいのでしょうか?保存義務はありますか?
【回答】
ご存知の通り、面接指導は、時間外労働時間が100時間を超過し、疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合に医師による面接指導を義務付けたものであり、事業主は面接指導後に医師の意見を聴取し、事後措置の実施を行わなければなりません。医師による面接指導の結果については、その結果に基づいて、以下の1~5の他、医師の意見を記載した記録を作成の上、5年間の保存する義務が課せられています。
実施年月日
当該労働者の氏名
面接指導を行つた医師の氏名
当該労働者の疲労の蓄積の状況
~に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況
近年、労働安全衛生に関する意識の高まりは目を見張るものがあります。面接指導の実施のみに留まらず、意見聴取、事後措置の実施および記録の保存と適切な処理が実施されるよう、マニュアルの作成等が求められていると言えるでしょう。
[関連法規]
労働安全衛生規則 第52条の6(面接指導結果の記録の作成)
事業者は、面接指導(法第66条の8第2項 ただし書の場合において当該労働者が受けた面接指導を含む。次条において同じ。)の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを五年間保存しなければならない。
2 前項の記録は、前条各号に掲げる事項及び法第六十六条の八第四項 の規定による医師の意見を記載したものでなければならない。
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(宮武貴美)
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