日経ヘルスケア21 5月号「労働時間の運用5 年次有給休暇の正しい与え方」


先日、財団法人労務行政研究所より「2006年度 新入社員の初任給調査」の結果が発表されました。東証第1部上場企業を中心に大手企業1,685社を対象とした調査で、今回は回答のあった233社の集計結果となっています。
これによれば、昨年の比較し、初任給を据え置いた企業が79.8%、全学歴を引き上げた企業が19.7%となっています。この据え置き率は2002年以降昨年までの4年連続で95%以上となっていましたので、今年は5年ぶりの急反発
となりました。2007年問題や企業業績の回復による採用マインドの改善が初任給の引き上げ圧力に繋がったと見るのが妥当なところでしょう。
結果、初任給は大学卒で202,302円,高校卒で160,023円となり、前年度に比べそれぞれ544円(0.3%),353円(0.2%)の上昇となりました。中小企業にとっては新卒採用が極めて難しい状況が現実のものとなりつつあり、企業の人材戦略にも大きな影響を与えそうです。
参考リンク(大津章敬
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東京都産業労働局より「2006年春季賃上げ要求・妥結状況について(平成18年4月26日現在・中間集計)」という資料が発表されました。これは都内の1,000労働組合を対象に春季賃上げ要求・妥結状況を調査したもの。
これによれば、調査対象1,000組合のうち、集計可能な357組合の平均妥結額は5,784円となりました。これは平均賃金(325,363円・37.8歳)の1.78%に相当し、同一労組の前年妥結額(5,596円)との比較では金額で188円、率で3.36%のプラスという結果になっています。産業別・業種別妥結金額が高いのは、「情報制作(出版等)」9,555円、「その他運輸」7,485円、「電機・電子部品等」6,360円等となっており、一方で低いのは、「道路貨物運送」3,345円、「教育、学習支援(その他)」3,862円、「鉄鋼業」4,344円となっていますが、前年と比べるといずれもプラスという結果になっています。
参考リンク(大津章敬
)
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前回は、健康診断後の措置を取り扱いました。今回は、その結果通知と結果保存の取り扱いについて取り上げてみましょう。
■質問
当社では毎年1回、定期健康診断を実施しています。健康診断結果については、委託している医療機関から会社に直接送付されてきます。受診者には個人結果を渡し、会社としては結果の一覧表をファイルしています。この取り扱いで問題ないでしょうか。
■回答
【結論】
医療機関から直接健康診断結果を受け取る場合には、労働者からその旨の同意を取っておくべきでしょう。また、保存に際しては、閲覧できる人を決め、厳重な管理をする必要があります。
【解説】
今回の質問については、以下の3つのポイントがあります。
1.健康診断結果の回収
2.健康診断結果の労働者への通知
3.健康診断結果の会社内部での取り扱い
この3つのポイントについて、厚生労働省が発表した通達「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について」(以下、「通達」という)を参考に考えていきます。
1.健康診断結果の回収
実務的には質問にあるように健康診断結果の取りまとめを会社が行うケースは多く見受けられます。厳密に考えると医療機関から直接健康診断結果を受け取ることは、個人情報保護法の第三者提供に該当します。したがって、会社はあらかじめ健康管理に利用することを労働者に通知し、直接受け取ることの同意を取っておくことが望ましいでしょう。なお、通達では「労働者本人から提出を受けることが望ましい」としています。これについては未提出者への対応や回収の手間など、事務負担が膨大になることが容易に想像されます。各企業で取り扱いを検討し、実施の検討が必要といえるでしょう。
2.健康診断結果の労働者への通知
健康診断結果は、その内容によっては非常にセンシティブな情報であり、重要な個人情報です。医療機関の配慮があるとは思いますが、受診労働者本人以外が見ることのできない形での通知が必要不可欠です。
3.健康診断結果の会社内部での取り扱い
これまでは健康診断結果について十分な管理体制が敷かれているといえない会社も多くあったようですが、最近ではその取り扱いについて重視されつつあるようです。通達を確認すると、以下の5項目について規程等として定め、これを労働者に周知するとともに、関係者に当該規程に従って取り扱わせることが望ましいとしています。
(a)健康情報の利用目的に関すること
(b)健康情報に係る安全管理体制に関すること
(c)健康情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う健康情報の範囲に関すること
(d)健康情報の開示、訂正、追加又は削除の方法(廃棄に関するものを含む)に関すること
(e)健康情報の取扱いに関する苦情の処理に関すること
従って、この5項目について、就業規則に定めると共に、管理を行う者、閲覧ができる者を限定し、厳重な管理を行う必要があります。実務的には、総務担当の役職者のみが管理し、必要に応じて産業医等の産業保険従事者に閲覧させるという内容が好ましいといえます。また、労働安全衛生法では健康診断結果について、健康診断結果を5年間保存しなければならないとしています。この保存期間もしっかりと管理し、不必要な情報を持ち過ぎないとうことも考える必要があるかも知れません。
■まとめ
個人情報保護法の施行に伴い、会社で管理する個人情報の取扱いも様々な点で注意が必要になってきました。解説でも書いたとおり、健康診断結果については非常にセンシティブな情報と言えます。これまで、その管理方法までは重視されていなかったようですが、この機会に管理体制全般を見直されることをお勧めいたします。
参考リンク
参照条文労働安全衛生規則 第51条(健康診断結果の記録の作成)
事業者は、第四十三条、第四十四条若しくは第四十五条から第四十八条までの健康診断若しくは法第六十六条第四項の規定による指示を受けて行つた健康診断(同条第五項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「第四十三条等の健康診断」という。)又は法第六十六条の二の自ら受けた健康診断の結果に基づき、健康診断個人票(様式第五号)を作成して、これを五年間保存しなければならない。
(宮武貴美
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現在、エントリー受付を行っております株式会社名南経営での人事コンサルタント(候補)の採用受付ですが、5月12日(金)必着でエントリーの受付を終了させていただきます。
ご関心をお持ちの方は以下をお読みいただき、是非エントリーをお願いします。それでは多くのお問い合わせを頂くことを楽しみにしています。
https://roumu.com/rec_hrmconsul.html
(大津章敬
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今年の3月31日に時短促進法が廃止され、「労働時間等設定改善法」が4月1日から施行されました。これに伴い「労働時間等設定改善指針」が定められています。本日はその概要についてお話したいと思います。
■背景
時短促進法が施行される直前の平成3年度には、年間総実労働時間が2,008時間でしたが、平成16年度には1,834時間となり、年間平均の労働時間は短縮することができました。しかし、実態としては、労働時間短縮の原因は、主に短時間労働者が増加した結果であり、正社員等の労働時間は短縮していません。労働時間が長い者と短い者の割合が共に増加し、労働時間の長短ニ極化が進展しています。その結果、長時間労働者の脳・心臓疾患に係る労災認定件数は、年々多くなっています。また、急速に少子高齢化社会となった為、労働者の意識・家庭環境は多様化しており、希望する勤務形態も多様化しています。
■労働時間等設定改善指針
労働時間等の設定の改善に関する基本的な考え方としては、労働者の健康と生活に配慮するとともに多様な働き方に対応したものへ改善することが重要となります。労働時間の短縮と多様な事情への配慮と自主的な取組を進めていくことが基本とされます。
事業主等が構ずべき措置としては、以下の点が挙げられています。
(1)実施体制の整備
1.実態の把握
2.労使間の話合いの機会の整備
3.個別の要望・苦情の処理
4.業務の見直し
5.労働時間等の設定の改善に係る措置に関する計画
(2)労働者の抱える多様な事情及び業務の態様に対応した労働時間等の設定
(3)年次有給休暇を取得しやすい環境の整備
(4)所定外労働の削減
(5)労働時間の管理の適正化
(6)ワークシェアリング、在宅勤務等の活用
(7)国の支援の活用
特に配慮が必要とする労働者としては、
(1)特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者
(2)子の養育又は家族の介護を行う労働者
(3)妊娠中及び出産後の女性労働者
(4)単身赴任者
(5)自発的な職業能力開発を図る労働者
(6)地域活動等を行う労働者
とされています。
そして、同一業種・同一地域企業間、取引先の事業主等と協力して、労働時間の設定の改善を進めることとされています。
また、労働時間等設定改善の労使間の話合いの機会として「労働時間等設定改善委員会」を設置することが努力義務とされています。「労働時間等設定改善委員会」は、一定の要件を満たした衛生委員会または安全衛生委員会でも可とされています。
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当社では今年度より名南ビジネスカレッジという年会費方式の研修事業を開始しました。これは中小中堅企業の人財育成をサポートするため、経営に関する幅広い内容の研修を年間80講座以上開催し、会員様(特別会員)にご加入いただくと、年会費(初年度のみ入会金)だけで、何講座でも無料(一部有料講座あり)でお好きな研修を受講して頂けるというものです。
今回、この名南ビジネスカレッジのカリキュラムとして5月24日に私(大津章敬)が講師を務め、「中小中堅企業の人事制度改革成功のポイント」というセミナーを開催することが急遽決定しました。このように人事制度全般を取り上げるセミナーは拙著「強い会社を作る人事賃金制度改革」の出版記念以来となります。特別会員以外の一般のお客様もご参加頂けるオープンセミナーになっておりますので、是非ご参加ください。
中小中堅企業の人事制度改革成功のポイント
2006年5月24日(水)14時より17時 名南経営本館研修室
http://www.meinan.net/mbc/sem/20060524jinji.htm
賃金制度への過剰な期待が成果主義を失敗させる
社員の貢献度に如何にして報いるのか
グレードガイドラインで社員への要望事項を明確化する
定昇廃止が進められる賃金制度改革の具体策
退職金制度は廃止・中退共・401(k)のいずれかが基本線
人事評価制度は「基準作り」に走ると失敗する
すべての人事制度は会社の競争力向上に繋がらなければ意味がない(大津章敬
)
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年俸者の割増賃金部分の決め方に注意を払うことは必要です。
年俸制は、会社が年俸者と約束した年俸額も仕事内容もまた予想される残業時間も個々の対象者ごとに違うわけですから、従業員個々の個別性が高い制度といえます。通常「年俸契約」というものをその者と結びます。
そこで重要なのは、年俸の内訳を明確にすることです。この場合、深夜残業や休日出勤も見込まれれば、その分も含めてよいでしょうが、やはりその時間は36協定の範囲内が望ましいでしょう。
例として、年俸額が600万、月の所定労働時間が168時間で平均残業時間が30時間のケースをあげます。
賞与は「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当し、割増賃金の基礎となる賃金には算入しません。
まず、残業代を含まない月次給与Xを次のように割り出します。
X={(600万÷12ヶ月)÷(168H+1.25×30H)}×168H=408,759円
↑
1ヶ月の労働時間
その上で月の残業代Yを割り出します。
Y=(600万÷12ヶ月)-X=91,241円
年俸契約の内訳には、この時間と額をきちんと明記をしておくべきです。もちろん残業時間が30時間を超えた場合は、超えた時間分の割増賃金の支払が必要となります。
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近年、社員に支払う給与を年単位で決定する年俸制を採用する企業が増えてきました。支給額は年単位であっても、実際の支給は毎月支払われます。年俸制の社員が残業をした場合に、残業代はどのように計算したら良いでしょうか。今回は年俸制の残業の計算方法を、ご説明いたします。
1.年俸制の残業
・年俸制であっても時間外、休日、深夜労働には割増の賃金を支払わなくてはなりません。管理監督者には、深夜労働に対する割増賃金の支払が必要です。
□計算方法
・年俸額の1/12が月額賃金となる
・月額賃金を1ヵ月の所定労働時間で割った1時間の単価に時間外の割増率を乗じて時間外の単価を算出する
【計算例】
年俸600万、1ヵ月の所定労働時間が170時間の労働者が1ヵ月20時間の残業を行った場合
600万円÷12=50万円
50万円÷170時間×1.25×20時間H → 73,530円(1円未満切上げ)となります。
2.賞与について
・支給額が確定していない賞与は割増賃金の基礎となる賃金に算入されませんが、支給額が確定しているものは賞与とはみなされません。年俸制で賞与部分も含め年俸額が確定している場合の「賞与」は、上記の賞与には該当しません。従って賞与部分も含めた年俸額を基に割増賃金を計算し、支払う必要があります。
3.年俸に残業代を含めることについて
・年俸に定額の割増賃金を含めて支給することも可能です。実際の時間外労働に対し定額の割増賃金が不足する時は、その不足部分を支払わなくてなりませんので、割増部分とそれ以外の部分(時間・金額)を明確にして、計算ができるようにしておくことが必要です。
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本日、総務省統計局より完全失業率のデータが発表されました。これによれば3月に完全失業率は前月と変わらず、4.1%となりました。また今月は平成17年度の平均結果も発表されていますので、今日はこの結果に見る完全失業率の推移について取り上げたいと思います。
これによれば平成17年度の完全失業率は4.3%と,前年度に比べ0.3ポイントの低下となっています。この数値は平成14年の5.4%をピークに3年連続の低下(平成15年:5.1%→平成16年:4.6%→平成17年:4.3%)となっており、労働市場が急速に回復している状況を見ることができます。今後、この労働環境が企業側にとって改善することは当面考えにくい状況にあることを考えれば、人材確保が企業の事業遂行にとって重要な課題になることは間違いないでしょう。今から本格的な人材不足時代を見据え、社内の人事労務管理の体制整備を行うことが求められています。
参考リンク(大津章敬
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