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正規・非正規共に低下した企業の人手不足感

 リーマンショックによる雇用危機以来、企業の人手不足感は毎年高まってきており、バブルのピーク時の有効求人倍率を超える状況が続いていますが、ここに来て、その流れに変化が出始めています。

 帝国データバンクが先日発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2019年7月)」の結果によれば、現在の従業員の過不足状況に関して、正社員について「不足」していると回答した企業は48.5%と、前年同時期と比較し、2.4ポイントの減少となっています。また、非正社員が「不足」していると回答した企業も前年同時期から3.2ポイント減の29.8%となっています。

 有効求人倍率も過去1年間はほぼ横ばいで、かつここ最近は2か月連続でマイナスにもなっており、このように過去10年近く、右肩上がりで上昇してきた企業の人材不足感も一服という状況となっています。現在の不安定な国際状況から、今後の景気については先行き不透明感が増しており、人材状況は今後大きく変化する可能性が高まっています。もっともミスマッチは年々拡大していると思われますので、単純に採用が楽になるということでもありません。多くの求職者に選んでもらえ、在職者が引き続き頑張りたいと思えるような企業を作っていくことの重要性は変わらないと考えるべきでしょう。


関連blog記事
2019年4月1日「若干一服感が見られるようになった企業の採用姿勢」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52167875.html
2019年2月27日「53.0%の企業が従業員不足と回答」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52166900.html
2018年12月6日「正社員が不足している企業は52.5%で調査開始以来最高を更新」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52162128.html
2018年11月15日「65.1%の中小企業が抱える人材不足と現実に行われている対策」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52161451.html
2018年6月28日「65.0%の企業で人員不足 年々深刻化する状況」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52152651.html
2018年5月29日「正社員は49.2%、非正社員は32.1%の企業が「不足」と回答」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52151587.html
2017年11月30日「49.1%の企業が正社員が不足と回答 非正規社員については3.9%が不足」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52141137.html

参考リンク
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2019年7月)」
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190804.pdf

(大津章敬)

給与明細等電子交付同意書

これは給与明細の電子交付の承諾を得る際の同意書です。
重要度 ★★★
官公庁への報告:なし

[ダウンロード]
WORD
Word形式 shoshiki824.docx(18.1KB)
pdfPDF形式 shoshiki824.pdf(77KB)

 

[ワンポイントアドバイス]
 この同意書に承諾された方のみが対象となるため、承諾されなかった方に対しては紙の明細を発行しなければなりません。

(渡たかせ)

前年対比2倍以上の大幅増加により過去最多となった外国人の在留資格取消件数/平成30年結果

 法務省は、令和元年8月21日、平成30年の「在留資格取消件数」の結果について公表を行いました。
 
 平成30年に出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」という)に基づく在留資格の取消しが行われた件数は832件で、前年に比べ、447件増加(116.1%増)となり、過去最多を記録しました。

 在留資格別、国籍・地域別、取消事由別の上位項目は以下のとおりです。

【在留資格別】
  第1位:「留学」412件(49.5%)、第2位:「技能実習」153件(18.4%)、第3位:「日本人の配偶者等」80件(9.6%)。

 【国籍・地域別】
  第1位:「ベトナム」416件(50.0%)、第2位:「中国」152件(18.3%)、第3位:「ネパール」62件(7.5%)。

 【取消事由別(入管法第22条の4第1項の各号の取消事由)】
  第1位:「第6号(例:留学生が学校を除籍された後の在留、技能実習生の失踪後の在留 等)」393件(46.5%)、第2位:「第5号(例:留学生が学校を除籍された後のアルバイト、技能実習生の失踪後の他社就労 等)」218件(25.8%)、第3位:「第2号(例:日本人との偽装結婚、架空の会社での就労 等)」100件(11.8%)。

 取消事案として多いのは、留学生が学校を除籍された後も日本に在留、さらにはアルバイトをしていたり、技能実習生が失踪後、日本に在留、さらには他社で就労しているという事例のようです。

 特に、留学生アルバイトについては、日本の学校での勉強ではなく、アルバイト就労を目的に日本の学校に入学しているケースも少なからずあるようです。その受け入れを行っている日本語学校などが学校の定員数を超えて入学をさせており、問題となっているケースも発生しています。

 留学生アルバイトを雇用する企業においては、留学生アルバイトのシフト管理(留学生アルバイトは、通常、週28時間までの就労制限あり)を徹底するとともに、学校に通っているのか、そもそも学校を除籍されていたりしないか、といった確認も行っておくことがよいでしょう。

 

<参考リンク>
法務省「平成30年の「在留資格取消件数」について」
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00057.html

厚生労働省は労働時間管理でログ等の確認を重視し始めているようです

 最近、朝晩は少し涼しくなり、秋の近づきを感じている大熊であった。


大熊社労士:
 おはようございます。
宮田部長宮田部長:
 大熊先生、おはようございます。最近、朝晩はだいぶ涼しくなってきましたね。まだまだ昼の時間帯は暑いですけど。
大熊社労士:
 そうですね。もう来週には9月ですからね。そろそろ夏も終わりますね。さてさて、今日は労働時間管理に関するお話をしたいと思っています。
服部社長:
 労働時間管理ですか。具体的にはどのような話でしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、先日、厚生労働省は「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度)」という資料を公表しました。要は労働基準監督署の指摘によって賃金不払いの是正を行った企業の状況をまとめたもので、結論としては概ね例年並みの水準だったということになりますが、今日ご紹介したいのはその資料に添付されている「賃金不払残業の解消のための取組事例」というものです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000536139.pdf
服部社長:
 取り組み事例ですか?
大熊社労士:
 はい、そうです。ここでは4つの事例が掲載されていますが、こういった事例というのはこういう方向で取り組んで欲しいという厚生労働省からのメッセージだと考えられます。
服部社長:
 なるほど。法的な拘束力はないものの、事実上の指導として方針を示しているということですね。確かにそのように言えるかも知れません。
大熊社労士:
 そうなのです。そこで気になったのが、以下のような記述です。
生体認証による労働時間管理システムの記録と入退館記録との間にかい離があった場合は、部署の管理者に対し、書面により指導を行うこととした。
会社は、パソコンのログ記録や金庫の開閉記録などを基に労働時間の実態調査を行った上で、不払となっていた割増賃金を支払った。
店長が定期的に、労働時間の記録と警備システム記録を照合してかい離がないかを確認し、かい離があった場合は、その理由を確認するとともに、本社の総務担当者がダブルチェックを行うこととした。
自己申告の記録とパソコンのログ記録との間にかい離があった場合は、上司がその理由を確認する仕組みを導入した。
福島照美福島さん:
 大熊先生、これらってすべて通常の労働時間の記録とは別の客観的な記録との照合を行うという内容ですよね。入退館記録にパソコンのログ、金庫の開閉記録、警備システム記録などなど。
大熊社労士:
 そうなのです。4つの事例のすべてにそのような対策が入っているのです。近年は労働基準監督署の監督指導においてアクセスログが問題になることが多いのですが、今後、更にそのような流れが強まるのかも知れません。
服部社長服部社長:
 なるほど。当社の場合は不払いはないと思っていますが、もしかすると勤怠管理システムの打刻に問題があり、乖離が発生していることがあるかも知れません。宮田部長、どこかのタイミングで抜き打ちチェックをしてみましょうか。
宮田部長:
 分かりました。毎月全員のチェックを行うのは大変なので、まずはタイムカードの打刻時間を確認し、問題がありそうな社員を中心に抜き打ちで確認してみます。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は厚生労働法が作成した「賃金不払残業の解消のための取組事例」を取り上げてみました。現在はIT化が進んだことから、様々な時間が自動的に記録される時代となっています。先ほど挙げたもの以外でも、例えばメールの送受信時刻などもあるでしょうし、場合によっては最寄り駅を交通系ICカードで通過した時刻なども記録に残っています。どこまで厳密に行うかは別として、アクセスログなどの時間と把握している労働時間に大きな乖離が発生しないよう、社員に注意喚起を行うと共に、なんらかの理由により差異が発生する場合にはその理由を申告させるなどの対応も行っておきたいものです。


参考リンク
厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06128.html

(大津章敬)

派遣労働者の同一労働同一賃金「労使協定方式に関するQ&A」が公表

 今回の同一労働同一賃金問題の中でももっとも煩雑なのが派遣労働者の対応です。派遣労働者に関しては派遣先労働者との均等・均衡方式と、労使協定方式の2つの対応の選択肢が存在しますが、大半が労使協定方式になると言われています。この基本については、2019年7月10日のブログ記事「派遣労働者の同一労働同一賃金において労使協定方式を用いる場合の賃金水準が公開されました」でお伝えしていますが、昨日(2019年8月19日)に、厚生労働省から「労使協定方式に関するQ&A」が公表されました。

 実務上非常に重要な資料となりますが、以下ではいくつか気になった項目について引用します。


問1-6
労使協定には、派遣労働者の賃金の額のほか、その比較対象となる一般賃金の額を記載する必要はあるのか。
答 貴見のとおり。
 法第30条の4第1項第2号イにより、一般賃金の額と同等以上である協定対象派遣労働者の賃金の決定の方法を定めることとされているため、同等以上であることが客観的に明らかとなるよう、協定対象派遣労働者の賃金の額に加え、その比較対象となる一般賃金の額も記載することが必要である。


問1-8
労使協定の有効期間中に、一般賃金の額が変わった場合、労使協定を締結し直す必要があるのか。
答 労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変わった場合には、有効期間中であっても、労使協定に定める派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額と同等以上の額であるか否か確認することが必要。派遣労働者の賃金額が一般賃金の額と同等以上の額でない場合には、労使協定に定める賃金の決定方法を変更するために労使協定を締結し直す必要があること。一方、派遣労働者の賃金額が一般賃金の額と同等以上の額である場合には、派遣元事業主は、同額以上の額であることを確認した旨の書面を労使協定に添付すること。


問2-3
賃金に含まれない「時間外、休日及び深夜の労働に係る手当等」の「等」とは何を指すのか。
答 「等」には、宿日直手当(本来の職務外としての宿日直勤務に対して支給される給与)及び交替手当(臨時に交替制勤務の早番あるいは後番に対して支給される交替勤務給など、労働時間の位置により支給される給与)が含まれる。


問2-6
賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計に同様の職種がある場合(例えば、測量技術者等)、どちらを選択すればよいのか。
答 賃金構造基本統計調査の職種については、「役職及び職種解説」において、職業安定業務統計の職種については「第4回改訂 厚生労働省編職業分類 職業分類表 改訂の経緯とその内容(独立行政法人労働政策研究・研修機構)」において、それぞれ職種の具体的な内容を解説している。これらをもとにして、派遣労働者の業務がこれらの政府統計のいずれの職種と一致するのか、近いのかについて、労使で十分に議論し、比較対象とする職種を決定することが求められる。なお、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることなどを目的に、職種ごとに統計などを使い分けることは労使協定方式の趣旨に照らして適切ではなく、認められないことに留意すること。


問2-8
能力・経験調整指数について、例えば、勤続が5年目の協定対象派遣労働者については、必ず「5年」の指数を使用しないといけないのか。
答 能力・経験調整指数の年数は、派遣労働者の勤続年数を示すものではないため、ご指摘の場合に、必ず「5年」にしなければならないものではない。例えば、職務給の場合には、派遣労働者が従事する業務の内容、難易度等が、一般の労働者の勤続何年目に相当するかを労使で判断いただくこととなる。なお、待遇を引き下げることなどを目的として、低い能力・経験調整指数を使用することは、労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではなく、認められない。


問3-1
通勤手当について、実費支給により「同等以上」を確保する場合、通勤手当の上限額を協定対象派遣労働者の平均的な所定内労働時間1時間当たりに換算した額が「72 円」以上であることが必要であるが、この「上限額を協定対象派遣労働者の平均的な所定内労働時間1時間当たりに換算した額」はどのように計算して導き出せばよいのか。
答 「上限額を協定対象派遣労働者の平均的な所定内労働時間1時間当たりに換算した額」の計算方法については、労使で合意されたものである必要があるが、例えば、一月当たりの上限額が設けられている場合、当該上限額を協定対象派遣労働者の一月当たりの所定内労働時間の平均で割ることが考えられる。
問3-4 実費支給で通勤手当を支払っているが、例えば、派遣就業の場所と居住地の間の距離が1㎞未満である場合を「徒歩圏内」とし、通勤手当を支給していない場合、どのように取り扱えばよいか。
答 派遣就業の場所と居住地の間の距離が1㎞未満である場合を「徒歩圏内」として通勤手当を支給しないことを労使で合意し、その他の場合を実費支給している場合には、局長通知第2の2の(1)の実費支給と解される。「徒歩圏内」の距離については、(人事院規則(原則として2㎞未満の場合には通勤手当は支給しない)等を参考にしつつ、)労使でご判断いただくものである。


問4-6
退職金に関して東京都が実施した調査「中小企業の賃金・退職金事情」は、従業員が 10人~299人の中小企業を対象とした調査であるが、中小企業以外の派遣元事業主も使用することはできるのか。
答 可能であるが、労使で十分に議論した上で判断いただくことが望まれる。ただし、例えば、従業員規模が大きい派遣元事業主が「中小企業の賃金・退職金事情」を使用する場合は、労使間でその理由を十分に共有するなど、派遣労働者が納得できるように留意すること。


問4-7
協定対象派遣労働者が高齢者であり、前職で退職金が支払われている者、再雇用である者であれば、退職金を支給しなくても問題ないか(一般退職金と同等以上の額としなくてもよいか。)。
答 労使で十分に議論した上で判断いただくことが望まれる。


関連blog記事
2019年8月7日「厚労省から人材派遣協会に出された無期転換時の通勤手当と基本給の取扱いに関する通達」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52174915.html
2019年7月31日「分かりやすい同一労働同一賃金の解説資料が山形労働局から公開されました」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52174617.html
2019年7月10日「派遣労働者の同一労働同一賃金において労使協定方式を用いる場合の賃金水準が公開されました」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52173624.html

参考リンク
厚生労働省「労使協定方式に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/content/000538206.pdf

(大津章敬)

残業が深夜0時を超えた場合の時間外割増賃金はどのように計算すればよいのですか?

 今年のお盆休みはゆっくりと休んだ大熊であった。


大熊社労士:
 おはようございます!
服部社長服部社長:
 大熊さん、おはようございます。なんだかいつもよりお元気な感じですね。お盆はゆっくりと休めましたか?
大熊社労士:
 ありがとうございます。今年は特にこの時期に行うべき仕事もありませんでしたのでゆっくり休みました。溜まっていた疲れもどこかに消えたので、今日から頑張りますよ!
宮田部長:
 それは良かったです。私もゆっくりしましたよ。
福島さん:
 宮田部長のゆっくりはいつものことじゃないですか!
宮田部長宮田部長:
 あれれ、そうだったかな?いずれにしてもゆっくり休めましたよ(笑)。さてさて、今日は一つ質問があったのです。というのは、残業のことなんですけどね。当社の場合、始業が午前9時、終業が午後6時となっています。午後6時以降に勤務した場合には残業になる訳ですが、例えば緊急対応が必要な事故が発生したなどの状況で残業が深夜0時を超えて翌日に及んだ場合、その午前0時以降の労働時間についてはどのように取り扱えばよいのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 なるほど。このご質問の答えは、午前0時以降、翌日の始業時刻、つまり御社の場合であれば午前9時までは前日の勤務ということになります。これは昭和63年1月1日の基発1号という通達において、継続した労働は、たとえ暦日を異にする場合でも、1勤務として、その勤務の始業時刻の属する日の労働として取り扱われるとされているためです。
福島照美福島さん:
 なるほど。となると割増賃金についてまとめると以下のようになるのでしょうか?
午後6時(終業時刻)から午後10時 25%
午後10時から午前5時 50%(深夜割増が加算)
午前5時から午前9時(始業時刻) 25%
午前9時以降 翌日の通常勤務のため割増なし
大熊社労士:
 ありがとうございます。完璧なまとめです。
宮田部長:
 なるほど。よく分かりました。このような勤務をさせようと思っている訳ではありませんが、万が一のときにどうすればよいかよく分かりました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。みなさん、お盆はお休みを取ることはできたでしょうか?15日の台風では西日本を中心に大混乱の状態であったのではないかと思いますが、被害など出ていないことを願っております。さて、今回は労働時間に関して比較的よく質問を受ける労働時間が日を跨いでしまった場合の取り扱いです。このような勤務はかなりの過重性がありますので、できるだけ避ける必要がありますが、知識としては押さえておきましょう。


参考リンク
改正労働基準法の施行について(昭和63年1月1日 基発第1号、婦発第1号)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1899&dataType=1&pageNo=1
「1日とは、午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいうものであり、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とするものであること。」
(大津章敬)

労基署による不払い残業代の是正指導 前年比72%減の約125億円

 先月、厚生労働省は「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度)」を公表しました。これは全国の労働基準監督署が賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成30年4月から平成31年3月までの間に不払いになっていた割増賃金が支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案の状況を取りまとめましたものになります。その結果は以下のとおりとなっています。
是正企業数   1,768企業(前年度比 102企業の減)
支払われた割増賃金合計額  125億6,381万円(同 320億7,814万円の減)
対象労働者数  118,837人(同 89,398人の減)
支払われた割増賃金の平均額 1企業当たり711万円、労働者1人当たり11万円

 昨年度が異常値だったとはいえ、グラフを見れば分かるとおり、「支払われた割増賃金合計額」は大幅減少に転じ、これを業種別に見てみると、企業数がもっとも多いのはその他の事業368企業(同20.9%)、製造業332企業(同18.8%)、商業319企業(全体の18.0%)、保健衛生業230企業(同13.0%)の順となっています。

 またこの資料の中では賃金不払残業の解消のための取組事例が4つ紹介されているのですが、、以下では木材・木製品製造業の事例をとり上げましょう。
【賃金不払残業の状況】
・割増賃金が月10時間までしか支払われないとの労働者からの情報を基に、労基署が立入調査を実施。
・会社は、自己申告(労働者による労働時間管理表への手書き)により労働時間を管理していたが、自己申告の時間外労働の実績は最大月10時間となっており、自己申告の記録とパソコンのログ記録や金庫の開閉記録とのかい離が認められたことから、賃金不払残業の疑いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。
【企業が実施した解消策】
・会社は、パソコンのログ記録や金庫の開閉記録などを基に労働時間の実態調査を行った上で、不払となっていた割増賃金を支払った。
・賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。
支店長会議において、経営陣から各支店長に対し、労働時間管理に関する不適切な現状及びコンプライアンスの重要性を説明し、労働時間管理の重要性について認識を共有した。
労働時間の適正管理を徹底するため、自己申告による労働時間管理を見直し、ICカードの客観的な記録による管理とした。
ICカードにより終業時刻の記録を行った後に業務に従事していないかを確認するため、本店による抜き打ち監査を定期的に実施することとした。

 こういった事例は行政が企業に求めていることであると理解することが重要です。自己申告により労働時間管理をしている企業においては、この事例のように、ICカードの導入を検討したり、パソコンのログ記録とのかい離がないか確認し、乖離があった場合はその理由を確認するなどの仕組みを導入するなどして、対策を行いましょう。


参考リンク
厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06128.html

(福間みゆき

スーツを脱いだ中国生活

 暑い暑いと思っていた上海ですが、ここ数年は日本の夏の方が遥かに暑く思えてきて、最近の上海の気温はせいぜい30度程度と、比較的過ごしやすい夏を迎えています。とはいえ湿度は80%くらいありますので、今までは上海でもスーツを着用していた私は、今夏から思い切ってカジュアルな服装で仕事をこなすことに決めました。

 スーツにビジネスシューズでは、埃っぽい上海と手入れの行き届いていない歩道を歩くだけですぐに汚れたり痛んだりしていていましたし、特に雨の日の多い上海では、泥水によって靴がダメになってしまうこともありましたが、カジュアルな服装にすることによって多少の汚れはすぐ洗濯すれば済むのと、軽快に身動きがとれるため、とても快適な上海ライフを満喫できています。

 最近では日系企業に勤める男性中国人社員もスーツを着て地下鉄で移動している姿を目にすることもありますが、それでも多くの男性たちはラフな服装で出勤していることが主流です。お客様と面談する場合でも、さすがにジーンズにTシャツというわけにはいきませんが、きちんとしたカジュアルウェアであれば、まず受け容れてもらえるものです。というか中国での駐在が長いお客様も、あまりスーツ姿でお会いすることは多くありませんが。私も中国生活20年を迎えるほど、中国とのつきあいは長くなりましたが、ここにきてようやく「脱スーツ」に目覚め、しばらくはこのスタイルを貫いてみようかと思っています。

人事評価の満足度はフィードバックで大きく変わります

 8月に入り、酷暑が続いている。暑さが苦手な大熊は汗を拭きながら服部印刷の門をくぐった。
これまでのブログ記事はこちら
2019年7月29日「人事評価の仕組みの不満原因は、評価基準と上司に集約されます」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65812916.html
2019年7月22日「人事評価に満足している社員の割合はわずか3.2%なのです」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65812912.html
大熊社労士:
 おはようございます!
服部社長服部社長:
 大熊さん、おはようございます。梅雨明けしたと思ったらすっかり酷暑ですね。大熊さんは暑いのが苦手だから、会議室を目一杯冷やしておきましたよ、
大熊社労士:
 あはは、ありがとうございます。冷蔵庫かと思いました。最高に涼しいです。さてさて、今日は人事評価の話の続きですね。
宮田部長宮田部長:
 確か今日は人事評価結果のフィードバックに関する件でしたね?
大熊社労士:
 はい、そのとおりです。本日は先日からご紹介しているNTTコムリサーチが実施した「人事評価に関する調査」の結果から人事評価におけるフィードバックの状況とその効果について見ていきたいと思います。
服部社長:
 よろしくお願いします。
大熊社労士大熊社労士:
 まずフィードバックの実施状況ですが、人事評価結果の「フィードバックがされている」という回答は54.9%、「フィードバックされていない」が45.1%となっており、フィードバックを行っているという回答が過半数を超えています。
福島さん:
 へーっ、結構多くの会社でフィードバックが行われているんですね。
大熊社労士:
 そうですね。これは予想以上だったかも知れません。さて、面白いのはここからです。フィードバックの有無が評価結果の満足度にどの程度影響があるかについて見てみましょう。人事評価の満足度をフィードバックの有無別に見ると以下のようになっています。
フィードバックされていない
満足計 10.5% 不満計 47.4%
フィードバックされている
満足計 33.2% 不満計 22.5%
福島照美福島さん:
 これはすごいですね。フィードバックがされているケースが、そうでないケースと比較し、満足が3倍、不満が半分ですね。
服部社長:
 確かに。こんなに大きな影響があるとは驚きだ。
大熊社労士:
 そうですね。私もはじめてこの結果を見たときは驚きました。このように見ると、人事評価結果のフィードバックを行わないという選択肢はなさそうですね。
服部社長:
 そのようですね。当社でもフィードバックについては工夫しないといけないな。
大熊社労士:
 はい、是非、具体的な行動や成果についてフィードバックし、しっかりその取り組みを承認してあげてくださいね。また課題についても共有し、次への取り組みに繋げて頂ければと思います。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。3回に亘って人事評価制度の不満について取り上げました。深刻な人材不足が続く中、社員の安定的な採用・定着・育成が重要な課題となっています。改めて人事評価制度の運用について見直しを行い、社員が安心して頑張ることができる環境づくりを進めましょう。

関連blog記事
2019年7月29日「人事評価の仕組みの不満原因は、評価基準と上司に集約されます」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65812916.html
2019年7月22日「人事評価に満足している社員の割合はわずか3.2%なのです」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65812912.html

参考リンク
NTTコムリサーチ「「人事評価に関する調査」結果」
https://research.nttcoms.com/database/data/001961/

(大津章敬)

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労働者派遣法第30条の4第1項の規定に基づく労使協定

shoshiki823これは、厚生労働省発行のリーフレット「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編)」に記載されている労働者派遣法第30条の4第1項の規定に基づく労使協定をWord化したもの(画像はクリックして拡大)です。
重要度 
官公庁への報告:必要

[ダウンロード]
WORD
Word形式 shoshiki823.docx(20KB)
pdfPDF形式 shoshiki823.pdf(12KB)

 

[ワンポイントアドバイス]
 労使協定は、毎年度提出する事業報告書に添付し、あわせて労使協定の対象となる派遣労働者の職種ごとの人数と職種ごとの賃金額の平均額を厚生労働大臣(都道府県労働局)に報告しなければなりません。


参考リンク
厚生労働省「「派遣労働者の同一労働同一賃金について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html

(渡たかせ)