[改正雇用保険法](2)特定受給資格者に加えて新設された「特定理由離職者」

 本日は先週金曜日のブログ記事「[改正雇用保険法](1)適用範囲が拡大された雇用保険の被保険者」に引き続き、改正雇用保険法の特集の第2回目(全10回)として今回の改正により新設された「特定理由離職者」について取り上げましょう。


 これまで離職者の中でも、倒産、解雇等により、再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた者については「特定受給資格者」として、基本手当の給付日数等で定年退職や自己の意思等で離職した者とは異なる取扱いがされてきました。今回の改正では、これに加え、新たに「特定理由離職者」が創設され、特定受給資格者と似通った取扱いをすることになっています。そもそも特定理由離職者は雇い止めとなった非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化であり、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職された者を対象としています。具体的には、以下の2つのいずれかに該当する場合に特定理由離職者として扱われることとなっています。


[特定理由離職者に該当する者]
期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る)
正当な理由のある自己都合により離職した者


 これらの者については、特定受給資格者と同様に基本手当の受給資格を得るために、被保険者期間が離職日以前の2年間に通算して12ヶ月以上必要なところ、離職日以前の1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あれば受給資格を得ることができることになっています。なお、この取扱いは、受給資格に係る離職の日が平成21年3月31日以降の者が対象となります。また、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職した者については、基本手当の所定給付日数についても特定受給資格者と同様に取り扱われ、手厚い給付を受けられる場合があります。こちらの取扱いは受給資格に係る離職の日が平成21年3月31日から平成24年3月31日までの間にある者が対象となります。


 ちなみに、特定受給資格者または特定理由離職者に該当するかどうかの判断は、離職証明書の離職理由欄および事実確認できる資料による確認を行った上で最終的に公共職業安定所が慎重に行うことになっています。したがって、事業主または離職者の主張のみで判定するものではなく、離職理由を確認できる資料の提出が求められます。明日は、これに関連した離職証明書の書式の変更について取り上げることとします。



関連blog記事
2009年4月8日「[改正雇用保険法](4)特定理由離職者の範囲と判断基準」
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2009年4月7日「[改正雇用保険法](3)改正に伴い新しくなった離職証明書」
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2009年4月3日「[改正雇用保険法](1)適用範囲が拡大された雇用保険の被保険者」
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2009年3月31日「平成21年度の新雇用保険料率は一般の事業で1,000分の11」
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2009年3月30日「改正雇用保険法成立 施行は明日 3月31日」
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2009年3月14日「[ワンポイント講座]雇用保険未加入が判明した場合の手続きと修正申告」
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2009年3月9日「6ヶ月以上遡って雇用保険に加入する際には遅延理由書の添付が必要に」
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2009年1月21日「改正雇用保険法案が昨日閣議決定 雇用保険適用範囲が拡大へ」
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2008年12月9日「政府の新雇用対策に掲げられた雇用保険制度の改正方針」
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参考リンク
厚生労働省「平成21年 雇用保険制度改正関連資料」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/


(宮武貴美)


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