新卒採用選考で「論理的思考力」「問題解決力」を重視する企業が急増

「論理的思考力」「問題解決力」を重視する企業が急増 経済同友会が1997年より過去5回に亘り実施している「企業の採用と教育に関するアンケート調査」結果が先日、公表されました。この調査は、2010年10月8日から11月8日の間に、経済同友会が会員所属企業846社(有効回答230社)に対して実施したもので、企業がどのような人材を求め、どのような基準で採用を行っているか、企業が学校教育にどのような協力・貢献をおこなっているかといった企業の変化の実態を把握しようとするものです。本日はこの調査の中から、新卒採用選考の際、企業がどのような能力を重視しているか、そしてその変化についての興味深い結果を紹介しましょう。


 「新卒の採用選考の際、ビジネスの基本能力等として、特にどのような能力を重視していますか?」という質問に対して、「大学卒」のグループにおける結果が左のグラフとなっていますが、「熱意・意欲」が70.3%と圧倒的に高く、それに「行動力・実行力」が50.5%、「協調性」が40.1%と続くのは前回の2008年調査と同じですが、その変化をみてみると、「熱意・意欲」は前回と比較し、6.9ポイントの大幅減となっているのに対し、「論理的思考力」は8.5ポイント、「問題解決力」は3.6ポイントの大幅増となっています。


 この背景にはビジネスが複雑化したことで、会社が定めた方針を一所懸命遂行する熱意や意欲よりも、現場で状況を的確に分析し、周囲の関係者を論理的に説得し、問題解決を進めるようなスタイルが重視されていることがあるのではないかと推測されます。このような変化に対応すべく、採用選考においてはこれまでとは異なった課題や選考方法を採用し、その力を見極めることが今後の採用活用における大きなポイントとなってくるのではないでしょうか。



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参考リンク
経済同友会「企業の採用と教育に関するアンケート調査結果(2010年調査)」
http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/101222a.html


(中島敏雄)


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