メンタルヘルス対策で70%の企業が「管理職向けの教育」を実施

メンタルヘルス対策 2010年8月9日のブログ記事「依然として多くの企業が抱える従業員の「心の病」」では、日本生産性本部メンタルヘルス研究所の「『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果」を取り上げましたが、今日はこの調査結果の中からメンタルヘルス対策について取り上げておきましょう。


 厚生労働省が平成18年に発表した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、心の健康づくり計画の実施に当たって、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」および「事業場外資源によるケア」の4つのケアが継続的かつ計画的に行われることの重要性を説いています。実際に様々なケアが行われていますが、調査結果によると最も多く行われている対策は、やはり「管理職向けの教育」(70.0%)となっています。これに「長時間労働者への面接相談」(63.8%)、「休職者の職場復帰に向けた支援体制の整備」(49.5%)が続いています。また、精神医学関連の産業医をおく企業も増加しており、全体では32.2%がおいている結果となっています。これは、メンタルヘルスに関する問題を抱えている社員がいるときの対応のほか、復職が可能かの判断等を求めるための役割を精神医学関連の産業医が担っていると想像できます。


 メンタルヘルス対策はなかなか費用対効果が測りにくいといわれますが、放置できる問題ではなく、予防から事後対策までトータルで取り組まなければならない人事労務管理の大きな課題であることは間違いありません。



関連blog記事
2010年8月9日「依然として多くの企業が抱える従業員の「心の病」」
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2010年7月8日「精神疾患等に起因する傷病についての保険給付の取扱い」
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2010年6月15日「前年比2割超の増加となった精神障害等に係る労災請求件数」
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2010年6月14日「12年連続で3万人を超えた自殺者数と高まるメンタルヘルスケアの重要性」
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2009年6月13日「高水準で推移する過重労働に基づく過労死・精神障害の労災認定件数」
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2009年4月7日「パワハラの追加など、改正が行われた精神障害等に係る労災認定の判断指針」
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2009年3月6日「厚生労働省から公開されたセクシュアルハラスメントアンケート」
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2008年12月16日「管理職研修に最適!ネットで見られるメンタルヘルス啓発ビデオ」
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2008年10月23日「企業のメンタルヘルス対策は「労働者からの相談対応の体制整備」から」
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2008年9月5日「職場で急増する職務内容や負荷、環境に関する悩み」
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2008年8月9日「依然として増加傾向にある企業における「心の病」」
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2008年5月29日「過重労働に基づく過労死・精神障害の労災認定件数が過去最高を記録」
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参考リンク
公益財団法人日本生産性本部「第5回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果」
http://activity.jpc-net.jp/detail/mhr/activity000995.html


(宮武貴美)

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